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 「あっちゃーん!」

 「あ、なっちゃん。」

 「遊ぼーっ♪」

 「うんっ♪」



 公園では、今日も子供達の愉しげな声が響いている。

 走り回ったり、砂場や遊具で遊んだり、それぞれが思い思いに楽しく遊んでいる。

 そして、夕焼け空に成る頃、後ろ髪引かれながらも家に帰るのだ。


 当然、この子供たちも…。


 「なーなー、あっちゃん。オイラ…、大きくなったら、あっ…、あっちゃんを、おっ、お嫁さんにしても、いいかな…?」

 「ボクが、なっちゃんのお嫁さん?うんっ!いいよっ!じゃあ、ボク、なっちゃんのお嫁さん。」

 「うんっ!あっちゃん、オイラのお嫁さんっ!」

 「「うんっ!約束だよっ!」」

 「じゃあねーっ!なっちゃーんっ!また明日ー!」

 「うんっ!また、明日ー!」

 こうして、2人は上機嫌で別れていった。




 「ただいまー!」

 「おかえり、まなちゃん。随分、ご機嫌ね。何かイイコト有ったの?」

 「えへへぇ〜。オイラ、大きくなったら、あっちゃんをお嫁さんにする約束したのっ!」

 「あっちゃん?何処のあっちゃん?」

 「あっちゃんは、あっちゃんだよっ。いつも公園で一緒に遊んでるんだっ!」

 「そうなんだ。よかったわねぇ、まなちゃん。さぁ、それじゃあ、お風呂に入ってらっしゃい。もう直ぐ、ご飯よ。」

 「うんっ!」






 「出たよーーーー!」

 「こらっ。ちゃんと拭きなさいっ。」

 「はーーーい。」

 「着替えたら、お兄ちゃん呼んできて。『ご飯だよ』って。」

 「はぁーい。」


 そしてトタトタと部屋に行きノックをする。

 「にーちゃん、ご飯だよぉ〜。にーちゃん〜。」

 するとドアの向こうから

 「おう。」

 と、声がした。

 「にーちゃん、入るよ〜。」

 と、ドアを開けスルスル中に入っていく。

 小さな子供にとって、少し年の離れた兄や姉の部屋は秘密基地並みの特別な空間だ。

 「真夏〜。全く…。コレ、直ぐに終わらせるから、ちょっと待ってろ。」


 「なーなー、にーちゃん。」

 「ん〜?」

 「オイラもこんな風におっぱい、大きくなるかな?」

 「ぶっ!?なっ、おっ、お前が読むのは、10年早い!全くっ!」

 そう言いながら、グラビア雑誌を取り上げると

 「なーなー、にーちゃん〜。」

 「あー、もう。いいか、真夏。お前が好き嫌いしないで、良く噛んでご飯を食べれば成れるかもしれないなぁ。」

 「そっかぁー。にーちゃん、何でも知ってるんだー。すげー。」

 どうやら、兄の戯言を信じたようだ。

 「ほら、終わったから下に行くぞ。」

 「うんっ。」





 「いただきまーす!」

 どこにでもある一家団欒の風景。

 そこに

 「ほら、まなちゃん。トマトも食べなきゃダメでしょ?」

 「…うー…。トマト…やだ…。…けど……。」

 まぐっ!あぐっ!あぐっ!あぐっ!………ゴックン!

 「うぅぅ……。おみじゅぅ……。」

 涙目になりながらも嫌いなトマトを食べ、水で流し込む。

 「凄いじゃないか、真夏。ちゃんと食べられたじゃないか。エラいぞ。」

 と、誉める父に真夏は

 「にーちゃんが…」

 「冬樹が?」

 「うん…。にーちゃんが好き嫌いしないで食べれば、おっぱい大きくなるって…。」

 「ちょっ!真夏っ!」

 「「…冬樹…」」

 「えっ!?あっ、いや…。」

 「どうせまた、エッチな雑誌を出しっぱなしにしてたんでしょう?ちゃんと仕舞って置きなさいって、何時も言ってるでしょっ。」

 「まぁ、今回は大目にみてやるが…。次からは、気を付けなさい。」

 「わりぃ…。」






 団欒が終わり暫くすると

 「父上、母上、にーちゃん。おやすみなさい。」

 「はい。おやすみなさい。」

 「おやすみ、真夏。」

 「お〜。まな、おやすみ〜。」

 時刻は、20時を少し回ったところだが、小さい子供にはこの辺りが限度だろう。母親に促され布団に入っていった。










 そして、時間をすっ飛ばして翌日の夕方………


 「まなーっ。帰るぞーっ。まなーっ。」

 冬樹が真夏を公園に迎えに来たようだったが、真夏の様子がおかしい…。

 「いたいた。まな、帰るぞ。まな?」

 「…グスッ…ヒクッ…」

 「どっ、どうしたんだよ、何がそんなに…」

 「…にーちゃん…。あっちゃんが……。」

 そこまで言うと、堪えきれなくなったのか、遂に泣き出してしまったのだった…。





 ピピピピピピピピッ…

 目覚ましの音が鳴り響く…

 「…んぁ……ぁ…うるさいっ……!」

 少し乱暴に目覚ましを止める

 「…ぁ…ゆ…め…?」

 暫くぼーっとしていたいが、それをしてしまうと確実に遅刻する。仕方ないので着替え始めるが

 「何だか、懐かしい夢見ちゃったなぁ…。確か、あの日を境に公園に来なくなったんだよね。あっちゃん…。でも、何だってあの時の夢なんか…。」

 しかし、ゆっくり考えている暇は無い。

 「ヤバイ、ヤバイッ。今日から高校生だってのに、初日から遅刻したら洒落にならん!」



 ドタドタと下に降りると、

 「まなちゃんっ、女の子なんだからドタドタ降りてこないのっ。」

 「ごめん、母上。行ってきまーすっ!」

 「朝ご飯はーっ?」

 「余裕なーいっ!行ってきまーすっ!」

 「全く…。誰に似ちゃったのかしら……?」




 母のそんな思いを余所に、ダッシュで学校に向かうのだった。

 新連載の一回目、如何だったでしょうか?楽しんでいただけたら、幸いです。これから、真夏の活躍(?)にご期待下され〜(笑)

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