第16物語 創造者<リビルド>戦争開戦!
"国を持たぬ創造者は淘汰され、処分される"
「え? せん、そう……?」
部屋に驚きの声が響き渡る。
プルミエがアルヒェに聞かされたある言葉で驚いていたのだ。
――――小規模ですが、今回の作戦は一種の戦争です。
アルヒェが覚醒世界に戻って少しして発した言葉だった。
国対国ではなく、1個人と国王陛下というかなり小規模な下克上とも取れるような今回の作戦は、正直言ってかなり無謀。
だからこそ、直ぐに攻め込みに行きたいが安易に攻めに行きずらいのだろう。
慎重になるのもわかる話ではある。
「創造者戦争とこの世界では呼ばれてるのですが、規模に関わらず能力者同士の衝突により生じる周辺損害などを考慮した上での総称です」
「今で言えば、レイヴェン諸国とヴァラルフ王国同士での戦争がまさに創造者戦争といえます」
初めて転移した時目の当たりにした光景、あれはまさに戦地真っ只中のようだった。
とはいえ既に争い自体は終わっており、過ぎ去った嵐のもたらした被害を目撃しただけにすぎなかった。
「そう、だよね。この世界を変えるためには創造者のみんなを倒さないとだもんね」
「そうね。でもそう簡単にことが進めば、世界は再構築されてるでしょうけどね……」
なんせ6億もの創造者がいるこの世界。
都合よく話が進むならとっくに解決しているはず……。
やはりこの世界はどこか奇妙だ。
「前から思ってたけど、なんだか虫のいい展開ばかりしか起こらない気がするんだ。あたしはあくまで小説家志望だから難しいことまでは分からないけど、沢山能力者がいるこの世界であたししか世界を変えられないなんて変な話じゃない?」
「それは確かにそうですが、そのことは陛下を何とかしてからにしましょう」
「そうよプルミエ。今は目の前のことに集中しなきゃ」
「………そう、だよね」
気になるところはとことん気になってしまう性格故に深く考え過ぎてしまったなと頬を軽く片手で捻る。
プルミエは集中する時、頬を捻るかビンタすることで一旦頭の中の思考をリセットしている。
「さて、今度こそいこう! グダグダしてても良くないし、この世界が小説の世界だというのなら……いつまでもこのままだと読者が飽きちゃうから」
「あれ? ボクそんなこと言いましたっけ……」
「……ウチが教えたんだ。この世界は小説のようなものだとね」
「まあ否定はしませんが……今はいいでしょう。対象の部屋はボクの部屋を出てしばらく通路を歩いた先です。向かう道中で赤外線レーザーが張り巡らされてて、変なところでセキュリティは万全なので間違っても触れてはなりませんよ」
「他にも即死トラップなど多彩です……。互いに無事で戻りましょう」
まるでダンジョン攻略にでも行きそうな空気感だが、それだけ罠や防衛があるということはそれだけ本能が近づくことを受け付けないのだろうか?
少し過剰とも言えるようなセキュリティを攻略し、待ち受ける玉座の間へと向かうべく、一行はアルヒェの部屋をでたのだった。
名前:狭山千夜
新たな名前:プルミエ・エール
2つ名:創造者
基礎能力:真言ノ刻
強み:知識さえあれば、地の文を使用して創造・改ざんが可能。
弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。
応用能力:華癒ノ陣
強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。
弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。
既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。
また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。
仲間:ヨリィー・ディメンション
仲間の愛称:よーちゃん
ヨリィーの能力:物語添削
強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。
弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。
相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。
サポート特化なのに添削元に力を与えれない。
仲間:アルヒェ・ハイリヒ
役職:幻想の方舟/騎士団長