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Truth Over  作者: 柊 天音
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第七話◆衝撃◆

全ての気持ちに区切りをつけ、岩山へ向かうジキル。だが、そこで彼が目にしたものは、予想だに出来なかった現実で……?物語は今、衝撃の終幕へと向かう。

 指定された岩山は、俺達が慣れ親しんだあの森、奥深くにある。

 夜が明け始めた空は白く浮かび、森には優しい光が射していた……

            

 嵐の前の静けさとでも言うべきか。そんな感覚。

            

 深い森に足を踏み入れた俺は、少し寄り道をする事にした。

 二手に別れた道を右に入る。

            

 木々が避けたように、ガランとした円形スペース。 その真ん中に一本だけ、そびえ立つ大きな木。

 此処は二人でよく登った思い出の場所

            

 俺はそっと木に触れ、見上げる。

            

 青年の立派な体格となった今なら、楽に登れるんだろうな。

 それを少し、嬉しく思う。

            

 ヨシュアの背中を追い掛けた日々は、もう何処かへ行ってしまった。

 それを少し、淋しく思う。            

 思い出の木の傍らに土を盛り、用意してきた剣を立て墓を作る。

            

 手向ける花は、彼女が作ったブルーリーの花冠……

 それは、ヨシュアの瞳のように蒼い綺麗な花。

            

 遺体の無いその墓の前に座り、目を閉じる。

            

 ヨシュア……俺もすぐ後を追うから

            

(もう、やり残した事は無いな……)

 俺はその足で、岩山を目指した。

            

 暫く歩くと、ポッカリ大きく口を開けた洞窟が見えた。

 遠くで見るよりも山はずっと高く、此処から頂上は見えない。

            

 恐る恐る足を踏み入れると、洞窟の中は思ったよりも広く、ひんやりとしていた。

 しん、としていて、不気味とも言えるこの空洞。

 誰も近付かないと言う理由が、少し分かった気がする。

            

 何かが居る気配は、まだ無い。

 先に進もうと、足を踏み出した瞬間……

            

「行っちゃダメだよ」

『――――!?』

 声が聞こえたような気がして、振り返るが、やはり誰も居ない。

            

(空耳か……?)

 そして、俺はまた歩き出す。

 この時、確かに聞こえた子供のような声。

            

 その声が何だったのか、それは今でも分からない。            

            

 もうすぐ最上階。

 光りが漏れるその先に、俺は足を踏み入れた。

 真っ暗な洞窟から、強い風が吹く見晴らしのいい平地が現れる。

            

 ――――!!

 逆光に目を細めた俺の目に飛び込んできたのは

 あの醜い道化ではなく、いつかに見た、鉄仮面の騎士だった。

            

『お前が、ヨシュアを……

――!!!!』

 問いただそうとした俺に、奴の刃が牙を剥く。

            

(速いっ!!)

            

 キィィィンッ!!!!

 と、凄まじい音と共に、刃がぶつかる。

 ギリギリと、お互いの力を押し合う

            

(クッ……何て……力だ)

            

 受け止めた手は、ジンジンとした。

 少しでも気を抜けば、額から顎にかけ、真っ二つになるだろう。

 いつまでも押し合う訳にはいかない……

 支えていた右足が、ズズッと下がり始める。

            

 俺は押され始めていた。

            

(一か八か……)

 俺は、力の限り剣を右に押し、()を描くと

 体を反転させ、剣を思いきり振り下ろした

            

 瞬間――

            

 俺の顔や体には、大量の返り血が降り注ぐ……

            

 奴はそのまま体を刃で貫かれ、断末魔をあげる事無く

【ドシャリ】と、目の前に倒れ            

            

 その衝撃で

            

 奴の鉄仮面が

            

 割れた

            

『そんな……馬鹿な……』

            

 【ガシャン】と、俺の手から剣が落ちる

 俺が見た、鉄仮面の騎士は…………

            

『……ぁ……ァ』            

            

            

 かつての


 

 親友だった――――

            

            

            

            

            

            

            

            

            

            

            

            

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