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第086話 色々備えないと心配だ

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

ロイドステアに戻ってからは普通に勤務して、人を把握したり、精霊課が所有している書物を読んだりしていた。その間、資料班の人達に、精霊導師になった経緯や、現在の能力など、色々な事を聞かれた。流石に転生云々の辺りは話す必要が無いので話していないが……まあ、彼らにとっては貴重な生きた資料なわけだし、最大限協力はしましたよ?でも流石に


「では、その精霊と体を同調させるとかいうのを、今やって下さい」


と、実験動物のような扱いをされた時には、カチンと来て


「今ですと、もれなく貴方を攻撃対象と致しますが、宜しいでしょうか?」


と言ったら、自分が失礼な発言をしていることに気付いたのか、平謝りしていたが。


あとは、また「天気を見て下さい」というヘルプが入った。天気だからまだいいけど、毒見の方が駄目だった日には目も当てられない。早く対策しないとまずいね、本当に。




魔法省に入って初めての休日だ。この世界の主要な国の政府機関や学校などは、大体週休1日、8日働いて1日休む。つまり、9日、18日、27日、36日が休日だ。しかし、農業や接客業などを営む人達はその限りではなく、特に王都の商会などは、休日に働かないと商売にならないようだ。私は、買いたいものがあったので、レイテアに聞いてみた。


「レイテア、野営などで使う物品を取り扱っているところをご存知かしら?」


「お嬢様が野営をなさるのでしょうか?軍で使っているものを取り扱っている商会なら知っておりますが……」


「いえ、今すぐどこかへ行くというわけではないのだけれど……精霊術士は出張が多いと伺いましたし、念のため、色々買い揃えておこうと思いまして。丁度異空間収納も可能になりましたし」


「なるほど。緊急時に備えておくのですね。それは良い事です」




ということで、商工組合に寄って、お金を下ろしてから、レイテアの知っている商会に向かった。


「この商会です」


「ドロウズ商会……テルフィはこちらの関係者かしら?」


「そういえば、確認したことはありませんが、そうかもしれませんね」


レイテアと話しながら、商会に入ると、テルフィが店番をしていた。


「いらっしゃいませ……導師様と教官殿ではありませんか!どうなさったのですか」


「あら、ごきげんよう。やっぱり貴女、こちらの関係者でしたのね……少々揃えたいものがありましたので、レイテアにこちらの話を伺って、参りましたの」


「それはそれは。私はここの会頭の娘でして、今日は学校が休日ですので、手伝いに来ているのです」


「そうでしたの、それはお疲れ様。あれから調子はどうかしら」


「私もそうですが、みんな頑張ってますよ。教官殿の授業が減ってしまった分、鍛錬した内容や対戦の結果などを検討して、どうすれば良いか話し合ったり、疑問点を教官殿に質問しています」


「なるほど、それで先日も質問攻めにあったわけか」


「努力することは素晴らしいことです。体に十分気をつけて、鍛錬に励んで下さいね」


「導師様が教えて下さった体操をきっちりとやっておりますので、最近、本当に体の調子がいいですよ。初めは胡散臭そうに見ていた男子学生も、今では真似してますからね。男子学生の中には、是非導師様に剣を教えて欲しいと言う者が結構おりますよ。単にお近づきになりたいという不埒者も非常に多いですが」


「体調が良いのは宜しいのですが……流石にもう、教えるのは無理ですわね……」


話は楽しいが、あまり長居するのも宜しくないし、必要なものを聞いてみるか。


「テルフィ、野営に必要な道具一式を購入したいのだけれど、どのようなものがあるのかしら」


「導師様、野営をなさるのですか?!」


「いえ、精霊術士は各地を巡回することが多いのよ。それで、何かあった時は私にも必要になりそうですから、念のために揃えておこうと思ったのですわ」


「なるほど。それなら軍にも卸しているものを使われては如何でしょうか」


テルフィはそう言って、棚からテント一式やシャベル、つるはし、金づち、おの、ロープ、かま、なたなどや、野外用の食器、調理具、水筒、毛布、ランプと油、野外用いす、机、ハンモックのようなものや、これらを収納する箱などを持って来た。


「とりあえずこんなところでしょうか」


私が使う必要のないものもあるが、同行者がいる可能性もあるし、持っておいてもいいだろう。


「そうね。あと、寒冷地用の衣類などで良いものはないかしら。今の体型より大きめでお願い」


「そうですね……こちらなど如何でしょう」


確かに暖かそうな帽子や上着、手袋、ズボン、ブーツ、毛織のシャツなどもある。導師服を着ていれば必要はないが、着られない状況もあるかもしれない。念のためだ。


「有難う、全て頂くわ。お代はどの位かしら」


「これだけですと………………こちらになります。これらは馬車に運べば宜しいでしょうか」


「ではこちらがお代です。ああ、運ぶ必要はありませんわ。ここで収納します」


と言って、異空間に収納した。いきなり収納したので、テルフィが驚いている。


「導師様、異空間収納の恩寵も持ってらしたんですね」


「先日、洗礼の際に賜ったのだけれど、今回備えようと思ったのは、異空間収納が出来るから、というのもあるのよ」


逆説的に考えて、神様が必要だと判断して与えたのだとしたら……色々準備したくもなるわけですよ。


「なるほど。うちは儲かりますので、有難いですがね」


そんなことを話して、ドロウズ商会を後にした。


その後、市場に寄って、食材やパンを大量に買って帰った。流石に道端で収納するのは目立つので、馬車の中に持ち帰って、異空間に収納した。これで、いきなり放り出されても生きて行けるだろう。


ということで、初めての休日は、買い物三昧で終わった。




休日が終わり、勤務していると、精霊課長が執務室にやって来た。


「先日頂いた本を確認し、検討したのですが、当座は魔力操作の練習を行っていこうと思います」


あの本によると、魔力操作、特に活性化がうまくできるようであれば、魔力が多少低くても、精霊は力を認めてくれるらしい。勿論、属性のエネルギーの感受性を高めることも必要なのだが、王都ではやりにくそうなので、もう少し検討したい、とのことだった。


「そうなのですか。ちなみに精霊術士の皆さんは、アンダラット法は習得されていますの?」


「実は……誰も習得しておりません。魔力操作がそこまで重要だとは知りませんでしたので」


「なるほど、仕方ありませんわね。では、こちらにいる方には私から教えましょうか?」


「そう言って頂けると助かります。我々も習得できておりませんので」


まあ、本が出たのは去年の話だから、そこまで浸透していないだろうし、忙しいから手が回らなかったのだろう。私に教わるのはいい思いをしない人もいるかもしれないが、割り切って貰おう。ちなみに本は、去年アンダラット先生が私に送って来たので持っている。理論と習得法が簡潔明瞭に書かれた素晴らしい本だ。私の感覚だけではなく、この本を利用して、教えて行こう。


あとは……感受性強化をどうすべきかだが……。


「では、明日から朝一で練習していきましょう。あと、感受性強化の件ですが、これは一定期間、集中的に鍛えた方が宜しいのでは?場所の選定はお任せしますが、収穫祭以降であれば、何とか時間をとれるのではないでしょうか。あと、移動は、転移門が使用できるならなお良いと思いますわ」


要は合宿だ。集中的に鍛錬出来るのはいいよね!


「なるほど……そちらの方向で検討いたします。場所は、心当たりがございますので」




ということで、合宿?の方は課長に任せて、当座は魔力操作を教えることになった。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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