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クラスティオ帝国戦記  作者: フルストス
特別機動軍
5/6

戦後処理

「体の調子は大丈夫ですか?」


艦橋の扉の前でシャルロット補佐官に話しかけられる。


「ああ、問題ない。少し頭痛が残っているが支障はない」



艦橋の扉が開いた瞬間、冷えた金属の空気と電子音が混じり合う。

けれど、その中にはかすかに笑い声や誰かのため息が混じっていた。

ここが俺の職場ーーつまり、戦争をする舞台ってことか。

やっぱし実感湧かねえなぁ。

艦長席に座ると、通信が入る。

スピーカーから落ち着いた女性の声が響いた。

「こちら、ナサリシス宇宙港管制室。所属と報告者の身分をお教えください」

えーと、なんて言ったらいいんだ?

「こちらクラスティオ帝国特別機動軍第8突撃艦隊所属、報告者は艦隊長ヘルマン=シュトルツ大佐だ」


またかよ、勝手に喋っただけじゃなくて今度は勝手に敬礼したぞ。

体が覚えてるのか?。


「報告を受理しました。特別機動軍第8突撃艦隊の着艦を許可します」

「了解、第8突撃艦隊着艦を開始する」

「着艦は管制室の指示に従って着艦作業を行なってください」

「うむ、承知した」

「それでは通信を切断します」


そうして管制室からの通信が切れた。

通信が切れたのを確認し、礼式をとく。


「これより誘導に従い、着艦作業に入ります」


艦長席にどさりと腰を下ろした。

艦内が静かになった。

着艦態勢に入ったからか、着艦作業に関する報告以外誰も声を発さない。

艦橋前方からの窓からはとてつもなく巨大な宇宙港が見える。

あれが俺の停泊する宇宙港、ナサリシス宇宙港か。

めちゃくちゃでかいな。

着艦までの間しばらくある。

とりあえず今わかってることとわかってないことについて整理しよう。

今わかってることは主に2つある。

1つ目はこれは夢ではなく転生であること。

2つ目は俺が今第八突撃艦隊の艦隊長、ヘルマン=シュトルツであること。


そして今分かっていないことは今わかってるものだけでも3つ。

1つ目は俺が今所属している組織。国家に所属してるのかそれとも反乱軍やテロ組織に所属しているかもしれないから早急に知る必要がある。どのような組織に所属しているのかを把握できたらその分今後の行動計画もかなり決めることができる。

