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想起回顧譚  作者: なやし
6/7

06.真実

更新が遅くなってしまいました。

申し訳ないです。

「おはよーー」

またグラムに起こされた。朝だ。

昨夜はいつの間にか寝てしまっていたようだ。


リナもグラムに起こされている。

身支度を整えて軽めの朝食を食べる。


今日をどれだけ待ち望んだか、この旅の目的を再確認し再度気合いを入れる。


「グラム、ライラさんの場所は分かるんだよな?」

朝食を食べ終え、準備をしているグラムに聞く。


「まかせてよー、バッチリだから」

気のない返事だがそこまで言うのなら大丈夫なんだろう。


その後、各々の準備をし、宿を後にすることにした。

グラムを先頭にして、導かれるがままに着いていく。


少し歩き続けたところで中央に噴水がある広場に着いた。朝早くなのもあって、周囲の人は昨日と比べてかなり少なかった。


グラムは周囲を見渡しながら

「よし、この辺ならいいかなー?」

と呟くと右手を真上に挙げて、こちらに振り返った。


「なにやってんだ?」

と言い終わる前にグラムの右手から高々と火柱が立った。


目の前で起こった事に驚きすぎて開いた口が塞がらない。リナもびっくりしすぎて声も出ないようだった。

火柱は一瞬にして消え去ったが、王国のどこからでも見えるくらいには目立っていただろう。


「よーし、ここからががんばりどころだよー!」

とグラムは楽しそうにしている。


グラムを怒ろうとしたその時、後ろの方から声をかけられた。


「今の火柱は君達がやったのか?」

後ろを振り返ると二人の黒いローブを纏って顔を隠している人がいた。


「そうだよー、ライラにあいたいんだけど、よんでくれない?」

そういう作戦だったのかと今更気がつく。

だが、どう考えても襲撃者にしか見えないということをグラムは気にもしていないようだった。


「舐めてんのか?はい、わかりましたって引き下がる訳ねぇだろ!」

ローブの男が一人突っ込んできた。明らかにイラついている。

慌てて魔力核コアに手を伸ばし、防御の準備をする。


「リナ、安全な所に隠れてて!」

横で固まっていたリナは、ハッと意識を取り戻しそそくさと避難した。


視線をリナの方から前に戻すと、さっきまで前にいた黒いローブの男がいなくなっている。


しまった、油断した。

左横からもの凄い力で蹴り飛ばされる。

その勢いのまま吹っ飛ばされる、なんとか受け身を取りながら、視界に男を捉えた。


前もって全身を魔力で覆っていなかったら、闘いどころではなかっただろう。


「なんだ、意外と丈夫なんだな、周りを壊さないように手加減して損したぜ!」

そう言いながら、男はまたこちらに走ってくる。


「待て、誤解なんだ!俺たちは用事があってライラさんに会いにきたんだ!」

必死に弁解するも聞く耳を持っていない。


今度は真正面から蹴ってくる。魔力を盾のようにし、蹴りを防ぐ。それでも体ごと後ろに吹き飛ばされる。

先ほどとは比べものにならないくらいの威力だ。


「そんなもん知ったこっちゃねぇ!本当に会いたいんだったら俺を倒せば会えるだろうよ!」

男は再度こちらに走ってくる。


ダメだ、あまりにも話が通じない。こっちが悪いのは分かっているが、それでも腹が立ってきた。

そこまで言うんだったら倒してやろうじゃないか!


