迷宮開発日誌①
ネクがダンジョン赴任直後のお話です。
長くなるのでSS外しました
さて、どこから手をつけようか。
ダンジョンを任され……任されたのか? まぁいいや。俺、ネクは今後の開拓を考えていた。
見渡す限りの樹海。そしてそこにポッカリと空いた坑道。
ダンジョン自体はある程度整形されているようだが、他はまったくの未開の土地である。
(ジャングルの中の古代遺跡じゃあるまいし……)
ここまでだとホントにどこから手をつけたものか悩むものだ。
「まずはこの入口周辺を整地するか」
そう考え、俺は周囲の樹海そのものを動かしはじめる。
他の奴らなら自身の眷属に伐採とかの開拓をさせるのだろうが、俺の眷属はとてもではないがそんな作業に不向きなのだ。
周囲を灰燼にしたり、地盤ごと荒地にしたり、薙ぎ払ったりとかならできるのだが……。
まぁ、俺の権能でそこら辺はなんとかなるから問題はない。
入口周辺に存在した樹海をそのままずらしてスペースを作った。
さて、この動かした樹海をどうするか。
現在俺が力を使えるのはダンジョンに限定されている。
このダンジョンの定義だが、ダンジョンの上空も範囲にはいる。
つまり、地下に存在するダンジョンの場合、ここではおおよそ一キロメートル四方ほどの広さが有るようなので、そのままの広さの地上部が俺の管理地となる。
しかし、百ヘクタールの樹海の開拓かぁ……。
そこでふと思いついたことがある。
なにも俺だけで開拓する必要がないのだ。
確かに眷属は役に立たないが、人手なら現地で調達すればいい。
先ほどずらした木々を使って有るものを作りだした
木を素材としているので属性的に適任だろう。
【創造:樹木精霊』
力を行使すると先ほど動かした樹海に変化が訪れた。
樹木精霊。ドリアードともトレントとも言われる存在である。
区分とするなら、トレントは巨木の姿であり、ドリアードは四肢を持つ姿である。
人族はドリアードは樹木精霊がトレントで、植物精霊がドリアードという認識であろう。
また、よく森乙女などどドリアードに言う者もいるが、彼らは本来性別を持たない。
母体としての樹木や草花の雌雄が反映されるだけである。
……あとは俺の趣味とか。
さておき、これだけではまだ役に立たない。本来、精霊種は肉体を持たない精神生命体である。今回作ったのは素体から作成した精霊である。
つまり、本来の精神生命体でなく、物質生命体として創られた変異種だ。
肉体を持たせた理由は簡単である。
「よし、これで樹海そのものがだいぶ減ったな」
ただ単に邪魔だっただけだ。
ドリアードを数十体創ったが、彼らにスキルを与えないといけない。
ドリアード種は種族スキルとして『成長促進|(木)』と『自然魔法|(木)』を持っているのだが、このスキルは開拓には不向きである。
促成栽培だが、精霊種であれば問題ないいだろう。
俺はそう思いながら皆に開拓に必要と思うスキルを授けていく。
『自然操作』『森林開拓』『森林整備』『都市建設』『思考共有』
『自然操作』は俺がやったように樹海を動かすためのスキルだ。
流石に俺がやったような大規模操作はムリだが、小規模であれば複数体いればなんとかなるだろう。
『森林開拓』『森林整備』『都市建設』はいうまでも無いスキルだ。開拓し、必要な森林は整備し、そして都市を建設する。開拓に必要なスキルだろう。
そして『思考共有』全てのドリアートたちをまとめて動かすための、指揮系スキルだ。一体に何か命令すれば、全てにその命令が行き届き各々が最適行動をとることができる。
全員に開拓のためのスキルを与えたところで俺はダンジョン内部に足をむけるのだった。
主人公が主人公してないのでそろそろ動きます。
ギアが上がるたびにやりたい放題になりますのでご注意ください。