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第383話 アレクの婚姻式に参加した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

暫くは通常の日々が続いた。


魔道具研究所準備室からも、大魔力を使用する魔道具を試作出来たので使って欲しいと依頼が来たため、非常に大量の土を一箇所に集めて岩石化するという魔道具を使ってみたが、無事に使えたので良かったよ。


後はこの魔道具を魔力炉に接続して使えるように少々調整したり、色々場を整えたりしないといけないそうだ。まあ確かに、これを王城の庭でやるのは事前準備とその調整が必要だろうからね……。




月末の政府全体定例会議が行われたのでいつも通り参加した。今回、特に私に関係した報告内容としては、やはり来光軍に参加して、麻薬撲滅に協力した事だろうか。教主猊下から頂いたお礼の書状の内容についても、概要が法務大臣から発表され、我が国の威徳を高めた行為である、と周知された。


正直あまり持ち上げられても、神使だのなんだのと騒がれてしまうので、個人的に良い事では無いのだが、世の中が乱れるよりはマシだろうと思うことにした。


あと、やはり情報がまだカラートアミ教経由だからか、グリタニア大陸にあった国についても話があった。ブールイスト国王が背教者として処刑されたことから、公爵の1人が新たに国王となり、国名がロイストルドになったそうだ。


現在、ウェルステッド国とも休戦協定の締結に向けた交渉を行っているらしく、100年戦争とも言われた長い戦争も漸く終わりそうな気配を見せている。


国の体制が変わったし、ここ暫く国の経済を支えていた麻薬密売などが出来なくなった状態では、実質ロイストルド国側の戦争継続が難しいから、恐らくはウェルステッド国が有利な形で協定が結ばれるのだろうけれど、一応カラートアミ教が仲介するそうだから、無茶な内容にはならない筈だ。


正直な所、戦争の最初の切っ掛けなど、100年も経ってしまえば関係無く、現在を生きる人々の記憶の範囲で続いていた憎しみの連鎖が、今の両国の戦争の原動力なのだろうからね……。家族や親しい人が戦争で亡くなれば、憎むのは人としては当然なのだろうけれど、どこかで限界が来てしまうのも当たり前で、それが今だった、ということなのだろう。


他にも、モリコルチ大陸統一国家の使節団が来月に来るそうなので、私も対応することになった。まあ、風龍様の代理みたいな感じで魔物暴走に対処したから、顔は出さないといけないよね……。




そんな感じで会議が終了したので、魔法省に戻ろうとした所、お父様が魔法課長と精霊課長に何かを話していた。


最近お父様は、魔法学校時代の同じ研究会の先輩後輩の間柄である魔法課長や精霊課長と一緒に、休日どこかに行くことがある。まあ、好き勝手やっている私が言うのも何だが、お父様も国防大臣就任以降、それなりにやらかしているらしい。


たまに視察と称して魔法兵団に顔を出し、風属性の魔法兵達に雷魔法の指導を行っていると、先日たまたま会ったティーナが言っていたので、他の人にも聞いてみたところ、結構激しい指導になるそうで、大抵はティーナ以外の人はついて行くのがやっと、みたいな感じらしい。


確か、お父様の学生時代のあだ名が「北の暴風」だったっけ。お父様も例の鎧を装着して鍛錬を行っているそうで、お兄様程の上昇は見られないが、魔力量は上がっているらしいからね。まあ、大怪我をした人とかは今の所いないので、何も言うまい……。




5月最後の休日は、例の体術の修得を図りつつ、リーズにも奪魔掌などを教えたりして過ごしたが……やはりお父様は朝から出かけていた。まあ、怪我をしないようにして下さいな。


6月に入り、差し当たり大きな行事は無かったが、最初の休日にはアレクの婚姻式に参加するので、テトラーデ領の中心都市であるペアレム市に行くことになっている。


空動車なら王都からだと2時間かからずに行けるので、日帰りで移動する予定だ。お母様の実家とは言え、あまり手間をかけるのも悪いからね……。




婚姻式当日、私達は早朝から祝宴に参加する準備を行った後、空動車に乗って移動した。私達は基本的には祝宴のみ参加になる。着替えが面倒だしね。テトラーデ邸に到着して、案内を受けて控室に待機して、案内してくれた使用人に今の様子を聞いたところ、アレクは現在市内のパレードを行っているそうだ。


