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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
1‐2人の長いプロローグ
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知恵の迷宮①

・パーティーメンバーの外見描写が抜けていたので加筆修正しました。

 ……そこは「迷宮都市:エトーリア」、『知恵の迷宮』と呼ばれるダンジョンを内包する都市。

 その都市の酒場には多くの冒険者が集う。彼らは、酒を酌み交わし、情報を交換し、そして再びダンジョンに足を向ける。


 そんな彼らの中にミアたち五人もいた。







「今日はお疲れさん! 腹いっぱい食って明日深部まで挑戦するぞ!」


 ねぎらいの声をかけるのは隊長格のレクス。

 今回のダンジョン攻略はマッピングと出現する魔物の確認を兼ねていたので、ある程度の調査後、皆で町に帰還してた。


「そうだな、出現傾向も判明したし、深部までの大まかな道はわかった。明日深部まで挑んで問題ないだろう」


 そう、斥候兼地図管理を勤めていたカウスが同意する。


 レクスとカウスは幼馴染だそうで、歳も近く、レクスが二十二歳、カウスが二十一歳だそうだ。

「他のやつはどうだ? 問題はないか?」


 私たち残りの三人にそう尋ねながらレクスはエールを煽った。


「問題ないっすよ」

「同じく、問題ないです~」


 と、ベオとネーネが返事する。



 そう、問題はない。私たちはこのダンジョンをクリアするための安全マージンを十分に確保して挑んでいる。

 このダンジョンは既に多くの冒険者たちかに踏破されたものであり、出現する魔物の強さやダンジョンの構成も当初より聞き及んでいる。

 先達の冒険者たちから聞き及んだ安全マージンはLV30

 リーダーのレクスは[ガーディアン]のLV36、一番低いベオで[狩人]のLV31だ。

 私は[騎士]のLV33で十分達成している。


「レクス。私たちのレベルも安全マージンに届いていますので、大丈夫ですよ」


 私もレクスにそう同意した。


「皆は早く上がるのに俺はなかなかあがらないからなぁ、ギリギリだよ」


 そうぼやくベオ

 そんなぼやきを口にするベオを見てみると、彼のモフモフした耳が残念そうに少し垂れていた。


「種族補正ってホントなのかなぁ?」


 この世界には数多くの種族が存在し、彼はその中の獣人族という種族だ。




 このクラスとレベルというシステム。大昔に神族と魔族が人界の生物に授けたものだといわれている。

 クラスはその生物の種族や所属している国・組織などからランダムで3つ生まれたときに付与される。

 そして、十歳の誕生日、その付与されたクラスからの中から1つ選び職業としてつくことができる。

 私の場合、[騎士][戦士][錬金術師]の三つが提示されていたが、冒険者になることを決めたことと、父が[騎士]だったため、現在のクラスを選んだ。

 そして、レベルはそのクラスをどこまで極めたかで表示され、そのレベルに応じて専用のスキルが与えられるのだ。


 このレベルだが、たとえ同じ種族・職業で同じ敵を倒したとしても上昇量は変わってくる。

 何が原因かはわかっていないそうだが、一派的にそのクラスでどのように立ち居振舞ったかでかわってくると言われている。


 そしてベオがこぼしていたように、異種族であると同じクラスが存在していてもレベルの上昇量が違ってくるとも言われている。


 私たち五人のパーティーでは私を含め人族が三人でレクス・カウス・私。そして獣人族のベオとエルフ族のネーネだ。


 獣人族は違いがわかりやすく、獣耳が生えている。

 ただし、派生した部族がかなり多く、ベオは茶色の頭髪と犬科の耳、尻尾がついているだけで他は人と同じ姿をしている。

 髪は短く切られ、そのモフモフした耳とともに、さわりごこちは良さそうだ。

 過去出会った獣人族には、直立した猫だとか兎など、人から大きく離れた姿をしているものも少なくない。それだけの違いがあっても種族は総じて獣人族となっている。