これは到着したら調べるとしよう。

2つ目、この体について。

俺は俺が転生する前のこの体の持ち主がどのような人物だったのか何も知らない。だから周りの人物との関係や家族構成なども記憶にない。

それにさっきから勝手に体が動くこの現象。これがなぜかも分からない。

そして最後に3つ目、なぜ転生してきたのか。

最後のはすぐには分からないだろうし、とりあえず他の2つは時間ができたら調べてみるとするか。

今後の予定、、、何も知らないな。

シャルロット補佐官なら何か知ってるか。

「シャルロット補佐官、今後の予定はどうなってる?今のうちに把握しておきたい」

「そうですね、今のうちに確認しておきましょう」


シャルロット補佐官、、、シャルロットは手に持っているタブレットのようなものを操作しながら説明を始めた。

「本日の予定です。着艦後、被害報告の簡易確認、士官による報告、それから総司令官への報告と面会。総司令官との面会は15時からを予定しています」

「となると、今はまだ7時だから8時間後に面会か」

俺の言葉に反応して、シャルロットは小さく口元を引き締め、目を瞬きする。

「そうですね。それと迎えの車が14時に来るので、それまでに他の予定を終わらせる予定です」

タブレットを閉じ、肩を軽く回して息を整える彼女の姿を見て、思ったより予定ぎっしりだなと実感する。結構忙しくなりそうだぞ。

「気合い入れていきますか!」

「艦隊長、口遣い!気をつけてください」

「あ、やべ…じゃなくてすまない」


そうして話していると艦正面方向にシールド?のようなものが目に入った。

シールドの奥には艦艇の止めれそうな場所が‘2ヶ所あり、巨大なコンテナやアームがそこらかしこにあるのが目に入った。


「おお、でけえ」

 やべ、また口調のことで注意される。

注意されると思ってシャルロットの方を見たら彼女も目を輝かせていた。


「ここが艦隊長と副艦隊長の艦艇専用の港、初めて見ました」


シャルロットがこちらを見ながら口早にしゃべる。


「噂には聞いていましたがとても広いですね、通常の艦艇用の着艦スペースに比べてはるかに広いですね。あのくらいの大きさなら全長1000メートル越えの艦艇でもすっぽり収まりそうです」


