表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレ少女と竜の国  作者: 渡辺 佐倉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/55

竜の国4

 その部屋に並んでいる地の国の人々をみて、何故驚かないようにと言われたのかが分かった。

 この国の人々は私達の様な人間とは違う人々が暮らしている国の様だった。


 首元に鱗の様なものが見えるもの、手の甲がびっしりと鱗でおおわれて鋭い爪が生えているもの、それから瞳に白目らしきものが無いもの、耳の形が違うもの。

 私たちが精霊と呼ぶものの人型に近しい見た目に見える。


 これは驚かぬようと言われていなければ、精霊と勘違いしてしまったかもしれない。


 精霊には動物に近い物、植物が混ざった人の様な形をしたもの様々だ。

 けれど、ここに集まっている人は皆一様に爬虫類の様な特徴をもったものが多い。


「竜の国へようこそ」


 そう声をかけられる。目の前の真ん中にいるのが恐らくここで一番高貴な方だろう。

 名は名乗ってはいけない。

 それが嘘か本当かは分からないけれど、信じるしかない。


 恭しく礼をすると、目の前の人はふわりと笑った。その顔をみてようやくその人が王冠をかぶっていることに気が付く。

 酷く緊張してまともに周りが見えなくなっていることにようやく気が付く。

 王の後ろにかけられた幕には竜と剣の意匠の施された見事な紋章が描かれているのにそれすら目に入っていなかった。


「魔法の国のお嬢さん。ようこそ我が国へ」


 王が私に向かってそう言った。


 魔法の国? 私の国はそうは呼ばれていない。

 けれどこの方も地の国へようこそとは言わなかった。この国の人々は私たちの事を魔法の国と呼んでいるのかもしれない。


 けれど、私は魔法が使えない。

 私は魔法を使える国の人ではない。


 彼らが魔法を待ち望んでいたのだとしたら、とんだ見当違いだ。


「さて、さっそくだが、あなたのその稀有なる魔法を披露していただけないだろうか」


 私の悪い予感は的中してしまった。私は魔法が使えない。それは稀有なものかに関わらず何も使えないのだ。


「まことに申し訳ありません。

私は魔法がつかえません」


 私がそう答えるとその場がざわつく。

 預言に間違いがあったのだろうか。


 地の国に必要だったのは魔法の使える人間らしい。

 それとも、地の国に不利に運ぶことが預言の趣旨だったのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