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第082話 魔法省初出勤 3

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

総務課事務室を出て、次はいよいよ精霊課だ。課長が話し始めた。


「精霊課は精霊に関する諸業務を行っております。精霊術士も基本的にはここに所属します。精霊課は、精霊術士の運用を管理する運用班、精霊に関する資料収集や管理を行う資料班、精霊術士の移動や警護に関する業務を行う警護班、その他諸業務を行う総務班があります」


「現在、精霊術士は何名所属されているのですか」


「現在は18名です。うち、火属性3名、風属性4名、水属性6名、地属性5名です」


おおっ、そんなにいるのか。何か精霊とか沢山飛び交っていそうだ。


「しかし、現在は各地の耕作地や工事現場などに出払っておりまして、現在いるのは3名だけです」


殆どいないじゃん。なんかこう、女の園で楽しくやっているみたいなイメージがあったのだが……。


「収穫祭が終わる頃には殆ど戻れる予定ですが……。こちらが事務室です」


事務室に入ったら、全員その場で気を付けの態勢を取った。課長が私を紹介する。


「皆注目。こちらの方が本日着任された精霊導師様だ。立場としては魔法省付だが、業務内容的には、精霊課の業務指導をして下さることになる、今後大変お世話になる方だ。導師様、一言お願いします」


「只今課長殿よりご紹介に与りました、フィリストリア・アルカドールです。若輩者ですが、精一杯努めて参りますので、宜しくお願いします」


「では、皆業務に戻れ。導師様、こちらに。精霊術士を紹介いたします」


ああ、何やら人が殆どいない島に、3人女性がいる。あそこが精霊術士のいるところか。


「3人ともこちらへ、君達は導師様と直接挨拶して貰おう」


課長がそういうと、3名の女性が私の前へやって来た。


「お初にお目にかかります。私は精霊女王の加護を賜っておりますが、皆様とは同じ精霊視を持つ仲間として、仲良く勤務できればと思っておりますの。宜しくお願い致しますわ」


「初めまして。私はロナリア・ニルワナと申します。以後、宜しくお願いします」


「初めまして!私はコルテア・センダス。宜しくね!」


「は、初めまして……。フェルダナ・オストフです」


ロナリアは水属性。恐らくこの中では最年長だろう。落ち着いた感じの女性だ。コルテアは火属性。活発そうな感じの女性だ。フェルダナは風属性。少しとっつきにくそうかな?とりあえず、親しみを込めて名前で呼ばせて貰おう。その後、各班の島の場所を確認した後、私の執務室へ戻って来た。


「導師様、少し休憩した後で、精霊課の状況と今後の業務について、報告させて頂きます」


そう言って精霊課長は退室した。入れ替わりに秘書室の方が茶を持って来たので、暫く休憩した。




20分ほどして、再度精霊課長が入って来た。今度は色々書類を持っている。また、ニストラム秘書官も同席するようだ。業務予定の話があるなら、当然だろう。


「まずは精霊術士がどのように運用されているかについて、説明させて頂きます……」


課長が話し始めた。基本的には、春から夏にかけて、地・水・風の3人で一組になり、各領の耕作地の状況を確認しているのだそうだ。この所要がかなり大きいらしい。現在3個組を作り、巡回中とのことだった。


また、現在建設省の方で行われている治水工事2地域に、地・水の2人で2組作り、状況を確認中ということだ。こちらは工事期間中張り付きで、半年に1回交代らしい。


また、イクスルード領とオクトウェス領の境には活火山があり、火の精霊術士が常に監視しているらしい。半年交代で、今は現地で交代して、下番者は帰りの道中だそうだ。


こちらの残留者にも仕事があり、風属性のフェルダナは王都周辺の天気予報、ロナリアとコルテアは、王族などの食事に毒が混入されていないか、毎食精霊に確認しているらしい。


