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第39物語 解明! 自動文体<マリオネット・シュブリ> 前編

 ここは、ホープアイ王国の一角。

現代風の街並みと言うだけあって、武道館のような作りの大ホールが建造されており、そこにプルミエ一行がいる。

国王陛下であるプルミエの実力を、国民の皆に見せるという意味でも最高の場所だが、後付け的にアルヒェが思いついたことは……


―――これを機に、国民のみんなを元気付けるのに使いませんか?


 という提案だった。最初は人気のないところで戦う話だったが、国の外に出るのも良くないのでこの案を採用することに。

事実、黒化現象の影響であまり良くない空気が流れているのもあり、それを変えるという意味でもなにかイベントを用意するのもいいだろうと思った。

 皆の意見自体は、賛成とのことだった。

ただ、見世物にするのはともかく……そこから発展して賭け事に走るのだけはやめてもらうようにしようということにした。

ちなみに審判役兼司会を務めるのは、当然のようにアルヒェである。


「さてさて! 国民の皆さん集まりましたか?!! 司会は、元騎士団長アルヒェ・ハイリヒが担当いたします!」


 まるでこうなることを分かっていたかのように、レフェリーのような服装をしている。

雰囲気から作るタイプなのかもしれないが、なぜ持っているのかと言われれば、アルヒェをこの世に顕現(うま)れさせた創造者(リビルド)の影響なのだろう。


「これから起きる決戦のために、会場の皆さん、ボルテージマックスでいきましょう!」


 盛り上げ役としては悪くない振る舞いを見せるアルヒェ。

その言葉で会場に集まった国民はみな、歓声を上げて盛り上がっている。

とはいえ、人口自体は10万人と居ないので所々ガラガラなのだが……。

そもそも来ない国民の方が多くて、全体で見ても半分ほどしか埋まっていない。


「それではまず、特設リングの解説から行きましょうー!」


「まずこのリングは、創造者(リビルド)戦争による被害を最小限に抑えるために、異能力による全ての効果をリング外に盛れ出さないように細工されています。仕組みはボクでも分かりません! 故に会場の皆さんに被害が及ぶことはありません!」


「そしてもうひとつ、リングの四隅には、相手を追い詰め有利に戦うための仕掛けを作動するスイッチがあります! あくまで競技であるために殺傷能力が高い仕掛けは用意してませんが、戦況を揺るがすとっておきの仕掛けとも言えるでしょう! 」


「なおそれぞれ1度ずつしか使用出来ず、どのような仕掛けなのかはいざ起動してみないと分かりません!

場合によっては、自分が不利になることも!」


「説明は以上です! それでは、選手の紹介と行きましょう!」


 特設リングと言われたその舞台は、プロレスやボクシングなどでよく見るリングで、ワイヤーなどでできている外見だけは普通のリング。

ただしアルヒェの説明の通り、四隅には赤いボタンが土台付きで1個ずつ置いてある。


「赤コーナー! 我らがホープアイ王国の国王陛下にして、創造者(リビルド)様でもあるお方! プルミエ・エール!」


 一度照明が全て落ち、カラフルなライトで舞台を照らしたかと思うと、舞台袖にスポットライトが当たり、正面から向かって左側からプルミエが歩いてくる。

それだけではなく、プルミエの選曲した曲まで流れてくる。

そのあとは、ただひたすらに笑顔で右手を上にあげてみんなに見えるように大きく手を振る。


「対するは青コーナ、プルミエさんに付き添い続けて数ヶ月は経過したか! プルミエさんによってこの世に顕現(うま)れた導き手! しかし彼女にはなにか秘めてるものがあるようだ! ヨリィー・ディメンション!」


