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第064話 一旦の別れと王太子の婚姻

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

そばつゆに似た物がこちらの植物を使って出来たことで、私は前世の文化をこちらに導入することについて改めて考えてみた。そもそも、文化自体に優劣は無く、違いがあるだけであり、あちらのやり方をこちらにごり押しするのは傲慢だと感じたのだ。どちらかというと、向こうの文化は「選択肢」を増やす程度に紹介するのが良いのではないかと思った。


こちらの世界の文化をベースに、魔法や精霊なども活用して、みんなで色々工夫して良い感じにこちらの文化に混ざれば、更に面白い文化になるかもしれない。そう考えると何だかワクワクして来た。今後も積極的に選択肢を増やしていこう。


お兄様は学校があるので、私が転移門を使って王都の侯爵邸に送った。とは言っても1月下旬には王太子殿下の婚姻の祝宴が催されるので、それに合わせて私も王都で生活することになる。


こちらの友人や知人達にも挨拶をしておかなければならない。ここ数日はセイクル市内の各所に挨拶に行っていたり、茶会の準備を行っていたりした。結構領行政舎や商工組合に顔なじみが増えたな……。


あと、領軍本部にも顔を出したところ、領軍長以下で丁重に出迎えて貰った。トロス砦で戦った部隊長もいた。皆からは、領を守る気概が十分伝わって来た。私が暫く離れても大丈夫だろう。




茶会当日になった。良い天気なので、会場を庭にする。午後になり、いつものメンバーが集まった。


「フィリス様が王都に行かれるのは非常に寂しいですわ。来年、王都でもお会いしましょう」


「ルカ様、私は王都での生活に軸が置かれますが、こちらには転移門で頻繁に帰って来ることになると思いますので、いつでもお会いできますわ。特に、今は領内の産業振興を進めておりますので」


「プトラム分領の振興にも、御意見を頂き、有難く存じます。近いうちに、新しい料理をお見せできるようになると思いますわ」


「セレナ様、私は領主の娘として、出来ることを行っているだけですのよ。新しい料理は楽しみですわ。まだ色々企画が出来るかもしれませんので、引き続き、共に頑張りましょうね」


「実は、父がこちらに来てから仕事のことで悩んでいたようなのですが、フィリス様のおかげで、今は毎日が充実しているようです。氷魔法のことも、領内産業振興のことも。有難うございます!フィリス様はやはり至高のお方ですわ!」


「……ネリス様、コルドリップ先生は優秀な方故、そのお力を生かせる場が一番の望みだったのでしょうね。でも、それは家族の支えがあってこそ、成せるものです。今後もお父上を、支えてあげて下さいね」


「はい!色々目が届かない所がある父ですが、母とともに支えていきますわ!」


「フィリス様、私は貴女と言う存在を目の当たりにして、色々吹っ切れてしまいましたわ。暫くしましたら、またお世話になりますが、その際は宜しくお願いします」


「パティ様、貴女という存在がいて下さったおかげで、私もまた、違う景色を見ることが出来た気がします。またお会いいたしますが、その際も宜しくお願いします」


このような感じで、皆とは一旦別れの挨拶をした。とは言っても、実際は頻繁に帰って来るのだけれど。まあ、パティとは秋には会えるし、ルカも来年は魔法学校だ。ルカが来たら、向こうでティーナも呼んで集まっても悪くないかもね。




そうこうしているうちに、祝宴の日が近づき、皆で転移門で移動する。ちなみに、私付きのクラリアやレイテアは、あちらに引っ越す準備をしている。その他、何人かの使用人や護衛は、あちらで増員した新規雇用者が慣れるまでは、残留することになっている。


いつものごとく、転移門を起動し、王都の侯爵邸に移動し、3日後の祝宴の準備に取り掛かった。と言っても私の場合、導師服で参加するため、主要な来客を覚えるくらいだ。国内の要人はもう覚えているので、後はサウスエッドから来る方達かな。


