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第040話 第3王子の交流会 1

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

交流会が開催される1日前となり、お父様、お兄様、私と何人かの使用人、護衛達とともに王都の侯爵邸に転移した。今回は3公5候16伯の殆どの家から参加者がいる。事前に参加者の情報、名前や年齢、家族構成、領地の概要や他領との関係など、様々なことを覚え込んだ。まあ、それは他の参加者も似たようなものだろう。それが貴族社会というものらしい。


その上で、今回私とお兄様が達成すべき目標は「王家に取り込まれることなくやり過ごす。他家の者とは普通に交流を深めるが、私の婚約の話は進めない」という内容となった。




本日は交流会。王城に設置された会場に、私とお兄様が専属護衛のレイテアとダンテスを伴って向かった。私達は侯爵家なので、伯爵家の子女が入場してから入場した。よく見れば、従兄弟のアレクもいたのでお兄様と一緒に挨拶に行き、久しぶりの再会を喜んだ。


周りにも伯爵家の子女はいたが、皆お兄様と私を遠巻きに見ている。そこに、一人の少女がやって来た。


「貴方がカイダリード様で貴女がフィリストリア?お初にお目にかかります。私はフェールミリナ・ビースレクナ。貴方達の従姉妹に当たりますの。どうぞ良しなに」


ビースレクナ領の領主は昨年代替わりした。新領主である侯爵の夫人は、お父様の妹であるマイトレーナ叔母様だ。お母様とも親友の間柄であり、頻繁に手紙のやり取りをしているそうだ。当然お母様からフェールミリナの事は伺っている。


私より1才上の8才で長女。弟はいるそうだが、5才なので今回は不参加だ。水属性で、魔法はもとより剣術も嗜んでいるそうだ。ビースレクナ領は魔物暴走多発地帯として知られている。たとえ令嬢であっても、身を護る為、剣術を学ぶのだという。ということで、今回是非仲良くなっておきたかった令嬢の一人だ。お兄様と私は挨拶し、お互いの近況を、アレクも交えて話していた。


暫くして、公爵家の子女が入場した。我が国では、領地を持つ公爵家は3家だけ。他は元王族男子の法服公爵だ。そして、3つの公爵家は「三公」と称されている。「央公」と称されるセントラカレン家、「東公」と称されるイストルカレン家、「西公」と称されるウェルスカレン家。


セントラカレン家からは3女のライスエミナ様、ヴェルドレイク様の妹に当たる方が参加している。ヴェルドレイク様からも話は伺っている。活発な性格で私と同い年、今回の交流会の開催者である第3王子のオスクダリウス殿下と仲が良いそうだ。ちなみに、ライスエミナ様が婚約者候補最有力、私が次点と噂されているそうだが、私の事は放っておいて欲しい。


イストルカレン家からは次期当主とされるクリフノルド様が参加している。9才で姉と妹がいらっしゃるそうだが、今回は不参加だ。私との婚約の打診をイストルカレン家が行ったようだが、当然保留になっている。凡庸な方だという話だが、実際の目で見てみないと何とも言えない。


ウェルスカレン家からは、次女のレナスフィリア様と三女のチェルシアーナ様が参加している。レナスフィリア様は11才で今年魔法学校入学、チェルシアーナ様は6才ということだ。長女のペルスラムナ様は12才なのでこの場にはいない。


ウェルスカレン公爵家の子供は女子だけだ。うちの国は、領主となれるのは男性だけなので、第2王子のフェルドミナーク殿下が臣籍降下し、ペルスラムナ様と婚姻して公爵家を継ぐ話が出ているそうだ。このためレナスフィリア様とチェルシアーナ様は、オスクダリウス殿下と婚約する可能性は低い。単純に貴族子女との交流が目的なのだろう。


そのような事を考えていると、交流会の開催者であるオスクダリウス殿下が入場した。殿下からの挨拶の後、参加者が殿下に挨拶を始めた。当然、公爵家から始まり、侯爵家、伯爵家の順だ。侯爵家の中では、お兄様が一番年上なので、私達から挨拶させてもらった。私は一度会っているので気負うことなく挨拶できた。さて、お兄様と一緒に、公爵家の方々に挨拶しておこうか。