 ベオ曰く、家系に異種族の血が多ければ多いほど人型に近づいていくのだそうだ。

 そしてもう一つの差だが圧倒的な体力。私たちから見ても無尽蔵のスタミナと思えるほどだ。

 この前など、都市間移動の馬車をひたすらに走って追いかけていたほどだ。



 そして、エルフ族のネーネだが、外見は人族とほとんど同じである、気持ち耳が尖っているのだが。ほとんど解からない。

 ただ、最大の特徴として長い寿命があげられ、クラスが決まる10歳までは同じ速さで育つのだが、それ以降は成長が緩やかになるそうだ。

 一説によると。種族の根源として神族の因子があるといわれ、ソレの影響で成長が緩やかになるといわれている。


 ちなみに、ネーネだが、澄んだエメラルドグリーンの髪と瞳をしており、長い髪を後ろでツインテールにしている。

 髪と瞳の色は精霊の加護だそうで、とても気に入っているそうだ。

 外見年齢は十代前半とかなり幼く見えるが、実際は百歳近いそうで、出会ったとき私たちを驚かせた。

 それでもエルフとしてはかなり若いとのことだ。


 そして、種族のレベル上昇差だが、現在ベオがLv31、そしてネーネがLv35となっている。

 ベオの歳は本人もわからないので比較しようもないが、私たちとたいして変わらないようだ。

 そこから考えると明らかにネーネのレベル上昇は遅いと言える。

 エルフのレベル上昇が遅いのは確かに有名で、広く認知されている。

 獣人族の上昇に関しては噂程度であり、身体能力が高い分、上がるのが遅いともいわれてる。


 と、すこし考え込んでいる間に皆の食事も終わり、明日のダンジョ攻略のブリーフィングがはじまろうとしている。


「前情報でも有ったとおり、出現する魔物は蟲系統。それも火に非常に弱い傾向にある。そのため、深部まではネーネの炎魔術を主体にいこうとおもう。ネーネ、魔力は足りそうか?」

「何とかなると思うよぉ? 念のため、マジックポーションは数本確保しているけどぉ」


 そんな二人の会話にカウスが同意しつつ


「確かに、そのまま剣で切りつけてみてもかなり硬かったですからね。逆に燃えていると甲殻がもろくなって切りやすかったですね」


 確かにあの蟲型魔物は硬く、剣で切りかかっても通常だと刃がすべってしまって切ることが出来なかった。


「でも勿体無いよな~、あの蟻甲殻。素材としてけっこう高値で取引さえれてたよな~」


 そんなベオの言葉にレクス苦笑しながら


「仕方ないだろう。焼かないと俺たちでは仕留められないのだから、上位冒険者やクラスの[採集者]などなら狩れたのだろうが」


 と口にする。

 高レベルの存在や、魔物の素材狩りに特化した職業の[採取者]などであればあの素材を手に入れられるのだろう。

 ベオは解かってはいるがうらやましそうにしていた。


「話が少しそれたが、続けるぞ。問題は深部のボス部屋だ。このダンジョンではボスとして梟の大型魔獣が出るということだ。今回のは飛行型だから、ベオ、お前が主軸となる。」

「俺もレクスも一応クロスボウを持っていくが、スキル補正でお前が有利だ。なんとか地上に落としてくれ」

「了解っすよ、撃ち落としてチャンスをつくるので皆まかせたっすよ」


 レクスとカウスの言葉にベオが胸を張って応える



 魔獣。魔素から自然発生する魔物とは違い、魔族の眷属などとして知られている。

 基本的に動物と同じく繁殖して増えるものが一般的で低位の魔獣ならばテイムして使役し、高位の魔獣は契約召喚となる。

 今回のダンジョンは後者で、管理している魔族が契約している使い魔のはずだ。

 部屋の中に挑戦者が入ると自動的に召喚され、倒すか倒されるかすると元の場所に戻るだろう。

 このようダンジョンではボスとして魔獣が召喚される。

 この魔獣を倒すことが出来さえすればこのダンジョンは完全踏破クリアしたことになり、ダンジョン主より何らかの祝福がもらえる。



 私は皆の話を聞きながら、自分の願いに一歩でも近づくため、明日の挑戦に思いをはせた。

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