暫く待っているのも退屈なので、風精霊と感覚共有して街の様子を観に行ったところ、人が集まっているところでパレードが行われているのが見えた。オープンの馬車に乗っているアレクと花嫁が手を振っていた。なるほど……お似合いの二人だな。


パレードが終了し、祝宴が始まるので案内がやって来た。お父様、お母様と私は会場に入ったが、この中で爵位が一番高いのはお父様なので、主役達以外は全員来ているようだ。


暫くすると、新郎新婦と双方の両親が入場したので、会場の皆が大きな拍手で迎え、新郎側の家長であるマーク叔父様の挨拶で、祝宴が始まった。今回の新婦のドレスは、真珠養殖のテトラーデということで、随所に真珠がちりばめられたデザインなのが目を引いた。あれもいい宣伝になるんだよな……。


私達は新郎新婦と双方の両親に早速挨拶をさせて貰い、その後は他の人達の挨拶が済むまでゆっくりすることになったため、とりあえずは食事を頂くことにした。


「私がいた頃とは、料理がかなり変わっているわね……」


今回、米を使った料理や海鮮料理が多いため、お母様は驚いているようだ。


確かにテトラーデ領は、海産物が名物になったり、主食を小麦から米に変えようとしているから、お母様が住んでいた頃とは大きく変わったことだろう……というか、他の所でも見る肉料理や野菜料理に混ざって、エビフライや焼き魚など、それにうな丼や海鮮丼、カレーライスのコーナーもあるな。どうやらコーナーで待機している人に言えば、よそって渡してくれるらしい。


ということで丼物とカレーは食べさせて貰った。カレーはシーフードカレーで、魚介類が硬くなり過ぎずいい感じで食べられて良かったよ。ただし、以前食べた牡蠣がメニューに無かったが、今はまだ夏だから、食あたりの可能性を考えたのかもね……。


それと、お菓子は羊羹など、牛乳や果汁などを寒天で固めたものが多かった。今では寒天の取引もアルカドール領だけではなく、色々な領と行っているそうなので、新たな特産品となっているようだ。


お母様も新たなテトラーデ領の料理を色々味見して満足したのか、機嫌が良かった。




漸く挨拶も終わったらしく、お父様達は家長達の所で話すそうなので、私はアレク達の所に行ってみた。すると、アレク達が私に気が付いたのか、近付いてきたので話し掛けた。


「アレク、改めまして、ご婚姻おめでとう。サリアレーテ様も、従弟を宜しくお願いします」


「フィリス従姉さん、有難う。サリアと協力して、テトラーデ領をもっと発展させていくよ」


「フィリストリア様、有難うございます。ただ、今後は私の事も、サリアとお呼び下さいませ」


「ふふ、私の事はフィリスと呼んで下さい、サリア」


それから、最近のテトラーデ領や、二人の馴れ初めなどの話をしたが……二人は幼少から知り合っている、幼馴染のような関係らしい。なので、仲は基本的に良好なのだが、互いを知りすぎているところがあるようだ。


「アレクったら、フィリス様に会った次の日は機嫌が良いんですよね~」


「な、何を言ってるんだサリア!」


「大体小さい頃からそうだったじゃない。『ぼくの従姉のフィリス姉さまはすごいんだぞ』とか、私に自慢していたんですよね……」


「そ、そりゃあこんな素敵な方が従姉だったら、自慢したくもなるだろう?」


「それは否定しません。私だってするわよ」


「ふふ、アレクだって私の自慢の従弟ですよ」


「フィリス従姉さん……」


「ただし、これからはもう私の旦那様なんだから、従姉殿が来たからって子犬の様に近寄らないでね」


「アレク、サリアを大事にして下さいね」


「い、いや、そこは言われなくても大丈夫、任せて下さい」


「まあ、アレクの頼りない所は私が支えますから、フィリス様、安心して下さいな」


まあ、恐らく大丈夫だろう……うん。


他にもアイスロイズ子爵夫妻にも久しぶりに会って話をした。どうやらテトラーデ領においても氷魔法を使って魚を冷凍保存し、内陸の方に輸送しているそうで、そういったこともあって、今回の祝宴では魚料理が多くなっているそうだ。順調に発展しているようで、良かったよ。


楽しかった祝宴も無事終了し、私達は王都に戻った。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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