「精霊術士は、大変お忙しいようですね……」


「そうなのです。作物を収穫してしまえば、まだましになるのですが……このような状態ですので、精霊術士が名誉ある立場であると言っても、不満が溜まっている状況です」


「ところで、耕作地の状況確認とは、具体的にどのような事をなさっているのでしょう」


「現地に赴いて、周辺の精霊に、作物を育てるのに問題ないかを聞きまわっているのです。また、精霊術士が赴いた耕作地は、精霊達が手助けしてくれることも多いそうで、そうでない耕作地よりも、収穫量も質も良くなるようです。」


うーん、その程度なら、私が感覚共有して各領を回り、現地の精霊達に聞いた方が早くないか?手助けの方も何とかなるだろうし。


「課長殿、その業務、私が肩代わりできないものでしょうか?」


「何と!可能であれば、分担をお願いしようと思っておったのですが……ちなみにどのような方法で?」


「私は、精霊と感覚を共有することが出来ますの。風精霊と感覚共有し、各領地を回って、精霊に状況を確認して、手紙か何かで領主様に連絡しては如何かと。精霊同士は属性関係なく認識や会話が可能ですから、風精霊と感覚共有して、王都から各領地まで飛び、ある程度の数の精霊を使役して状況を確認すれば、少なくとも今よりは手間も時間もかかりませんわ」


「そのようなことが可能なのですか!……現在実施中の巡回はそのまま続けますが、来年以降はその方式への変更を検討させて下さい。精霊術士達の負担が減り、鍛錬時間などに充てることができるかもしれませんので」


「精霊術士の鍛錬とは?実は私、その辺りのことは存じませんの」


「導師様は通常の精霊術士とは異なるようですからな。精霊術士は、精霊と話したり、要望を叶えて貰うには、魔力の大きさや、属性の力への感受性が必要なのだそうです。しかしながら、今まではろくに鍛錬もできず、精霊に話しかけても無視される場合が見られまして、業務に支障をきたしていたのです」


精霊に無視されることがあるのか。私はそんな経験がないから知らなかったよ。むしろ背後霊と化しているしなあ。まあ、精霊術士達の能力が上がるなら、ひいては国の為にもなる。


「精霊術士の鍛錬法は確立されておりますの?」


「いえ、特に資料班の資料を見ても、確立されたものはございません。精霊術士達は、精霊達と様々な意思疎通を行うことを鍛錬としているようですが……」


「それでしたら、妖精族の方にご意見を伺ってみては?ウォールレフテ国大使のパットテルルロース様に、知人である私の方から伺ってみましょうか?」


「それは助かります!伝手もなくこのような事をお聞きするのも……と考えていたのですが……お頼みして宜しいでしょうか」


「近日中に確認いたしますわ」


パットテルルロース様は王城敷地内の大使館にいる筈だ。明日にでも会いに行ってみようと風精霊に伝言を頼むと、暫くして帰って来た。快諾を貰ったので、明日お邪魔させて頂こう。


その他、当座の業務については、精霊課で手の回らないところを支援することや、資料班で色々確認したいことがあるので、その対応をして欲しいと言われた。また、レイテアに、一度警護班に来て欲しいという話だった。確かに必要だな。


あと、精霊課以外の精霊術士の勤務場所として、風と水の精霊術士、各2名が海兵団本部に勤務しているそうだ。所属も精霊課ではなく、海兵団所属になる。一応丁重に扱われることになってはいるようだが、特に荒くれ者が多いとされている海兵団では、気の休まる所が無いらしい。


1年に2名ずつ、精霊課の人員と配置換えをするのだが、二度と行きたくない、と皆口を揃えて言っており、課長としても頭を悩ませているらしい。あちらの職場も改善していきたいので、出来れば力を貸して欲しいと言われてしまった。




精霊課はかなり問題を抱えていることが今日だけで判った。みんなと協力して、働きやすい環境を作ろう。とりあえず、パティが来る前に少しでも改善できればいいな。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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