第31物語 Code:Dreamland
101巡目のプルミエが死亡し、102巡目のプルミエが世界に転移された時、世界に変化が起きたのをリピートは自身の能力で観測していた。
これが本当の希望なのだろうか?と思うだけしかできない。
今までのプルミエが経験してきたことと同じようなことを、102巡目のプルミエは体験したが能力のデメリットで死んではいない。
少し経緯は違えど、全く同じ過程を歩んだことにより、ヨリィーやアルヒェたちとの関係性は現状維持のままである。
「ヨリィーさん、なんだか最近変だと思いませんか? 前と違って世界全体が鮮明になったようなきがするんです」
「鮮明に、ねぇ。ウチはそうじゃないと思うわ。これはまるで夢の中にいるような、明晰夢を見ているような感覚よ」
「明晰夢ですか……。言われてみれば、確かに体がふわふわしますね。プルミエさんに何か変化があったのでしょうか? レイヴェン諸国にいってから」
リピートやシザーズ以外は、世界が何巡もしていることに気づいていない。
だが、世界の変化には気づいているようで……どことなく感じる違和感を抱えていた。
「? 2人はなんの話しをしているの?」
と、そんな話をしている2人の元にプルミエが戻ってきた。
あのリピートとの手合わせの際、デメリットで死ななかったから戻って来れたのだろう。
「いえ、大したことじゃないですよプルミエさん」
「ただ、この世界に対して少しばかり違和感が生まれた。それだけの事よ」
プルミエに対し、アルヒェとヨリィーの2人はそう口にした。
事実そこまで大した話では無いのだが、本人にこの話をするには情報不足だと判断したのだろう。
「違和感……? そんなのあるかな……」
違和感に気づいていないのか、もしくは気づいているが分からないだけなのかもしれないが、プルミエ本人は何も気づいていないらしい。
「ハッキリいってウチもこの感覚は説明が難しいわ。ただ、何か世界が変わりつつあるのは確かよ」
「それよりもプルミエさん、プルミエさんがレイヴェン諸国に行ってすぐあちらの方から交易の連絡がありました。これで、今までと同じくあちらから武器の納品や、レイヴェン諸国が鹵獲した自走式魔道戦車の返却が行われるそうです」
「うん、リピート様がそう言ってたのを聞いた。兵器はあってもなくてもいいけど、国防手段として持っておこう……」
101巡目のプルミエと違い、若干思考が変わっているらしく、呼び方も変わっている。
◇
異境の空間にて、相も変わらず傍観し続けている2人。
その中で、リピート1人だけずっと残基記録を読み漁っていた。
あの謎の文章以外何も記されていないことは変わらないのに。
「Code:Dreamland……。どういう、こと? あたしでも何が起きるのか予想ができない。本当に世界が救われるの……?」
「夢の世界って事だから、そのままの通りなんじゃないの? この世界が夢の世界へと変わるってことだと思うわよ。あの個体がそうするのか、あるいはウチでも知らない何かが起きているか。少なくともウチの能力のせいでは無いから何も分からないわ……」
リピートでもシザーズでも無い誰かの能力によりこんな変異が起きてるのか、あるいは新たに転移されたプルミエが秘めたる力を持つのか、2人にだって分からない。
「ふふっ、まあなんでもいい。この世界は未だ、幻想で出来ていることには変わらない」
この世界を小説の世界とするなら、一種の創作物になると思っているリピートは、妙に納得出来ないなと言う感覚を持ちながら本を元に戻す。
◇
「違和感、か。今はまだ分からないんだろうな……。いずれなにか分かるようになるかな……」
プルミエひとりでアルヒェ達が言ってたことを理解しようとする。
一体なんの事なのだろうという疑問は残るが、自分もその違和感に気づくのかなと思い深く考えるのを辞めた。
―――――"もう1人のあたし"、あとは任せたよ。
汽笛が鳴り響く。
これはどこかの花園からの音。
下界になんて響きはしないし聞こえはしないが、幻想の方舟が仕事をしていることだけは分かる。
今の方舟の中には、101巡目のプルミエが乗っていたのだろう。
102巡目の自分に期待を寄せて、ゆっくり休むことにしたのだろう。
名前:狭山千夜
新たな名前:プルミエ・エール
2つ名:創造者
基礎能力:真言ノ刻
強み:知識さえあれば、地の文を使用して創造・改ざんが可能。
弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。
応用能力:華癒ノ陣
強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。
弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。
既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。
また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。
仲間:ヨリィー・ディメンション
仲間の愛称:よーちゃん
ヨリィーの能力:物語添削
強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。
弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。
相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。
サポート特化なのに添削元に力を与えれない。
仲間:アルヒェ・ハイリヒ
役職:幻想の方舟/騎士団長
能力:騎士ノ傲慢
強み:自強化+武器変異系異能力。状況に応じて様々な形態に移行できる自強化装甲と、それに対応する為の武器変異を同時に行うだけあって、様々な状況に対して臨機応変に対応出来る万能性に優れている。
弱み:単純な能力相手には強いが、複雑な能力相手には無力で、死を超越することは不可能なため、死に直結する事象に対しては耐性をつけることは出来ない。