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第055話 ビースレクナ領への招待 2

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

さて、午後は森に行けるぞ!ということで、導師服に着替え、護衛6人とともに森へ向かった。


「導師様、どのような所が宜しいでしょうか」


「できれば、岩が幾つもあるような場所がいいのだけれど……あるかしら?」


「そうですね……少し西にいった所にございますが、魔物もそれなりに出没しますよ?」


「それは護衛達もいますから。何でしたら、私だけでも結構ですのよ?」


「いいえ!必ず供をお連れ下さい!……ではそちらへ向かいます」


ということで、デリアスさんの案内で、岩場に向かった。


「では、私はここで色々試したいことがありますの。貴方達はこの付近で鍛錬をしつつ、魔物が出たら対処して下さいな」


「承知しました」


ということで2人一組で3か所に分散して貰い、私は岩の前に立って、技のイメージを考え始めた。とりあえず、身体強化で体の様々な部分を強化して、掌底突きをやってみるか……。




何十回とやってみたが、岩は壊れはしたものの、これは違うような気がした。少し構成を変えて、どちらかというと、魔力放出を組み合わせる、つまり、魔力で殴る感じにしてみるか。魔力は体外に出ると単なる魔素に変わってしまうが、出る瞬間なら、まだ属性を保っているので、圧力を加えられる筈だ。


……やってみたが全く駄目だった。どうも、体の動きと魔力放出が全くかみ合っていない。身体強化しながら魔力放出をするというのは、難しいのかもね……と考えて、ふと気付くと、護衛達が全員私を見ていた。レイテアが近づいて来て、私に話し掛けて来た。


「お嬢様、先程から何をされているのでしょうか?差し支えなければ教えて頂きたいのですが」


「レイテア、実は今、魔力を応用して戦いに活かせないか、色々試しているのよ」


「身体強化以外で、でしょうか?」


「身体強化と魔力放出を組み合わせることで、威力を上乗せできれば、と思ったのだけれど」


「ふーむ、お嬢様の膨大な魔力であれば、魔力放出だけで大丈夫そうですけどね」


それだ!魔力放出に絞った方が、むしろいい結果を出すかもしれない!


「レイテア、有難う!そうね、魔力放出を中心に組み立ててみるわ!」


岩に右掌を当てた状態で、臍下丹田を意識する。右掌以外の場所は、魔力が漏れないように、というより魔力を体内に圧縮するように操作する。そして、臍下丹田から右掌まで、一本の魔力の通路をイメージする。これなら、力を一つに集約することになる筈だ。そして、一気に魔力を活性化した!


……岩は砕けました。これだよ、これ。




「お嬢様……今のは一体……」


「先ほどの、レイテアとの話を元に考え付いたものよ。私の想定通りの威力だわ!」


「え?私は何の気なしに言っただけなのですが……まさかここまでの威力とは……」


「そ、そう?とりあえず私は、暫くこの攻撃要領を練習するわ。引き続き、周囲の警戒を宜しくね」


「承知しました。……ああ、お嬢様が更に非常識な強さになっていく……」


そこで嘆かないで。……まあ、暫く反復演練すれば、実戦で使えるレベルにはなるでしょ。


そして暫くの間、その付近の岩を破壊しまくった。その間、魔犬が数体出現したが、全て護衛達が片づけてくれた。有難う。そのおかげで、発勁(仮)の発動も幾分スムーズになってきたよ。




次の日も、岩場に行こうとしたら、ミリナが話し掛けて来た。


「ねえ、フィリス。貴女、魔法を使わずに、素手で触れただけで岩を砕いたのですって?」


「ええ、魔力操作の応用なのですが」


「私も見せてもらっていいかしら?同行の許可はお母様に頂いてきたわ」


「……ええ、あまり楽しいものではないかもしれませんが、宜しいですわよ」


こうして、今日はミリナも一緒に行くことになった。


岩場に着き、昨日と同様に護衛達には周囲を警戒して貰い、手頃な岩の前に立ち、発勁(仮)で岩を砕く。


「……驚いた。本当に魔法を使わずに、触れているだけで岩が砕けたわ」


「まだ慣れていないので、今の所は岩だけですが、慣れれば魔物などにも試す予定ですわ」


「ねえ……それ、私にも出来ないかしら?」


「正直、魔力操作の熟練度だけで可能なのか、魔力量が影響しているのかは現段階では判りませんので、何とも言えませんが……やり方は教えましょう。ちなみにアンダラット法は習得されていますか?」


「ええ、1年ほど前に。あれで魔法の発動速度が格段に上がったわ」


「それは良かったですわ。では……」


正直、ミリナが発勁(仮)を使えるかどうかは解らないが、やり方は教えた。


「うーん、魔力を体内に圧縮して、更に活性化するのは難しいわ」


「これはアンダラット法と、従来の魔力操作を複合させたものと言える技術ですので、同時に行うのは、もしかするとかなり魔力操作に熟達する必要があるかもしれません」


「そうみたいね。私はまず、魔力操作に習熟するところから始めるわ。有難う」


そういうとミリナは、少し離れて魔法の練習をし始めた。私は引き続き発勁(仮)の練習をした。


このような感じで1週間ほど発勁(仮)の練習をした。かなりスムーズに行う事ができるようになり、岩以外にも試そうと思ったのだが、今日は歓迎会の日だ。ちなみに、夜会ではなく、昼間に行われる。恐らく私が子供だからだろう。




ということで、朝から屋敷に待機だ。皆さんが集まったら、メイドが呼びに来る筈だ。今日はドレスでなく導師服なので、準備はすぐに終わり、本を読みながら待っていた。暫くすると、メイドがやってきたので、案内されて会場に入った。


「おおっ、あれが導師様か。何とお美しい……」


「あのような年端もいかぬ少女の身でありながら、春の戦いでは敵軍を一人で蹴散らしたそうだ」


「導師様を見ることが出来るなんて、俺はなんて幸せ者なんだろう!」


正直、身に余る歓迎ぶりなのですが……まあ、これも仕事の様なものかな、諦めよう。


その後、叔父様から私とお母様を紹介して貰って、挨拶をして、歓迎会が始まった。


とりあえず、ドルネク市の名士達が挨拶に来た。貴族だけではなく、商工組合や冒険者組合の方もいた。ビースレクナ領は、冒険者が他領より多いし優遇されている。いつ、どこで、どれだけ発生するか判らない魔物相手だと、領兵では対応しきれない場合も多々あるところだが、自由度の高い冒険者であれば対応しやすいので、かなり頼りにされているらしい。


まあ、ビースレクナ領軍も対魔物戦は得意なようだ。何せ魔物の大量発生、所謂魔物暴走への対応を主任務とするのだから。領軍長とは先ほど挨拶をしたが、冒険者の雰囲気に似ている気がした。他の所ではいざこざの多い冒険者組合とも、仲良くやっているそうだ。


ビースレクナの領民は、魔物という、目に見える脅威があるためかもしれないが、全体的に団結力が強く、アットホームな感じがした。良い領地だと思う。うちも負けないけどね!

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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