結果改変の力で過労を克服せよ!
目の前には、積まれた書類の山が視界を埋め尽くしていた。パソコンのディスプレイからは青白い光が放たれ、頭痛はもう何時間も前から相棒のように張り付いている。俺――佐倉悠人、32歳、システム開発会社の社畜エンジニア――は、残業時間150時間を超えたこの一週間、完全に魂を抜かれていた。
「佐倉、まだ終わらないのか? 明日の朝イチでクライアントに提出なんだぞ」
背後から聞こえる上司の甲高い声が、疲労困憊の俺の胃をキリキリと痛ませる。コーヒーを口に運ぼうとした手が震え、カップの淵が歯にカツンと当たった。ここ数年、こんな生活ばかりだった。プロジェクトが終われば次のプロジェクトが始まり、常に納期に追われ、寝る間も惜しんでコードを書き続ける。いつからか、喜びも怒りも、感動も失って、ただ指示されたタスクをこなすだけの機械になっていた。
「は、はい……もう少しで……」
掠れた声で答えるのが精一杯だった。意識が遠のくのを感じる。ああ、これはまずい。心臓がドクンと嫌な音を立てた。全身の血が逆流するような感覚。目の前が真っ白になり、身体が鉛のように重くなる。キーボードに突っ伏した瞬間、俺の意識はぷつりと途切れた。