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出会った日

はじめは、付き合うつもりなんて考えもなかった。

好きになるとも思わなかった。





その日は晴れだったか曇ってたかも覚えてないけど、ひどく憂鬱だったのは覚えてる。


ふだんなら家にまっすぐ帰るいいこちゃんな私だけど、今日は家に帰る足取りが重たい。

足が勝手に近くの公園へ向かっていた


夕暮れは嫌い、ものさみしい気分にさせるから。


昔から考え事をする癖がある。しかも考えても無駄なことを。


そんな自分に酔ってるみたい。



暖かくないベンチに腰掛けて、物思いにふけるのも悪くないかも、なんて思う瞬間、なんだか声が聞こえた。


「おぉ! 久しぶり!」


一瞬だったし、ぼんやりしてたせいで自分に声を掛けたって理解できなかった。


「お、おーい。目を開けたままこんなとこで寝るなぁ」


目の前でひらひらと手を振りながら叫ぶおとこ。ハッとした。


「え!? わ、私? って、タクさんだぁ」

間抜けな声を出した私とそれを笑う男


タクさん。


特別それほど仲がいい訳でもない。

ただおしゃべり好きな女みたいな男


久しぶりと言うように学校も違うし、昔同じクラスだったわけでもないけど、近所に住んでるせいでたまに見かける。


「こんな偶然もあるんだなー」


「うーん、まぁ、偶然でしょうね」


我ながら冷たいと思う返事をした。しかし、それには理由があるんだ。


こいつには彼女がいた。


私とは違う、可愛らしい女の子。


「マイちゃんに怒られますよ?」


嫌味ったらしく言ってしまった。

マイちゃん、こいつの彼女の名前だ。


他の女と話すなという無茶ぶりをマイちゃんがこいつに言ってたのをたまたま聞いてから、私はマイちゃんとちょっと距離を置くようになったんだ


マイちゃんは周囲全てを牽制していた

全ての女性が自分のライバルだと宣言してた

仲良くなるきっかけがなくなった。

もったいないな。仲良くなれるなら、なりたいのに。



「うーん・・・・・・」


困ったように笑ってるタクさん


「別れた・・・・・・ってか、まだ話し合い中かな」


やっぱり。なんかそんな感じがしてた。

マイちゃんが泣きながら来るとか言わないでよね。


「うーん・・・・・・まぁ、話し合い出来てるならいいんじゃ?納得させるしかないよね」


「え!何でマイが納得してないってわかったの?」


いやいや、わかるってば。少なくとも女子には。なんとなくだけど。


「マイちゃんがタクさんの事が大好きだって、この地域の人達が知ってるぐらいじゃない?」


「いやー、それはないでしょ」


ないけど!

それぐらいみんなに言って回ってるのを知らなかったのかこの人は!


「とにかく、ちゃんと話し合いしたほうがいいよ 付き合ってたんだからちゃんとしなきゃ」


「うむ。わかった。ちゃんと話すからまた俺のグチ・・・・・・話を聞いてくれ」

と言いながらタクさんは私のスマホを奪った


「ちょっ・・・・・・コラ何するん」


「近いうちに連絡する」


スマホを手渡してまたねと去っていった



何だあいつ。いくらなんでも勝手すぎる!

とは思っても口に出せない私がぼんやりと座ったままだった


絶対これ、あのカップルに巻き込まれるパターンだ。



ほんの30分前におとなしくまっすぐ帰っていたら、タクさんに出会わなかったのに。


偶然か必然か、巻き込まれ体質か。


その時はまだ何にも深く考えてなかった。


ま、べつに暇だしいいけど。

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