第四話◆成長◆
感想?と言うかアドバイス、有難うございました!!順を追って少し頑張ってみます!
「早く上がって来いよ!!」
木の枝から枝へと手を伸ばすジキルに、上から声が掛かる。
見上げれば、自分よりもずっと高くにヨシュアの姿があった。
葉の間を零れる光が眩しくて、思わず片目を閉じる。
『あいよっ』
ジキルは一つ一つの枝を確かめるように、確実に踏みしめ距離を詰めた。
『はぁ〜』息を吐き出し、気合いを入れる。
『うしっ。後少しっ』
そう言うと、力強く枝を掴んだ。
思えば…、
この木に登れるようになったのは何時頃だったか…。
今となっては思い出す事も難しい。
ただ、
夢中で登った事は覚えている。
それは…、自分よりも一回りも体が大きく、
見上げる程の背丈の違いがあったヨシュアに、少しでも追い付きたかったから…
だったかもしれない。
ヨシュアは一つ上だから。そんな言い訳をしながら、随分長い月日を過ごして来た。
そんな自分も、
15を迎えた今では、
体つきも大人へと変化し、軽々…とはいかないものの、何とか登れるまでにはなった。
目指す頂上は目前…。
力強く腕を伸ばし、足の力で体を持ち上げる。
『到〜着!!』
木の上に立ち上がると、
どこまでも続く森の先が見渡せた。
高く在った日は傾き、何処までも続く朱に照らされた景色に、心奪われる。
大地を見つめる目をヨシュアに向ける。
「…何を笑ってる?」
ジキルの視線に気付いたヨシュアが、振り返り怪訝な顔をした。
『別に〜』
ジキルは目線を大地に戻すと、しっかりとした太い枝に腰を卸した。
『木登りでもしないと…お前を見下ろせないもんな』
足をブラつかせながら、聞こえないように呟いた。
「うん?」
『はは…、何でもねぇっ』
「ふっ。変な奴だな」
ふと下を見ると、幼い頃に自分が遊んでいた砂の跡が目に入った。
とは言え、もう殆どが土に埋もれてしまっていたが…。
『あの砂さ…』
「うん?」
『覚えてるか?』
「あぁ、覚えてるさ…」ヨシュアは遠くを見つめた。遥か遠くの海を…
「…姫の為に、あの海へ取りに行ったんだよな」
『そうそう。いきなり
「砂の城が見たい!!」
だもんな』
ジキルはお祈りのポーズをした。
それをみたヨシュアが苦笑う。
「…大変だったよな」
『二人でヨシュアの親父に殴られた』
今度はパンチのアクション。
「…だな」
『ぷっ…あはは』
そんなやり取りに、目を合わせた二人は笑った。
「懐かしいな」
『…うん』
その言葉を交切りに、二人はそれぞれ違う方を見つめた。
日が落ちる大地に、淋しさが押し寄せる。
いつまでもこのままで居られない…。
何故か、
そんな気持ちになった。