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過労死天使の異世界奮闘記  作者: ゆうたち
第一章:光の都エルドゥラン
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第12話:謎の鉱石

ルークスが消え去った後も、森の静寂は俺の心に深く染み渡らなかった。「はじまりの天使」――その事実は、俺の存在意義を根底から揺さぶった。俺はただの転生者ではなかった。この世界の根源に属する存在。そして、その俺に「全ての結果を改変する能力」が与えられたのは、単なる偶然ではないのだ。

(スローライフを優先する。そのために、脅威を排除する……か)

俺は自分自身の言葉を反芻した。ダラテルカの言葉は、俺に新たな責任を負わせるものだったが、同時に、俺の能力の使い道に新たな視点を与えてくれたようにも感じられた。もし世界の均衡が崩れれば、俺の安寧な生活もまた脅かされる。ならば、自分のスローライフを守るためにも、積極的に「秩序」を乱す存在を排除することは、理に適っている。

これまでの俺は、ただトラブルを回避し、静かに隠遁することを望んできた。しかし、これからは違う。俺のスローライフをより確かなものにするため、積極的に動く必要がある場面も出てくるだろう。だが、それはあくまで「俺のため」だ。誰かのために働く社畜に戻るつもりはない。無駄な労力は徹底的に省き、最大限の効率で、俺の平穏を確保する。

翌日、俺は森の散策範囲を少し広げてみた。金属片のことが気になっていたからだ。それはルークスが「同胞」と言っていた悪魔の痕跡なのか、それとも別の何かなのか。

数日後、森のさらに奥深くで、俺は再び奇妙なものを見つけた。それは、地面に突き刺さった、ひび割1qれた大きなクリスタルだった。周囲には微かな魔力の残滓が漂っているが、以前の悪魔が召喚された時の、おぞましい魔力とは質が異なっていた。クリスタルの表面には、金属片と同じような微細な紋様が刻まれている。

(これは……一体何だ?)

俺はクリスタルに近づき、そっと触れてみた。ひび割れから、冷たい魔力が俺の指先に伝わってくる。その魔力は、どこか懐かしいような、それでいて全く知らないような、不思議な感覚だった。

「結果を改変する」

俺は心の中で念じた。「このクリスタルの正体と、それがここに存在する理由を知る」。

すると、俺の脳裏に断片的な情報が流れ込んできた。

このクリスタルは、「封印のクリスタル」。特定の強力な存在を封じ込めるために使用されるものだという。そして、この場所は、遠い昔、何らかの強大な存在が封印された場所であり、最近になってその封印が弱まっているらしい。あの悪魔が召喚された場所とは違うが、この森のどこかに、他にも封印された何かが存在する可能性があるということだ。

(封印が弱まっている……? ということは、また何か出てくるかもしれないってことか?)

俺のスローライフ計画に、新たな懸念材料が加わった。もし、この封印が破られ、中の存在が解放されれば、俺の平穏が脅かされる可能性は高い。ましてや、それが俺の能力が通用しない存在だったら目も当てられない。

俺はクリスタルのひび割れを見つめた。このまま放置して、危険な存在が解放されるのを待つべきか。それとも、能力を使って対処すべきか。

(どうせ、放っておいてもいつかまた厄介事が降ってくる。それなら、今のうちに手を打っておく方が、後々楽になるはずだ)

俺は決断した。社畜時代に培った、「先の見通し」と「リスクマネジヘント」の思考が、こんな形で役立つとは思わなかった。

「結果を改変する」

俺は明確なイメージを脳裏に描いた。「この封印のクリスタルが完全に修復され、内部の存在が再び、永久に封印される」。

俺が能力を発動させると、クリスタルのひび割れから光が溢れ出し、みるみるうちに修復されていく。そして、クリスタル全体が、以前よりもさらに強く輝き、地面へと深く沈んでいった。最終的に、そこには何も残らなかった。まるで最初から何もなかったかのように、森の地面は元通りになっている。

