Ⅱ-3 オレは使い魔で飼い主は巨乳です。
異世界に召喚転移されてからまだ数時間。オレは召喚師である巨乳女とあれこれ話をして時間を潰していた。
「私の名前はユカリ・アーシアって言います。ユアって呼んでくださいね」
「オレは――」「勇者様ですよね」
「いや、オレは勇者じゃなくて」「勇者様ですよね」「……オレ」「勇者様♪」
駄目だ。こいつオレの名前を勇者で固定しやがる。話になんねぇ。
「オレは元勇者なんだぞ」
「私は勇者様が元勇者であれ、尊敬してます」
話が噛み合わないぞ?
これ、どう足掻いてもオレが勇者で確定じゃねぇか。
「じゃあ聞くぞ」
「はい。なんなりと」
「バストはいくつだ」
「86のFでございます」
即答かい。まぁ、でかいな……見た目よりあるぞ。もしかしたら着痩せするタイプなのか?
いや、とうでもいいんだけどな。
「てか、オレを召喚したのが召喚師ってことは、オレのことは使い魔扱いってことになるんじゃね?」
王族などの召喚とは異なり、召喚師は大抵魔族や式神の召喚を行う。だから召喚されたものは召喚師の使いとなる訳だ。
「そうなりますね」
否定ではなく肯定するユア。
「勇者の次は使い魔かよ……なんて厄日なんだ」
「私はすこぶる良い気分ですよ?」
「お前はそうだろうなあ…っ」
自分勝手の都合で召喚しておいて、気分がわるいとか、どんな最低な奴だよ。
ま、オレが言えた義理じゃないが。
「ったく。オレは家で気持ちよく二次元幼女の萌え画像を集めてたってのに……台無しだよ」
細かく言うと、虹幼女のエロ画像だが。
「すみません。勇者様の気分を害したのなら謝罪します。私の躰を好きにしていただいて構いませんから。それで許されるのなら、私は……」
そう言われるのは悪くはない。
だがしかし。オレは三次元などには興味はない。くどいようだがな。
「だったら今すぐにでも元の世界に帰してくれ。そうしたら許してやる」
「そ、そんな……せっかくお呼びしましたのに…。殺生な……」
目がうるうるしたと思ったら俯くユア。
なんかずるいぞ……。
「わかったよ。ユア、お前の用事を済ませるまで帰らない」
「本当ですかっ?!」
顔をこれでもかって具合に近付けて来るのを押し退けながら言う。
「だが一つ条件だ」
「はい。なんでしょうか?」
「オレが言うものを取り揃えろ。そうしたら居てやるよ」
これでできなかったら即お帰りだな。
「はい。わかりました。勇者様の仰る物をなんなりと揃えて見せましょう」
「……はい?」
こうしてオレは自ら墓穴を掘ったのである。