まず東公から……あ、いた。近づくと、何故か知らないが嬉しそうに寄って来た。とりあえず礼をする。


「おお、貴女が我が婚約者のフィリストリア嬢か。お初にお目にかかる。そちらは兄上か」


は?まだ婚約の話は決まってないでしょうが。おかしなことを言うな、変な噂が立つじゃないか。


「イストルカレン様、お初にお目にかかります。私はカイダリード・アルカドールと申します。なお、我が妹の婚約はまだ、全く、影も形もございませんので、誤解無き用、お願い申し上げます」


「お初にお目にかかります。フィリストリアと申します。兄の申す通り、私の話は未定です。家同士の合意がなければ、そのような事を口にすべきではありませんわ」


「確かにその通りだが、殿下の相手はライスエミナ嬢で決まりだろう?なら貴女の相手は俺以外いないではないか」


思い込みを軽々しく口にするとは……何か公爵家にしては残念な方の様だ。関わり合いになるのはやめよう。お兄様と目が合った。


「それは我々の決める事ではございません故。他に挨拶に回らねばなりませんので、御前失礼します」


お兄様も、同じ考えのようだ。西公姉妹を見つけたので、二人で向かった。姉妹の前で礼をする。


「あら、そちらはアルカドールの方でしょうか。お初にお目にかかります。私はレナスフィリア・ウェルスカレン。こちらは妹ですわ」


「はわっ、綺麗な方……っと。初めまして。私はチェルシアーナ。宜しくね!」


ふむ。流石に姉君の方はしっかりしている。妹君は……まだ可愛い盛り、と言っておこうかな。


「お初にお目にかかります。私はカイダリード・アルカドール。宜しくお願いします。こちらは妹です」


「お初にお目にかかります。私はフィリストリアと申します。宜しくお願いします」


特に話すこともなかったので、軽く挨拶をして前を辞した。次はヴェルドレイク様の妹君かな。

丁度他の方との挨拶が終わったようなので、近づいて礼をする。すると


「あら、アルカドールの方々。初めまして。私はライスエミナ・セントラカレンと申します。以前兄がお世話になったと伺っていますわ」


「お初にお目にかかります。私はカイダリード・アルカドールと申します。ヴェルドレイク様とは今もよしなにさせて頂いております。宜しくお願いします。こちらは妹です」


「お初にお目にかかります。私はフィリストリアと申します。ヴェルドレイク様から、貴女様のことは大変素敵な方だとお伺いしておりましたの。本日お会いできて光栄に存じますわ」


と、ここまでは良かったのだが


「ああ、貴女がオスカー殿下と私の仲を引き裂こうとする輩ですの。少し陛下から褒められたからって、いい気にならないで欲しいですわ」


と、敵意むき出しのお言葉を頂いた。少しフリーズするも、これまでの経験のおかげか、自力で再起動する。ああ、オスカー殿下というのは、オスクダリウス殿下のことか!なるほどねぇ。


「そのようなこと、恐れ多いですわ。王家から、私を望まれるお話は特に伺っておりませんし、何より、貴女が殿下に挨拶なされた時に、殿下が優しく微笑まれたのを見て、私などとても間に入れる道理は無いと確信致しました。私だけでなく、皆申しておりますわ」


「……あ、あら、貴女の事を誤解していたようですわ。ご自身の立場をよくご存じの様ね。宜しくてよ」


殿下関連の話になると、何かチョロそうだな。まあ、それだけ好きということか。正直、もう少し話したかった所なのだが、今は時期が悪いようだ。お兄様とともに、前を辞して離れる。


「とりあえず私達が挨拶をしなければならない所は回ったね。後はどうしようか」


「お兄様、私はフェールミリナ様ともっとお話ししたいのですが……どうでしょうか」


「確かにそれが無難だね。えーと、あちらにいる様だ」


どうやらあちらも挨拶は終わった様で、様子を見ているようだ。私達は、従姉妹殿の所に行って、暫く互いの家の事を話しながら、周囲の様子を窺ったのだった。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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