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3話

窓の外から柔らかい春の光が差し込む。

教室の中では、誰かがシャーペンの芯を削り、誰かが小声で話している。

風間は席の後ろから俺を見ていた。青野は机の上のペンケースを整えている。


「ねえ、聞いた?このクラスに転入生来るらしいよ」

「転入生…男?」

「う〜ん、でも席空いているからそこの人じゃない?」


空いている席は俺の前の席。


「誰でもいいだろ」


風間は肩をすくめ、俺は軽く呟いた。

教室の端で、小声で名前を囁く声も聞こえる。どうやら噂はすでに広まっているらしい。


ドアが開き、先生が入ってくる。


「皆さん、始めますよ」


クラスがピタリと静まり、転入生の話題も止まった。


「今日、このクラスに転入生が入ります」


教室の空気が一瞬、ざわめく。


青野は目を輝かせ、小さく拳を握った。


「どんな子かな…」


風間は眉をひそめて考え込む。


「ふむ…どんな子か…」


俺は軽く肩をすくめ、心の中で呟いた。


どうせ普通の転入生だろ…


先生が教壇で名前を読み上げた瞬間、教室の空気が少し変わった。


入ってきたのは黒と青が混ざったような長い髪を持つ160センチ台の女の子。


「寺田咲良さんです。よろしく」


ざわめくクラスメイトたち。

俺も、風間も、青野も、それぞれの反応を押し殺しながら転入生を見つめる。


「寺田咲良。よろしくね」

「寺田さんは永井くんの前の席に座ってね」


寺田は俺の前の席に座る


「よろしくね、永井くん」

「よろしく」


俺は淡々に告げて先生を見る。これからの2年生の生活は大変なことになりそうだ…




若葉高等学校、若葉高校と呼んでいる生徒が多数なので若葉高校と言おう。この学校は県内有数…ということもなく、偏差値が50前半と県内の高校の偏差値で数えたら下から数えたら早いほう。


ただ、部活動は盛んで、全員が何らかの部活に所属するのがこの学校の特徴だ。

まあ、茶道部のような週に2回しか部活がないところもあるから楽なところに人が多いのもあるがゆるめの部活も人気があるのが分かる。




その後、一度終わった。ホームルームが終わって始業式前に少し時間があるため話している。


「転入生女の子なのね」

「どっちの性別も関係ないだろ」

「いいじゃない。楽しみが増えたと考えたらね」

「すぐに終わるわよ。転入生の時間は」


なんとも未来の話をしている青野には少し怖く見えた。目が笑っていない。ハイライトのない目でニヤリと笑っている姿は悪女のような…なんというか、怖いな。


「どうせ、すぐに終わるわよ。ふふっ…」


青野の目は少し笑っていない。ハイライトのない目でニヤリと笑う姿は、少し怖く見えた。


「どうせ、すぐに終わるわよ、転入生の時間は」


風間は小さくため息。


「女の世界は関わりたくないな…」


俺は肩をすくめる。


――まあ、気のせいだろうな、多分。


人間関係、難しいものなんだな。人の心を理解するのはできないと思っているがここまでとは…


タイミングよく担任教師が教室に入ってきた。


 簡単に連絡を済ませると、生徒を廊下へ誘導する。

 教師の誘導に従い俺たちは体育館へ移動し、始業式が始まった。



10分も経たないうちに話は終わった。始業式は20分もしないうちに終わった。

学長の軽い話を別のことで考え、聞き流して教室へ戻ると、今日は軽い自己紹介をし、下校となった。




「はぁ…」


学校から離れて駅に来た。風間とは別の方向に家があるので学校の校門のところで解散。1人で帰ることはいつも同じだ。


「これから1年大変なことになりそうな予感がする。いや、気のせいか。」


気のせいだろうな多分…


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