1/12
Ⅰ-1 魔王は偉そうで勇者は無茶ぶりで。
魔王ダンジョンF30の王室間。
そこで人の形をした巨大な悪魔と、Tシャツにジーパンという服装の剣を持った少年が向き合っていた。
それは魔王に立ち向かう勇者の図であった。
「我ガ名ハ、魔王デス・デーモン。勇者ヨ。オマエノ力ヲ見セテミヨ」
「片言でごちゃごちゃ言ってんなよ。もっとハキハキしゃべれよ怪物野郎っ!」
少年は剣を水平に持ち魔王デス・デーモンに向かって駆け出す。
「・・・威勢ノ良イ小僧ダ」
デス・デーモンは悪魔の羽を広げ、その紫色の裸体を包み込む。
「なんだ?もう守り体勢か?」
少年はニヤリと含み笑いをし、残りわずか数メートルの距離で足を強く踏みその場を跳ぶ。
「だったら好都合だぜっ!!」
剣を大きく振り上げそのままデス・デーモンに急降下「おおりゃっ!」掛け声で勢いよく振り下げる。
「・・・甘イゾ。勇者ヨ」
デス・デーモンは巨体を包み込む羽を広げた。
そして溜め込んだ力を解き放ち、隠していた強大な炎の塊を勇者の少年に向ける。
「んなもんオレには関係ねえぇん、だよ――っ!!」
そして少年は炎の塊の中に物怖じせず突っ込んだ。