よし。これで一つ、厄介事を片付けた。

俺のスローライフは、決して楽な道ではないのかもしれない。しかし、自分の力で、自分の望む「結果」を創り出せるこの世界でなら、きっと最高の平穏を掴めるはずだ。

ルークスが消え去った後も、森の静寂は俺の心に深く染み渡らなかった。「はじまりの天使」――その事実は、俺の存在意義を根底から揺さぶった。俺はただの転生者ではなかった。この世界の根源に属する存在。そして、その俺に「全ての結果を改変する能力」が与えられたのは、単なる偶然ではないのだ。

(スローライフを優先する。そのために、脅威を排除する……か)

俺は自分自身の言葉を反芻した。ダラテルカの言葉は、俺に新たな責任を負わせるものだったが、同時に、俺の能力の使い道に新たな視点を与えてくれたようにも感じられた。もし世界の均衡が崩れれば、俺の安寧な生活もまた脅かされる。ならば、自分のスローライフを守るためにも、積極的に「秩序」を乱す存在を排除することは、理に適っている。

これまでの俺は、ただトラブルを回避し、静かに隠遁することを望んできた。しかし、これからは違う。俺のスローライフをより確かなものにするため、積極的に動く必要がある場面も出てくるだろう。だが、それはあくまで「俺のため」だ。誰かのために働く社畜に戻るつもりはない。無駄な労力は徹底的に省き、最大限の効率で、俺の平穏を確保する。

翌日、俺は森の散策範囲を少し広げてみた。金属片のことが気になっていたからだ。それはルークスが「同胞」と言っていた悪魔の痕跡なのか、それとも別の何かなのか。

数日後、森のさらに奥深くで、俺は再び奇妙なものを見つけた。それは、地面に突き刺さった、ひび割1qれた大きなクリスタルだった。周囲には微かな魔力の残滓が漂っているが、以前の悪魔が召喚された時の、おぞましい魔力とは質が異なっていた。クリスタルの表面には、金属片と同じような微細な紋様が刻まれている。

(これは……一体何だ?)

俺はクリスタルに近づき、そっと触れてみた。ひび割れから、冷たい魔力が俺の指先に伝わってくる。その魔力は、どこか懐かしいような、それでいて全く知らないような、不思議な感覚だった。

「結果を改変する」

俺は心の中で念じた。「このクリスタルの正体と、それがここに存在する理由を知る」。

すると、俺の脳裏に断片的な情報が流れ込んできた。

このクリスタルは、「封印のクリスタル」。特定の強力な存在を封じ込めるために使用されるものだという。そして、この場所は、遠い昔、何らかの強大な存在が封印された場所であり、最近になってその封印が弱まっているらしい。あの悪魔が召喚された場所とは違うが、この森のどこかに、他にも封印された何かが存在する可能性があるということだ。

(封印が弱まっている……? ということは、また何か出てくるかもしれないってことか?)

俺のスローライフ計画に、新たな懸念材料が加わった。もし、この封印が破られ、中の存在が解放されれば、俺の平穏が脅かされる可能性は高い。ましてや、それが俺の能力が通用しない存在だったら目も当てられない。

俺はクリスタルのひび割れを見つめた。このまま放置して、危険な存在が解放されるのを待つべきか。それとも、能力を使って対処すべきか。

(どうせ、放っておいてもいつかまた厄介事が降ってくる。それなら、今のうちに手を打っておく方が、後々楽になるはずだ)

俺は決断した。社畜時代に培った、「先の見通し」と「リスクマネジヘント」の思考が、こんな形で役立つとは思わなかった。

「結果を改変する」

俺は明確なイメージを脳裏に描いた。「この封印のクリスタルが完全に修復され、内部の存在が再び、永久に封印される」。

俺が能力を発動させると、クリスタルのひび割れから光が溢れ出し、みるみるうちに修復されていく。そして、クリスタル全体が、以前よりもさらに強く輝き、地面へと深く沈んでいった。最終的に、そこには何も残らなかった。まるで最初から何もなかったかのように、森の地面は元通りになっている。

よし。これで一つ、厄介事を片付けた。

俺のスローライフは、決して楽な道ではないのかもしれない。しかし、自分の力で、自分の望む「結果」を創り出せるこの世界でなら、きっと最高の平穏を掴めるはずだ。


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