右手の盾はそのままに左手に剣を作る。

この前に試した感じだと、この魔力核コアはかなり融通が効くみたいだ。


受けに回れば対応できるが、攻撃を合わせるのは難しいくらい動きが異常に速い。

仕掛けるなら衝突するタイミングだ。


考えをまとめ衝突に備える。

男はまた真正面から突っ込んでくる。

芸がないのか、あえてなのか分からないが今はそんなことどうでもいい。単調な方が対応しやすい。


気がつけば男はもう目の前に迫ってきている。

ここで決める。衝突の瞬間、カウンター気味に攻撃を合わせる。


交錯の刹那、男の蹴りと左手の剣は突如として現れたローブを纏った大柄な人物に止められた。


「はい、そこまで。両者、矛を収めてくれ。」

両手で攻撃を抑えているのに涼しげなトーンの女声が響く。

事態がよく分からないが敵意を感じなかったので、魔力を抑えた。


「な、な、なんで、ライラさんが!?」

さっきまでイライラしていた男は目を見開いて驚いていた。


「俺一人でもコイツくらいなら大丈夫だったのに。」

ボソッと男は呟いた。

何やら聞き捨てならないことを言われたが、一旦聞き流しておこう。


「まぁ、落ち着け。ドレイク、この人たちはどうやら私の客人のようだ。なぁ、グラム。」

そう言いながらグラムのいる方へ振り向く。


グラムと最初に現れたローブの男が一緒に歩いてくる。

「ひさしぶりだねー、ライラ」

予定通りと言わんばかりの顔をしている。流石に後で怒るか。


「全く、五年ぶりだというのにこんなふざけた方法で現れやがって。ジルの野郎はどこにいる?」

さっきまでの静かな声色が少し怒気を帯びている。


「パパなら王国にはきてないよー、手紙はあずかってるけど」

グラムが手紙を渡しながら伝える。


「そうか、そうか、ジルは今どこにいるんだ?」

手紙を貰ったライラの手が怒りで震えているのが分かる。


「アキ村にいるよ。そういえばねー、パパが迎えをよこしてほしいって言ってたよー」

グラムはにこやかにライラにそう言った。


それを聞いたライラは怒りのあまり、貰った手紙をビリビリに破った。

「今まで音信不通だったくせに、どのツラ下げてそんなこと言ってんだ!!」

我慢の限界だったのか広場に怒声が響き渡る。

ドレイクと呼ばれていた男の方を見るとかなりビビっていた。


ライラは大声を出して少し落ち着いたのか、もう一人の男を手招きして呼んだ。

男はすぐにライラの元に寄り、耳打ちで何かを告げられると直ぐに広場を後にした。


「待たせて悪かったな。こちらにも色々事情があってだな、戻ってからゆっくり話を聞くとしよう。」

ライラは頭を抱え、ため息をつきながら言った。

ついてこいと言い、歩き始める。


かなり離れて後ろにいたリナを呼び戻し、一緒にライラの後を付いて行く。

グラムに事前に言っとけと少し怒り、一件落着したことに安堵した。


そのままライラの後を付いて行くと、王城のそばにある小綺麗な館に連れてこられた。


「ここが、我々魔術師会の拠点だ。ドレイク、お茶を用意してくれ。」

そう言ってライラはソファに腰掛ける。ドレイクは慣れた手つきでお茶を出し、空いている椅子に座った。


そのまま反対側のソファに三人ならんで腰掛ける。

ライラはリナの存在に今気がついたのか顔をじっと見ている。


「お久しぶりですね、ライラ。」

いつもの調子とは違い、リナが気恥ずかしそうにライラに語りかける。


リナの方を見ているライラの顔色がみるみる悪くなっていく。

「まさか、カタリナ様ですか!?」

何かに気がついたのかライラは驚きのあまりソファから立ち上がった。


「はい、そうです。」

今まで見てきたリナとは別人のようだった。まさか偽名だったとは。


「何故、貴方様が王国に?返答次第では取り締まらなければなりませんが。」

ライラは困惑しながらも話を進める。


「そこは大丈夫です。ライラが思っているような目的は一切ありません。」

話が見えてこないがこの二人には何かしらの繋がりがあったようだ。

ライラは落ち着きを取り戻し、再びソファに腰掛けた。


「お二人には何も話していませんでしたね。隠すつもりはなかったのですが、話すタイミングを逃してしまいまして。申し訳ございません。」

リナは少し俯きながら俺とグラムの方を向いて言った。流石にグラムも驚いているようだった。


ライラは咳払いして

「私から話しましょう。結論から言うとカタリナ様はこの王国の元王女だ。」


「「「えぇーーーー」」」

あまりにも突拍子のないカミングアウトに驚きが隠せない。グラムもドレイクも目を丸くしている。


ライラはそのまま言葉を続ける。

「王国が大きく変わったのは五年前のことだから、お前たちが知らないのも無理はないがな。

五年前に何があったか、今に至るまで正確に伝わっていないことがあまりにも多い。まずはそこから話そうか。」


長くなりそうだったので一旦切ります。

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