まずは輿入れする本人、レイナルクリア・サウスエッド。結婚後はカレンステア姓になるが。サウスエッド王家の第2王女で今年16才になる。上に兄と姉がいる末っ子だそうで、花のように愛らしい王女だという話だが、会ったことが無いので何とも言えない。結婚前に変な噂が立つわけないしね。ちなみにもうロイドステアに来ており、結婚の準備中だ。


次に、婚姻式に合わせて来る方々だが……サウスエッド国王、ライジャストラス・サウスエッドと王妃フィナルワノア・サウスエッド。歴史ある大国の王と王妃だけあって、特に悪い噂は聞いていないが、レイナルクリア王女を溺愛しているという話だ。ちなみにサウスエッドはロイドステアとは違い、国王を含め、王族の姓は「サウスエッド」だ。


その他、侍従長などの方々が来るが、個人的には一番警戒したいのが、宮廷魔導師長のウィルアスナ・ザルスアージだ。彼女は複数属性者で、類まれなる魔法の才能を持ち、若くしてサウスエッド国の魔法士の頂点である宮廷魔導師長にまで上り詰めた。間違いなく、転生者だ。


恐らくは前世でもどこかの国で魔導師だったのだろう。向こうも、こちらのことを警戒している可能性が高い。もしかすると前世の話を聞かれるかもしれないが、正直に答える必要はない。どうせ明確な証拠はないのだ、基本的にはぐらかす方向で行こう。




婚姻式などを行う当日になった。今日の流れは、まず午前中に婚姻式を行う。大聖堂で王太子と王女が、両家の当主である両国王陛下の立ち合いの元に、夫婦となる誓いを立てるところを大司教台下が見届け、祝福の言葉を授けるのが式次第だ。次に午後、王太子と王太子妃が馬車に乗って王都内をパレードする。夜には祝宴を行うという形になる。私達は、祝宴のみ参加だ。


流石に王都内は、警備が物々しい。私も念のため精霊に聞いてみたが、特に異状は見られないようだ。どうやら、婚姻式・パレードともに問題なく終了し、いよいよ祝宴だ。これまでと大きく違うのは、私が単独で国王陛下や王太子殿下達に挨拶することだ。しかも三公の後に挨拶することになる。精霊導師が公爵と同等、というのはこの辺りにも面倒くささがあるなぁ。


今回ドレスじゃないから、いつもの作法と少し異なって来るのだ。勿論そちらも繰り返し練習はしていて、礼儀作法の先生のお墨付きは頂いているのだけれどね。


ということで、私達は馬車に乗って王城へ向かい、無事会場へ入った。9割はロイドステア、1割はサウスエッドのような割合だ。流石に誰も騒いでおらず、本日の主役を待っていた。




暫くすると、両国王陛下及び王妃殿下、そして、王太子殿下及び妃殿下が入場された。大きな拍手が鳴り響く。ひとしきり拍手すると、自然に静まり、陛下からの言葉があった。


「皆の者、本日我が国の王太子、ウィルディナルドと、こちらにおられるサウスエッド国のレイナルクリア王女との婚姻が成った。これは両国の友好の証であるとともに、今後の益々の発展の礎である。この良き日を、皆で祝おうではないか」


大きな拍手が起こった。その後はサウスエッド国王のお言葉、王太子殿下及び妃殿下の挨拶が続き、歓談が始まった。とりあえず3公の後に挨拶だ。暫くすると、3公の挨拶が終わる。私は前に出て、跪いた。


「この者は、我が国の精霊導師だ」


陛下の簡単な紹介の後、私は挨拶をした。


「両陛下、両王妃殿下、そして王太子殿下、王太子妃殿下。私はロイドステア国の精霊導師、フィリストリア・アルカドールと申します。本日この良き日にご挨拶させて頂きましたこと、誠に有難く存じます」


「……っ、娘を宜しく頼むぞ」


「まあ、噂以上に可愛らしい方ね。今後色々と貴女にも助けて頂くことになるけれど、宜しく頼みますよ」


「勿体なきお言葉でございます。今後も、王家のために尽くします」


ということでさっさと挨拶を終え、立ち去った。後は知り合いに挨拶しつつ、目立たない様にするか。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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