 ヨリィーにもスポットライトが当たり、プルミエよりは小さく手を振っている。

顔はちょっとめんどくさそう。


「……はぁ、もうちょいなんか言い様があるでしょほんとに……」


 ヨリィーはアルヒェの紹介の仕方に文句があるようだ。

だがプルミエもヨリィーも、互いにリングに立ち、武器を抜く。

とはいえ、ヨリィーは武器を持ち合わせていない。

一見すると不利だが、ヨリィーの能力的に問題は無い。


「初めてだね、訓練以外で戦うのは。こんな舞台で戦うことは想定してなかったから恥ずかしいけど……」


「……まぁそうね。悪いけど、ウチは負ける気しないから」


「強気なのは変わらないね。あたしだって負ける気は無いもん!」


「両者揃いました! それでは、殺害以外なら実質なんでもありの競技ィィ、ファイトです!」


 プルミエたちの会話がある程度終わったと見て、アルヒェは直ぐに掛け声を出した。

片手を握りこぶしにして、そのまま天に突き上げる。

それと同時に、プルミエとヨリィーの激しいぶつかり合いが起きる。

素手であるはずのヨリィーは、プルミエの攻撃をかわしながら、口を動かす。


「"我が刃は鋼鉄なり。かぎ爪となり手の甲から剣の変異として現れよ!"」


―――物語添削(リバーストーリー)


 プルミエの剣をかわしながら唱え切れば、ヨリィーの手には3本のかぎ爪として現れた。

その刃先は、プルミエが所持する西洋剣の刀身の部分だけをそのままくっつけたようなデザインである。

ただし、手が怪我しないように、握りこぶしを作ったてから10cm程は切れないようになっている。


「へっ?!」


 それを見たプルミエは、以前の能力よりもできることが増えてる気がすると思ってびっくりしている。

しかし、ヨリィーの猛攻をもギリギリ押さえ込んでいる。


「どうしたの? プルミエ。そのよく分からない姿は飾り? 早く見せなさいよ新しい力を」


「そんなこと言われても……! てぇえやぁあ!」


 真言ノ刻(リフィクション)の時は勝手が分かったが、今回は勝手が分からないし想像もしにくい能力なために、どう扱うのか分からない。

その事もあって、あの時のような巧みな剣術は披露できない。

これでは舐めて戦ってるようにしか見えないなとプルミエは内心思った。

しかし、何とかして活用しないとこの戦い負けると思った。

そう思ってるうちに、隅にだんだん追いやられていく。


「ほらほら、早く能力使わないとあっという間に負けちゃうわよ? プルミエ」


「くぅう……!」


何とか意地でも使えないか、使わせてくれと思いながら応戦すると……


――――戦闘意志を確認。モード変更「剣術:master」に変更。ユーザー認証の必要はありません。


 途端にプルミエの様子が変わる。

その直後にプルミエの剣が、纏っていた装備の1部を剣にくっつける形で太刀へと変異した後に、周りに4基程のビットが展開された。

プルミエの瞳の色は、最初こそ青だったが……今はオレンジ色に染っている。


「なっなに……何が起きたの……?」


 快進撃は、これからだ……。


名前:狭山千夜

新たな名前:プルミエ・エール

2つ名:創造者(リビルド)

基礎能力:真言ノ刻(リフィクション)


強み:知識さえあれば、地の文(えいしょう)を使用して創造・改ざんが可能。

弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。


応用能力:華癒ノ陣(ブロッサムキュア)


強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。


弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。

既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。

また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。


???:自動文体(マリオネット・シュブリ)

説明:未知の力。デメリット・足枷として身についた。

詳細な能力は不明で、ただ何者かに操られているかのような感覚が襲う。


仲間:ヨリィー・ディメンション

仲間の愛称:よーちゃん


ヨリィーの能力:物語添削(リバーストーリー)


強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。


弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。

相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。

サポート特化なのに添削元に力を与えれない。


仲間:アルヒェ・ハイリヒ


役職:幻想の方舟/騎士団長


能力:騎士ノ傲慢(ナインツプライドニア)


強み:自強化+武器変異系異能力。状況に応じて様々な形態に移行できる自強化装甲と、それに対応する為の武器変異を同時に行うだけあって、様々な状況に対して臨機応変に対応出来る万能性に優れている。


弱み:単純な能力相手には強いが、複雑な能力相手には無力で、死を超越することは不可能なため、死に直結する事象に対しては耐性をつけることは出来ない。


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