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元勇者のヒキニートは転職屋を始めました。  作者: 垢スジ
駆け出しのプロローグ
7/12

Ⅱ-4 環境に侵されて。

 オレの提案はことごとく実施された。

 32V型の薄型テレビにBLレコーダー。オレが愛用していたゲーム一式にマジカルハート☆プリティアサちゃんのDVD全巻とフィギュア。他にも多数が殺風景だった部屋を侵食していく。

 だがしかし、

「全部オレの部屋の物ばかりじゃねぇかっ」

「はい。私は錬金や複製の類いは苦手でして……存在している“モノ”の召喚しかできないんです」

「戻せ!今すぐ戻せっ!!」

「は、はひっ!」

 声を裏返して返事をしたと思ったら、なにやら呪文を唱えて門となる魔法陣を顕現させてオレの愛玩(あいぼうたち)を元に戻していく。

「……こ、これでよろしいでしょうか…?」

 恐る恐ると言った感じな召喚師ユアは、小型犬みたいなうるうるとした目で見つめてくる。

「あ、あぁ。あんな詐欺みたいな真似、もう止めろよ」

「はいっ。勇者様に誓ってもう致しません!」

 オレに誓うのか。いいけどさ。

 それにしても、忠実な犬みたいな奴だ。これなら近くに置いても差し支えがなく、さらにカズミみたいにガッツいて来ないし……あれ、これよくね?

「今思いついたんだけどさ」

「は、はいっ。なんでしょうかっ」

 そんなにかしこまなくても……。

「これならいっそのこと、オレん家に住めばよくね?」

「…………」

 ユアの顔が固まり、一拍置いて、

「」

 ボンッと一気に顔が真っ赤に染まる。それはもう盛大に。

「そ、そそそ、それはどういう意味でしょうかっ?!」

 噛み噛みなユアは動揺しまくりながら訊いて来る。

「そのままの意味だよ。そんなにオレの傍にいたいなら、むしろオレの所にくればいいって話だ。オレを呼ぶより、そっちの方が合理的だろ?」

「そ、それは……はい。そうですね…」

 嬉しそうにしてた割には歯切れがわるい。

「どうした?いやか?」

「そ、そんなっ!いやなんて滅相もありませんっ!!」

 そこまで否定するか。

「ですが……私は召喚しかできないんです。戻すことはできても、その場のモノを移すことはできないんですよ…」

 さっきの動揺とは別に、肩を落としてがっくりするユア。

「なら物は考えようだな。自分を召喚しちまえばいい」

「……自分を召喚?」

「そうだぜ。実在するものや人の召喚ならできるんだろ?だったら、自分を別の場所に召喚すればいい。その時に一緒にオレ帰してくれ」

「……自分を、召喚…。これは自分を召喚対象として扱い、目的の場所は勇者様を帰す場所と同期すれば……いけるかも知れません!」

「よしきた。なら早速よろしくっ」

「はい!」

 ユアは再度呪文を唱えて魔方陣を顕現する。

 これでオレは帰れる……っ。

 体が光に包まれ視界がブラックアウトする。転送している証拠だ。

 おかえり、オレの相棒達。ただいま、オレの魔改造部屋(マイルーム)

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