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雨降り
生憎、というよりは待ち構えていたような雨だった。ドアを開けた瞬間に染み渡るような湿気が家に入り込み、どんよりと空気を重くした。灰色の空、錆色の雨粒、黒くなるアスファルト。見ていて面白いものは一つもない。
甲冑は目の前を通り過ぎる無数の水滴に目を凝らし、雨ざらしになった後の自らに考えを巡らせると大人しく家に戻ってきた。
いつもと同じ歩き方、彼はいつまで歩いていられるのだろう。
代わりに、とばかりに俺は傘をもって外へ出向くことにした。降る雨、止む雨、止まない雨。ゴロにのって家を飛び出した。