彼女の言っている通り、目の前の窓から見える光景はとても素晴らしかった。

おそらくSFや軍事ものが好きなミリオタがこの光景を見たら大歓喜して喜びの声をあげるだろう。

かくいう俺も前世ではゴリゴリのミリオタだったわけだが、今は艦隊長としての威厳のためにも声に出すのはやめておこう。

また叱られてはたまったものではないからな。

「まもなく着艦体制に入ります」

操舵手の報告が入る。

彼の声も心なしかワクワクしているように感じられる。

今気がついたが艦橋にいる皆が少し興奮しているように感じる。

やっぱしこういうの見たら誰でもテンション上がるよね。


着艦体制に入ると艦は減速し、前方のシールドに近づいていく。

そのまま前進して行き、艦首がシールドに触れると遮られることなくシールドを通過した。

あれみたいだな、ス⚪︎ー・ウォーズのデ⚪︎スターにある通りぬけできるシールド。

すげー技術だなほんとに。


艦はどんどんシールドを通り過ぎていき、艦橋も通過した。


「シールド通過、ドッキング作業に入ります」


そう聞こえると、左右からアームが伸びてきて艦を固定し、通路が艦の出入り口に接続された。


「ドッキング作業完了、出入り口通路の接続を確認。これにて着艦作業を終了します」


ふう、緊張したあ。

…特に何もしてないけど。


「シャルロット補佐官、早速仕事を始めるぞ」


余韻に浸ってる暇はない。

急がなければ仕事が総司令官との面会までに間に合わない。


「はい、それでは早速簡易的な艦の被害確認を行いましょう」


艦長席のモニターに次々と艦の被害状況が映し出される。

「1、2番砲塔に軽微な損傷あり、3番主砲には被害なし」

「右舷砲塔、損害多数」

「ミサイル発射管、12基中5基が故障、反応なし」

「主機関、出力問題なし」

「通信設備、異常なし」


報告は淡々としているが、どこか緊張感が漂う。

今聞いた報告だけでもこの艦は戦いを生き延びたものの、大きな被害を受けたことがよくわかった。

シャルロットはこれらの報告を眉ひとつ動かさずに次々と整理していく

すごい、めちゃくちゃ見やすい。


「おおまかな修理必要箇所は把握できました」

「かなり被害が大きいな、主砲以外の武装がほとんど壊れている」

「そうですね、航行に必要な設備は無事なものの、武装やシールド発生装置や装甲といいたものはほとんどが使い物にならなくなっています」

「修理できるのか?」

「難しいでしょうね、この損傷を修理するくらいなら新しく艦を作り直したほうが予算もかからないでしょう」

「新しく作ったほうが安上がり?」


新しく作ったほうが安いってどんだけ工業力あるんだよ。

この船おそらく600メートルはあるぞ。

そんな巨大な船を作り直したほうが安いって、、、

恐ろしい組織だこった。

とりあえず今は仕事に集中するか。


「シャルロット補佐官、艦内の士官たちに会いにいくぞ」

「承知しました。各課に通達しておきます」


敬礼で見送られて艦橋を後にし、艦内を移動する。

乗員とすれ違うたびに敬礼される。

皆生き生きしており、生き残った喜びを噛み締めているようにも見えた。


艦内の会議室に到着するとすでに士官が10人ほど整列していた。

皆、戦闘後で疲れているはずだがどこか誇らしげにも見える。


「全員揃っているか?」


何をすべきか自然とわかる。


「はい、各課の士官、主任は全員揃っています」


それを聞いて俺は一歩前に出て姿勢を正し、挨拶を始める。

「皆もうすでに知っているだろうが新たに第8突撃艦隊艦隊長に就任したヘルマン=シュトルツだ。まあ、役職は変わったが乗ってる艦は前と同じだ。これまで通りよろしく頼む」


それに呼応して士官達も応える。


「艦隊長への就任、おめでとうごさいます!」


皆生き生きとしてるなぁ


「まずは此度の戦いを生き残ったことを祝おう。皆良くぞ生き残った」


士官達は止めも真面目に聞いてくれている。


「各課追加の報告はあるか?」


そう言うと、士官の1人が出てきて報告を始めた。


「兵装課主任ライヤン=レルスタス、追加報告を行います。先ほどの報告後に新たな損傷箇所が発覚。第3砲塔ターレットリングに亀裂が入っていると外部点検で発見されました。主砲の換装とターレットリングの補修と強化が必要です」


どうやら思っていた以上にこの艦はボロボロなようだ。


「承知した、そのことも頭に入れておこう。他の課は何か追加報告はあるか?」


「航海課、追加報告ありません」

「戦術課、追加報告ありません」

「機関課、追加報告ありません」

「通信課、追加報告ありません」

「医療課、追加報告ありません」

「整備課、追加報告ありません」

「主計課、追加の報告ありません」

「航空課、追加報告ありません」


どうやら追加報告は他にないみたいだな。


「各課、それぞれの仕事に戻って業務を再会せよ」

「了解!」


士官達は敬礼をし、会議室を退室していった。

ふむ、結構結構艦隊長できてたんじゃないかな。


「どうだシャルロット補佐官、艦隊長として新たに就任した私もなかなかに優秀だろ」

「ふふふ、面白いこと言いますね艦隊長。艦長として最低限の業務をいつも通り行なっただけじゃありませんか」

「ねえなんか厳しくない?」

「あなたは艦隊長となったのです。威厳、責任どちらも大切にしてもらわなければならないのです」

「む、それは確かにそうだな」


正論だな。引き続き真面目にやるとするか。


「シャルロット補佐官、他に予定はあるか?現在11時をすぎたところだが何か他に業務はあったか?」


シャルロットがタブレットを操作して予定を確認する。


「先ほど一緒に確認した業務は全て終わりました」

「じゃあ総司令官との面会の準備で何か必要なことはあるか?」

「そちらに関しては問題ありません。すでに報告書は作成してあります」

「何か必要なことがあるとすれば報告書の確認くらいでしょう」

「じゃあ昼食をとりながら確認しよう」

「承知しました士官食堂に向かいましょう」


会議室を出て艦内案内に従いつつ士官食堂に向かう。

乗員用食堂を通り過ぎてその奥にある部屋が士官食堂だった。

士官食堂は想像以上に豪華だった。

豪華な装飾のついたシャンデリアや机が設置されてる。

壁には外の様子が映されているモニターが設置されている。

なんかテンション上がるなこういうの見ると。

SFって言ったらやっぱ飯も魅力的だよな。

何が出てくるんだろうなあ。やっぱ合成飯か?それと原材料不明でいかにも不味そうなペーストか?

いやー楽しみだなあ。


「シャルロット補佐官、本日の昼食はなんだ?」

「流石にそこまで把握してません」


そんなことを話してると昼食が運ばれてきた。

さーてどんな飯なのかな?

