第21物語 残基物語<リピートストーリー>
"あたしは繰り返す。良き結末を迎えるまで、気が済むまで何度も何度も"
1人の少女は何度も繰り返す。歴史を繰り返すではない、過去と現在を行き来する訳でもない。
ただ、都合のいいように物語を進めるだけ。
「また、どこかのあたしが死んだ。何度も死んだ。あの時託した力を、もう1人のあたしはまだ活かしきれていない」
「それにしても、何度繰り返したかな。ずっとひとり、この世界は良くなるのだろうか」
1人の少女は、無数の本棚に囲まれた空間にぽつんと立っていた。
天井にあたる場所にも逆さまになった本棚が無数にある。
まるで異質で非現実的なその空間は、その少女の部屋なのだろう。
だが、容姿はプルミエとどこか似ている。
違うのは瞳の色が片目だけ金色に輝いてること。
「さて、次の物語はどうなるかな」
少女は無数にある本棚から一冊の本を手に取った。
それは蛇の皮で出来たような、まだら模様の本の表紙。
ページをパラパラとめくりながら、人差し指である一文をなぞる。
―――――"もうひとりのあたし"は、記憶の領域を経由し世界に転移した残基物語に力を譲渡する。個体により多少の変動はあれど、基本的にはあたしとおなじ。
まるで観察記録のような一文を記すその本は、少女の記したものなのだろうか。
「残基-0063:応用能力発現後、ヴァラルフ王国国王陛下の能力にて四肢切断後死亡。せめてもう少し足掻いてくれてもよかったのに…」
「残基-0013:転移後すぐ、精神の錯乱により自ら火の海に入り込み焼死。あまりにつまらない……貴方もそう思うでしょ?」
「……………ウチはどうでもいいわそんな事」
その少女は、ヨリィーにも似た姿の少女に感想を求めた。
しかし、そのものは興味を全く示さない。
「あらそう、まぁいいや……。そのうちあたしも余興に浸ろうかしら。今回の個体は実に面白そうだから」
「……せいぜい遊びすぎないように、リピート」
「分かってるよ、シザーズ。そのうちあなたの力も必要になるやもしれないからね」
「勘弁してよ、たかが余興にウチを介入させないで欲しいわ」
「そっ。じゃあたしはいってくるから……」
リピートはこの異様な空間から、瞬間移動の如く一瞬でいなくなった。
「ウチの力、なぁ……。いつか使う時が来る時は、この世界が持てばいいわね……」
1人残されたシザーズと言われた少女も、1人つぶやきその場から消えた。
世界は、少しづつ動き始めた。
変わり果てたこの世界に、変革をもたらすかもしれない。
名前:狭山千夜
新たな名前:プルミエ・エール
2つ名:創造者
基礎能力:真言ノ刻
強み:知識さえあれば、地の文を使用して創造・改ざんが可能。
弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。
応用能力:華癒ノ陣
強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。
弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。
既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。
また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。
仲間:ヨリィー・ディメンション
仲間の愛称:よーちゃん
ヨリィーの能力:物語添削
強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。
弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。
相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。
サポート特化なのに添削元に力を与えれない。
仲間:アルヒェ・ハイリヒ
役職:幻想の方舟/騎士団長