第17物語 玉座へ向けて
戦いの狼煙は上がっている。
国王陛下とプルミエ達の間には明らかな対立関係が見え隠れしている。
プルミエだけは初見だが、アルヒェやヨリィーから聞いた話でどうしても怒りを覚えてしまった。
だからこうして計画を立て、早い段階で下克上を迎えたのだ。
「さて、着きましたよ目的地のひとつ。ここがセキュリティルームです」
一行は、物静かな廊下を歩きある一角の廊下に差し掛かる。
そこはあまりに殺風景で、怖い程に装飾が何一つ施されていない。
ただただ、一直線にまっすぐ進むだけである。
「国王陛下を守るためだけのセキュリティルーム……。なんだか奇妙」
「この先は赤外線レーザーで張り巡らされてます。肉眼では見えませんが、専用のゴーグルがあれば……」
アルヒェは少し思考する。
以前国王陛下の元に行った時はどうして居たか。
あの時は事前に消してくれてた気がする、そう思った。
「それならさ、"満遍なく張り巡らされる赤外線レーザーは、一つ一つ破壊されていく!"こうすればいいんじゃない?」
そう地の文を唱えた。
するとどうだろうか、一つ一つ破壊された訳では無いが、近くにあった制御基盤から焦げ臭い匂いが立ち込める。
「この匂い……ショートさせたんですね。この方が手っ取り早くはありますね……」
「物語添削を使わなくても結果を残せるようになったのね。確実に成長してるわ……」
「あたしが作者なら、そろそろ主人公を成長させるからね!」
「……そういうことじゃないけど、まあいいわ。行きましょう」
制御盤の破壊は確認した、あとは進行するのみ。
そう思った次の瞬間。
なんの前触れもなくいきなり目の前に自走式魔道戦車が出現した。
それも10機程。
大して広くもないこの場所で、これだけの相手をたった3人でするのが骨が折れる話である。
「真言ノ刻……。陛下もお気づきになられたのですね。ボクが迎撃します、剣を抜いてください!」
アルヒェは2人に声をかけた。
戦いの始まり、剣を抜き颯爽と駆け抜け自走式魔道戦車達を切り刻んでいく。
その剣さばきたるや迅速の剣、目で追うのもやっとな程だ。
剣戟一つ一つが時間差で遅れて見える程に早すぎるのだ。
「すっすごい……」
「ほらプルミエ、ぼさっとしてないでウチらもいくよ」
「うっうん!」
そのあまりの力に一瞬呆気に取られたプルミエだが、自身も自分の身を守るために襲い来る自走式魔道戦車達を切る。
切れ味はあんまりだが、撃退くらいなら出来た。
そうしてあらかたお片付けを済ませたところで……遂に大きな南京錠が止められた鳥籠のような場所にたどり着いた。
通路そのものは長くないためか直ぐに到達したのだろう。
「これが応用能力……。あたしも覚えたけど、また違う力を感じる……」
「ここからは覚悟が必要ですよ。どうなってもいい覚悟はしないと行けませんからね……」
「わかってるわよ。さっさと何とかしましょう」
―――そう簡単に事が進むとつまらないなぁ。ちょっと意地悪してやろう。
誰かは言った、まるでひとりごとのようなそれを……。
それは誰か、何者か……彼女らはまだ知らない。
名前:狭山千夜
新たな名前:プルミエ・エール
2つ名:創造者
基礎能力:真言ノ刻
強み:知識さえあれば、地の文を使用して創造・改ざんが可能。
弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。
応用能力:華癒ノ陣
強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。
弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。
既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。
また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。
仲間:ヨリィー・ディメンション
仲間の愛称:よーちゃん
ヨリィーの能力:物語添削
強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。
弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。
相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。
サポート特化なのに添削元に力を与えれない。
仲間:アルヒェ・ハイリヒ
役職:幻想の方舟/騎士団長