第7物語 幻想の方舟は、願望を奪い別れを与える
"ゆらりゆらり揺れるは魂。願うは心、思いは思考……あぁ、私はまた1人"
それは、まだ千夜が眠る時の話。
千夜は、眠っている時ひとつの夢を見た。
「ここ、は……? 花園……?」
千夜は、つんと香る赤い彼岸花の花園で目を覚ます。
空を見上げれば青白く光る満天の星空が見える。
まるで異世界のようで、現実世界でもあるなんとも曖昧な場所。
「またあたしは知らない世界へ転移した、の? 」
「ちがうよおねぇちゃん。ここは、まだおねぇちゃんのくるようなところじゃない」
千夜が困惑する中で、どこからか少女の声が聞こてくる。
ヨリィーの声でもない誰かの、知らない声。
その声の主は、再度辺りを見渡した際に見つけることが出来た。
ヨリィーと似た小学4年生女児の平均身長程はあるミディアムヘアーの少女。
服装は学校の制服と思われる様相だった。
「どういう、ことなの? まるでここが狭間の世界のような……」
「すぐにわかるよ。もうすぐみんなのおむかえがくるから」
少女の言うおむかえが何かを頭で理解する前に、どこからか汽笛の音が聞こえた。
するとどうだろうか、周りの彼岸花から光の塊のようなものがひとつずつ飛び出してくる。
「これは……」
「みんな、ないてるの。おわかれがいやでさみしくて、ここにのこりたいってねがってるの。でも、いくべきばしょにいかなければならないの」
「そのうえで、みんなはげんそうのはこぶねにつれていかれるの。つれていかれ、うえかしたかをきめるの。そしておねぇちゃんはすでに、げんそうのはこぶねにあっている」
「会ってる……? あたしが……?」
「そう、あってるの。そのうちまたあうよ」
意味深で、わけがありそうな発言を残し夢は晴れた。
あの場所は夢で、生と死の狭間だったのだろうか……?千夜は目を覚まし、ヨリィーと実戦訓練をするまでの間にひとりで考えていた。
「ゆらりゆらり舞う花びら、私は1人いつまでもひとり。哀れな自分は永遠の別れを……」
どこかの誰かが、窓から空を見上げ呟いた。
それが誰かは知らない。
もしくは………
名前:狭山千夜
2つ名:創造者
基礎能力:真言ノ刻
強み:知識さえあれば、地の文を使用して創造・改ざんが可能。
弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。
仲間:ヨリィー・ディメンション
仲間の愛称:よーちゃん
ヨリィーの能力:物語添削
強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。
弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。
相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。
サポート特化なのに添削元に力を与えれない。