月枯れ葉
月が欠けて
涙溢れた
けれどいつかまた遠く遠くのあなたに
照らされて満ることを
どこかで信じている自分でありつづけられている
月の健気さに掬われる夜だから
幻にならない
本当の幻にならないで
いつもそこに在って、
生きている、空から伝わる
そのあなたの鼓動を聞いていた
幻にならないで
本当の幻をみせないでとそう願った
幻を追って狂いそうになってしまうのは
遠い昔に手放したような気がしてる
母の子宮の中の記憶なのかもしれない
どうか
花よ花、
咲いて 枯れてもまた、咲いてほしい
そうして いつかいつの日か
シワシワの枯れ葉となる手と手を
あなたと重ねてみたかったことを
欠けてゆく月にそっと祈りたくなる
だから、手を放して、
さよならという愛が安らぎの先に
ここに居るからという強い輝きになる
だからどんな空も超えてゆけるんだ
月欠けゆく空も、満ちゆく空も
歌を歌えば 境界線はなく、
ただ 星座の糸が翼のように見えたんだ
冬の夜空に雲海はホワイトリバーのように流れて
星々が奏でる音楽に包まれる
その合間を月枯れ葉が月琴の音色を響かせながら
舞い降りてゆく
おやすみ きみ、おやすみ、あなたと
よくよくおやすみと