5話
放課後
部室に来た俺は呑気にスマホゲームをしていた。俺が所属している部活は美術部。美術部だと平日、ずっと絵を描いていると思われるがそれは作品展に出品するための絵を描く時期くらいだ。ほとんどは暇、まあ、今日はそうじゃないようだ
「机はいくついるかしら?」
「そうだね…10個ほどでいいと思うよ」
「そんなに来るのでしょうか?」
「まあ、運動部にほとんど1年生が取られるのもあるけどどうかね今年は」
と今は放課後に部活動見学する1年生が来たらの話で準備している。ほとんど準備は終わっている
机10個、椅子10個、鉛筆や消しゴムなど用意して準備が終えた頃、1年生が来た
「見学しに来ました…」
「いっらしゃい。さあ、座って」
1年生数人は椅子に座る。
「美術部について説明するよ」
眼鏡をかけた部長が話す。美術部は平日に活動。休日、祝日は休み。
「6限授業の日は5時、7限授業の日は5時半で部活終わりなんだ」
「へえ〜」
結構緩いのがこの部活。文化部は基本的に平日に活動があるのが多い。吹奏楽部のような例外はあるけど。アレに関しては運動部と同じ扱いでいいよな?朝練、夜練をやる文化部なんてあんまりない。
「青野は話さないのか?」
「遠慮するわ。私はやるべきとこがあるもの」
「スマホゲームをしているのに?」
「……」
青野は視線も上げず、指先だけで画面をタップした。
青野はスマホゲームをしていた。どんなゲームをしているのかは見ていないがそんな音を出していないから音源を出さないといけないようなゲームをしていないだろう。
「…別にいいじゃない」
「やるべきことがゲームなのは笑える話だぜ」
意外にゲーム好きだな。春休み前はゲームをやっていたような記憶はなかったから春休み中に何かのゲームに夢中になるようになったってところだろう。
「そう?」
「真面目に勉強するタイプじゃないんだなって」
「テストの点数と真面目はイコールしないわ」
お前が言うとなんかあれだな…
「他の部活もかい?」
「はい。忙しい運動部ってありますか?」
「う〜ん、ほとんどの運動部は忙しいよ?特に野球部は夜8時までやるとか聞いたことがあるね」
部長と1年生の会話を聞く。運動部は基本的に夜までやる。
「ほう?先輩が先輩らしくやってる…」
そう言って現れたのは学校バックを担いで歩いて来た男。
「来たか、外道先輩」
「ふっ…遅くなってすまない」
黒髪に茶色の目を持つ180センチ弱の男、外道先輩。俺と青野と同じ学年だが、こいつは外道なので青野があだ名として外道先輩と言われている。
外道先輩と言われる理由は平気に人を売ったり、他人が不幸になってるところを笑ったりする。ちなみに外道先輩という名前を言われても本人は認めているのか全く気にしていない様子。
やべえ奴ってわけだ。外道先輩というあだ名は3年生…先輩たちでさえ、呼んでいる。
「外道先輩にしては遅いな」
「すまん。掃除長引いてしまった…それで彼らが見学者か?永井」
「ああ、そうだ。虐めないようにしろよ」
「ふっ誰に言ってる」
学校つけているところ悪いが外道先輩と呼ばれているくらいお前悪いことをしているからな。青野たちからしたら…
「外道先輩じゃん」
来たのは茶髪の女の子。160弱の背を持つ荒崎早苗だ。
「なんだ、俺より先に来たわけじゃないのか。」
「は?私先に来ているわよ。」
「リュックあるからね。荒崎は」
「ね〜青野」
仲のいい。まあ、同性なら仲がいいか。
その後、1年生と話した後、1年生は帰った。
「外道先輩。俺たちだけ話させやがって」
睨んでいるのは170センチ台の男、花部武。俺たちは2年生は5人。3年生は7人となっている。
「別に強制はないだろう?」
「そりゃそうだけどよ」
不機嫌になる花部。
「外道先輩にまともな話は通じないわよ」
「あはは…」
「そうね。外道先輩だもん」
青野の言葉に荒崎は呆れた顔をした。
その一言に、誰も反論しなかった。




