第070話 授業と産業振興の日々 2
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さて、騎士学校での3回目の授業となった。今回、初めに魔力循環の状況を確認した所、9名は循環が整っていた。暫く続けていれば、他の学生も体調が良くなり、鍛錬の成果も上がるだろう。今日の所は、先日の続きで、態勢の崩し合いを行った。レイテアと私は、巡回指導した。先日の事があったからか、私の言うことも、聞いてくれている。
「常に自分の態勢を意識して下さい。剣を振る時は、同時に重心を移動させる。相手に返されますよ」
「はい、助手殿」
「剣にばかり集中しないで下さい。足元が疎かになっていますよ。足払いを掛けられたら終わりです」
「はい、助手殿」
「剣を出すのが遅れています。それでは相手の力をいなすことが難しくなりますよ」
「はい、助手殿」
目に付いた所を指摘していく。皆やる気が十分にあり、指摘された所を改善しようと頑張っていたが……。
「よし、やめ。集合」
レイテアが学生に集合を掛けた。さて、何をするのだろうか。
「皆、どうだろうか。体の動かし方について、戸惑うところはないだろうか」
もう少し全体的に教えた方がいいと判断したのね。良いと思う。
「態勢を崩さずに剣を振るには、どうすれば宜しいでしょうか。なかなかうまくいかなくて」
まあ、その辺りだろうか。基本的には慣れなのだが、慣れるまでは実感が湧かないので疑心暗鬼に陥ることが多い。この辺りは、レイテアは私の所に来る前からそれなりに出来ていたが……要は攻撃を行うことと、態勢を維持することを一体のものとして捉えられれば良いのだから、あれをやればいいだろう。レイテアも思いついていない様なので、身振りでサインを送ってみると、はたと気が付いたように
「そ、それでは、諸手態勢崩しをやってみよう」
と言った。まあ、二人で押したりして、足が動いたり倒したりすれば勝ち負けが決まると言う奴だ。
「やり方は、線を引いて両側に一人ずつが立つ。開始の合図以降、互いを押したり引いたりして、足が動くか、倒れたり手をつけば負け。互いに触れられる箇所、中央線を相手側に超えられるのは腕や手のみ。反則があった場合は直ちに負け。10秒間触れていない場合は、中央線を出ていない者が負け。相手を負かせば勝ちだ」
これはうちの護衛達の間で、余興としてやらせたものだが、駆け引き要素もあるので、結構流行った。ただ、今回は、態勢を保ちながら攻撃することに慣れるためにやらせるのだが。
「それでは、2人一組になってやってみてくれ。相手は逐次交代するように」
学生達は、戸惑いながらも始めたが、案外奥が深いので、割と皆楽しくやっているようだ。そんな中
「助手殿、お手合わせ願います」
と、テルフィが声を掛けて来た。
「宜しいですわよ。では……こちらで。はい、始め」
テルフィが押してきたが、それは読めていたので手を戻す。そのまま手を外側にひねって倒した。私の足は動いていないので、私の勝ちだ。そのような感じで何度かやったが、流石に合気道の座技呼吸法・立技呼吸法をやっている私が、負ける筈はない。テルフィが悔しそうに言った。
「助手殿に全然勝てない!体格では私が勝っているのに!」
「これは私が得意な遊びですので。ただ、これは態勢を保ちながら攻撃する動きに慣れるのに適しているのですわ。ですから、当分の間は、暇な時などにもやってみては如何?」
「あっ、なるほど!……解りました!有難うございます!」
別の場所では、レイテアも何人かに挑まれていたが、流石にレイテアは全員返り討ちにしていた。ちなみにレイテアもこの遊びは好きなようで、武術大会の時も、落ち着かない時には控室でお父さんを捕まえて二人でやっていたらしい。レイテア曰く、初心に返る為にやっていたそうだ。
そのような感じで、3回目の授業も楽しく過ぎて行った。
今日はセイクル市の領行政舎にいる。先日話したドミナス分領の産業振興の件でドミナスの担当者と話をしている。
「火属性及び地属性の、魔法の能力が高い者には当てがあるそうですが、お嬢様の仰る事が本当に可能かどうか、実際に見せて貰わないと判断が出来ないそうです」
「やはり、一度あちらで実演しないといけないようですね」
先日のプトラム分領と同様に、私単独で移動するということで、6日後には向かえるよう調整するそうだ。
……最近、王都とアルカドール領を行き来しているので疲れたのか……今日は家でゆっくり休もう。
……体に異状を感じて起きてみたら……うん、異状と言えばそうなのだが……アレが始まってしまった。前世では中学の頃だったのだけれどね……。とはいえ、この世界ってこういう時どうするのかまだ聞いてない。仕方がないのでクラリアを呼んで助けてもらった。あと、この件はすぐにお母様に報告された。
「フィリス、おめでとう!成長の証ですからね。貴女もいずれ母親になるでしょうから、色々教えないとね!」
お母様が楽しそうに教えてくれたよ。前世との比較が出来て、勉強になった。どうもロイドステアでは、こういった話は母親がしっかりと娘に教えるもののようだ。前世でも、似た様な感じだったな……。
その日の夕食は、何かいつもと違う感じで、レバーなど、貧血などに良さそうなメニューなんですけど……これはやっぱりそれ用の食事なのだろうか?まあ、前世みたいに赤飯炊かれるよりあからさまでないのだが……お母様はニコニコしてるし、お父様は何やら複雑な表情で黙々と食べてるし、私はいったいどうすればいいのか。とりあえず食べたら寝よう。
ということで王都の方に戻ってきたが……本当に幸いなことに、最初の奴は3日で終わったよ。軽くて良かった。
しかし今回の件で、少し疑問に感じたことがあるので、精霊女王様に確認を取ってみる。
『女王様、フィリストリアです。お時間宜しいでしょうか』
『話せ』
『1点質問がございます。私は精霊と全身又は体の一部を同調させることが可能ですが、例えば、私が妊娠している時などは、影響が出るものなのでしょうか』
『ほお……そうか、めでたいのう』
『いえ、まだ妊娠はしておりませんが、有難うございます。それで……如何でしょうか』
『一部の同調なら問題ないじゃろう。じゃが、全身の同調はやめた方が良い。下手をすれば流れる』
『……お答え頂き、有難うございます。質問は以上です』
『ではな』
そうか、やはり影響は出るか。今後精霊導師として活動する場合、結婚後はかなり気を付けないといけないわけだ。知らないうちに流産していたなどということになれば、悔やんでも悔やみきれないだろう。今のうちに聞いておいて良かった。
明日は騎士学校の講義の日だ。疑問が晴れたところで、レイテア達と鍛錬をして過ごした。
お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。
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