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大嫌いな世界の中で  作者: OK牧場
3/3

パンダは凶暴

 とりあえず俺は、式橋さんに心と腕を鷲掴みにされながら理科室へと歩いた。その間、式橋さんは無言というね。まぁ話しかけられても困るわけだけども。うまく返せる自信ないし。地味に理科室が遠くて嫌だ。

 地味に長い道のりを二人は無言で歩く。


 理科室の前に出ると、式橋さんは腕を離すと。


「あなたは少し後から入ってきてください」


 とだけ言うと、先に理科室に入った。なんだ、あの子は……。

 パンダの外見はとても愛らしく可愛いものだが、実際はとても凶暴な生き物である。そのパンダと同様に式橋さんも外面は愛らしく可愛らしいが、内面が凶暴だった。

 そんなこと知りたくなかったよ!俺も周りの人のように「式橋さん可愛いなぁ」で、ずっといたかったわ!遅刻ぐらいで株落ちないから、自分の株気にしすぎだから!でもなんか、アイドル女優っぽい!なんて突っ込みとあほみたいなことを考えて、俺は遅刻ギリギリで教室に入った。


 そんなこんなで、学校が終わりに近づき今は帰りのホームルームだ。担任がいつものように「勉強頑張れ」とか「明日は何がある」だの「○○は居残り」などの話をしているが、俺には関係ないので聞き流す。

 【帰宅部の俺+友達いない俺=早く家に帰りたい】の公式を自分の中に持つ俺なので、担任の話よ早く終われと思うのみだ。


 長く感じる担任の話が終わり下校の時間が訪れる。今日は何をしようかな。あんまし趣味と言える趣味がないので、帰ってもやることが無い。ボッチでも趣味のあるボッチの方が良いと俺は思う。ボッチの中でも最底辺の俺は世界を呪い妬む。

 

 

「俺にだって1つくらい得意なものを寄越せ」と。


 まあ、そんなことを呪っても妬んでも変わらないことは知っている。本当は努力をしない自分がいけないだけだと知っている。

はぁ、ネガティブになる。早く帰ろ……。


「ちょっと待って」


 今日の移動教室時に聞いた声と似ている声が、俺の背中を呼びかける。

振り返るとやっぱり、そこにはパンd……式橋さんがいた。

 

「なんでしょうか……」

「ちょっと、話があります」

「なんのでしょうか……」

「私が怒った時のことについてです」

「覚えが無いので帰ります」


 俺はそのことを伝えると振り返り帰ろうとする。帰ろうとしたが、腕を鷲掴みにされる。またか……。怖いよ、式橋さん。


「……あぁ?帰らせねぇよ?」


 きゃー、イケメンに言われたら、惚れちゃう女性が多数な台詞を式橋さんが俺に伝えて来たー!

 しかし、勘違いしてはいけない。ラブコメではないのだ。式橋さんの顔はニコニコしているが、なんとなく怒ってることが分かる。


「は、はい」


 俺は式橋さんから目を逸らしながら返事をした。猛獣と対面した時は目を合わせてはいけないのだ。ちなみに、一回目を見てから、目を逸らすと敵だと認識されるから、最初から目を合わせてはいけないぞ!

 俺は話しかけられてから、一回も目を合わせていない。


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