迷宮開発日誌②
あまりに長くなりそうなのSSを外しました。
坑道ダンジョンって崩落があったら全てが台無しじゃないかなぁ?
と、俺ネクは考えながら進んでいった。
ダンジョン自体はかなり広く設計されているようで幅が五メートルのほどの通路の他に百メートル四方の小部屋も複数存在していた。
しかし……広いな。
全体の総面積はそこなででないが、一部屋の広さ、通路の幅は相当のモノだ。
これは本当に対人に設計されたダンジョンなのだろうか?
人であればここまでの広さは不要のはずである。
ひょっとしたら巨人族や大鬼族など大型種を想定して創られたのかもしれない。
解析してみると地下積層型で五層構成になっている。
五層と言っても、一層のサイズが馬鹿みたいにあり、また、地盤補強のために階層間は相当に長いつくりになっている。
なるほど、これは一キロ四方の立方体として設計されているのか
過去の担当が強化を施しているといってもかなりの年月が経過し、おそらく相当に痛んでいるだろう。
また、そこまでの深度がある坑道ダンジョンである。酸素など望むこともできまい。
そこまで考えると一旦地上に戻ることにした。
地上ではドリーアドたちが樹海を動かし、居住区を作ろうとしている。
そこれを見ていながら、ふと思いついた。
「ふむ……精霊……か……」
今回、俺が創ったドリアードは物質体であり、移動などにも制限がある。
しかし、本来の精霊は精神体であり、ドリアードならば木が有るところならば自由に移動し、木々の根などを通し、かなりの広範囲に移動すことができる。
そこで、ダンジョンにドリアード用の移動ルートを確保することができれば、そこに生来の精霊を召集し、ダンジョン内の整備も任せることができる。
思いついたら実行である。
俺は地上部からダンジョンの中心部がある地点に移動し、そこにあるものを創ろうとした。
(さすがに直接植えて成長させると中で圧迫されて崩壊するからな……)
俺はおもむろに大地に手を付き権能を行使する
「さてと、【創造:土精霊】」
俺の行使とともに大地から土竜のような姿が現れる。
土精霊。姿形は不定系であり、周囲の土や岩を操作し、自身を形づくる。
今回は受肉させず、精神生命体で創り出した
さっそくノームにスキルを付与する。今回は彼らが持つ、本来のスキルで事足りるため、『思考共有』のみで十分である。
俺はノームに求めたスキルそれは『大地操作』である。
創ったノームに命令を下し作業させる。
「これより、地下迷宮部周辺の岩盤を圧縮し、迷宮内の外壁の硬度を高めるのだ。」
そう命令を下すとノームたちは地面に消えていく。
それを見届けるとポケットから1つの種を取り出した
なんの変哲も無いリンゴの種。
コレを基にあるものをつくる予定なのだ。
種を植えると権能を行使する
「次はコレか……どれ。【創造:変異-精霊樹】』
力の行使とともにリンゴの種から芽が出て急速に成長する。
俺はリンゴの苗に神力を大量にこめる。更なる成長を果たしてきたが、地上部は 成長に任せ、俺は地下部の根を操作する。
根を貼り伸ばしながら迷宮を包んでいく
崩落を防ぐため、ノームに外壁を強化。その周囲を精霊樹に改良した根で包み取り込んでいく。
地下深くにまで届く根を持つ樹木
地下部が完成するまでにリンゴの樹はゆうに数百メートルの高さまで成長していた。
この樹に精霊を宿すことでドリアードとの連携を取らせつつ、地下ダンジョンの空気の循環・管理が容易となる。
「さて、有る程度高位のドリアードが必要だな、召喚して呼ぶのが手っ取り早いが。俺が召喚すると問題がなぁ……」
俺が人界に存在する精霊を召喚するとおそらく……ほぼ確実に問題がおこる。神界までその問題が影響するならあとあと面倒になる。
またハゲとか煩いやつらが騒ぎ出すのだ。
一応確認しておくか
「オルか、ちと聞きたいが、ダンジョン管理で精霊を召喚するが、問題はあるか?」
俺は神界にいるオルに直接確認の連絡を取った
『本来なら問題は無いと言いたいとこだが……なぁ、あまり大事にしないようにしてくれ。こちらはフォローを入れておくから』
「世話になるな、ありがとう」
『せっかくだ、完成したら再度連絡をくれ、暇そうなのを連れてそちらを見に行く』
「了解了解」
一応の了承を得た俺は早速召喚を行う。
召喚と言ってもほかの種族とは違い、呪文や契約など不要。ただ呼ぶだけでいい。
「俺が力を必要としている! こい! ドリアード!」
神力を込めて呼びつける。
すぐさま召喚門が開き、ドリアードが出ようと……出よ……混んでるな……多い多い多い!
あ、一番先にでたヤツが他のを押しこんだ……。
「御声を御かけ頂光栄でこざいます、わが神よ。なんなりと御申しつけください」
召喚されたドリアードは恭しく一礼をした。
「ご苦労、急な呼びかけで迷惑を掛けたようだが……他のヤツラは大丈夫か?」
先ほどのゲートから大量に沸いたドリアードを思い出しながら問うた。
「ご心配には及びません。彼らは自分の仕事に戻りましたので」
にこやかに言うドリアード。まぁ、いい。アレだけの高位ドリアードが1箇所に出現したら大問題になったろう。未然に防げてなによりとしておこう。
「そうか、ならばよし。お前にはダンジョンの管理を任せたい。ヤドリギを用意したので、それに宿り、力となってくれ」
そういい先ほどつくった精霊樹に目をやる
「これほど立派な樹をお任せいただけるとは……ありがとうございます!わが神よ!」
悦んでもらえて何より。仕事を任せる以上やりがいのあるものとしたい。
「樹に名前はまだ無い。お前に名があるのならその名をつけるが、名はあるか?」
高位のドリアードは民間において崇められていることが多い。その信仰で受けた名があるのならそれをつけようと思う。
「いいえ、名前はありませんでした。来る前はエルフ族のルミリア氏の集落におりましたが」
ふむ、エルフの森に居た精霊か……あとで主神にわびておこうか。
名前が無いのならば精霊樹とも共通する名を与えたほうがいいだろう。
「ならば名を与える。『ルイミウォテル』以降そう名乗るといい」
名付け
高位の存在であればあるほど名というのが重要になってくる。
愛称などではなく、魂に付与される名付けは自分と同格か、高位の存在にしかできない。
名前が有るか無いかでその存在の方向性と強度に影響を及ぼす。
たとえば、雌雄が無い生命体に男性の名を与えれば雄体に、女性の名を雌体に変異するほどだ。
……ただし、コレはあくまで力ある存在が名をつけた場合だが。
「おおおお、わが神よ! 私などに名を授けていただき感謝いたします! 今後非才な我が身ではございますか、私の力をお役立てください!」
喜んでもらえてなによりだ。
さて、これで地上部・迷宮部ともにある程度形になったな。
あとは配置する”エネミー”だ。
そう考えながら俺は次の計画を練るのだぅた。
ダンジョンはかなり大きいです。広いことも広いのですが、サイズそのものが大きいイメージですね