興奮しつつ、視線を向けると目を疑った。

そこにはなんとSFの雰囲気に全く合わない和食があった。


「…は?」


思わず声が漏れる。

いや確かに予想のつきようのない飯が出てくるんだろなって確かに思ってたよ。

でもこれは流石に予想できないよ。今までの緊張とか疲れが消し飛ぶぐらいにはびっくりしたぞ。

しかもちゃんと箸もついてるし。

一応目を擦って見直してみたが現実は変わらない。

思わず体が震える。


「艦隊長、どうかしましたか?箸使えませんでしたか?」

「いや…何も問題ない…箸も使えるから問題ない…」

「そ、そうでしたか。大丈夫ならよかったです」


シャルロット動揺してるなぁ。

ごめん流石に驚きを隠せなかった。


「その、シャルロット補佐官…早速報告書の説明を始めてくれ」

「…はい」


シャルロットが手に持っている端末を操作すと外の様子が映されているモニターが報告書の画面に切り替わった。


「今回の戦闘は我が国と国境の接するクロースティア連邦が軍事演習と称して国境侵犯を行いました」

「いつも通りだな」


む、また知らないことを勝手に話した。

便利な体だな。

俺がなんて喋るのか全く予想できないから普通に怖いけど。


「そうですね」

「今回はどんな理由で開戦したんだ?」

「連邦政府の発表曰く、偶発的な事故によって発生した悲劇的な戦闘…となっていますね」

「意味のわからん説明だな」

「この言い訳何回使うつもりなんでしょうね」

「この先もずっと使うんじゃないか?」

「そうかもですね、宣戦布告でもされない限りはその言い分で通してそうです。」

「まあ戦争状態になったらどちらかが滅びるまで戦い続ける地獄の戦争が始まっちまうだろうな」

「そんなことになったどっちが勝ってもこの銀河の経済ボロボロになってしまいますしこの先もずっと今のように宣戦布告せずに悲劇的な事件として戦闘を仕掛けてくるでしょうね」


その後も説明は続き、おかげで俺が今いる組織について簡単に知ることができた。

まず、俺が今所属している組織はクラスティオ帝国の皇帝直属の特別機動軍。

その特別機動軍に所属する軍のうちの1つの第8突撃艦隊。それが俺の所属する艦隊らしい。

現在俺の所属する国家、クラスティオ帝国は現在あまり良い状況ではないらしい。

2つの方向を敵対勢力に挟まれており、片方は先ほど交戦した「クロースティア連邦」、そして連邦の反対側に位置する反帝国を掲げて小規模な国家が集まってできた「ログナス同盟」。この2つの勢力が定期的に侵攻を仕掛けているらしい。

クロースティア連邦やログナス同盟がなんで敵対しているのかはわからなかった。

まあこのことについては今後調べていくか。

それと今回の交戦の流れをまとめるとかなり悲惨な戦闘だった。

クロースティア連邦の艦隊16000隻が国境侵犯を行い、そこに特別機動軍第5〜10突撃艦隊合計6000隻が到着。

最初は特別機動軍がここは帝国領だとすぐさま引き返すように注意勧告したものの、それに対して連邦艦隊はここは連邦領であるため引き返すのはそちらの方だと言い張り、逆にすぐに引き返すように警告を行なってきた

これに対して特別機動軍は拒否したところ、連邦艦隊が特別特別機動軍に攻撃、その結果交戦状態に入ったものの、敵司令官の戦術にハマった上に数の差で押されて戦線は崩壊、第8突撃艦隊は半壊した。そしてそこにヘルマン=シュトルツに俺が転生してきてそっからあとはさっきまでのの通りの流れだ。


「これにて報告書の説明を終えます。」


シャルロットの声で現実に引き戻される。

気がついたら1時間以上経っており、あと少しで14時になりそうだった。

「迎えが来るまであと30分ほど時間があるな」

「面会までに何かしておきたいことはありますか?」


シャルロット補佐官にそう聞かれた直後、士官食堂の扉が開き士官が入ってきて報告がを始めた。


「第5突撃艦隊艦隊長のハインリヒ=ヴェルナー中将がアクセスコンコースに到着したとのことです」


…なんて?



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