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第380話 気になる研究の様子を見に行った

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

久し振りに普通に魔法省に出勤し、来光軍に参加していた2か月の間に起こったことを把握したが……政府においては大きな変化事項は無かったようだ。


一方、各領の出来事で私が関係する内容については、変わった事項が幾つかあった。まずは、ミリナが男の子を出産した話だ。丁度、お兄様の結婚式があった頃に妊娠が分かったそうで、連絡は貰っていたのだが、先日無事出産したようだ。


順当に行くならそのうち侯爵家を継ぐ子になるから、丈夫な子に育って貰いたいものだ。そうだな……レイテアの娘さんのリンダにも作ったベビージムをまた作って贈ろうかな。


出産といえば、お義姉様の体調については問題無い様だ。勿論お腹が少し大きくなって来ているらしいが、出産予定はまだ先だから、特に騒ぐものでもない。


そうそう、ワターライカ領の方で、魔石を作るらしい貝の研究体制が概ね作られたとヴェルドレイク様から手紙が来ていたので、業務の調整がつき次第、ワターライカ領に行くことを考えている。やはり乗り掛かった船だし、魔石を生産することが出来るならこの国は一層発展するだろうからね……。


それと、ネリスの研究も状況を確認しておかないとね。あれも実現すれば色々面白い事が出来ると思うので、行っておこう。


外国の動きでは、セントチェスト国から来た精霊術士2名を受け入れ、教育を始めたらしい。最初は環境の違いもさることながら、精霊術士の能力や仕事も大きく違うことから非常に戸惑っていたそうだが、最近はそれなりに慣れたらしく、現在はアンダラット法を練習しながら魔法強化について学んでいるらしい。能力の高い精霊術士がいると、きちんと精霊とも意思疎通が出来るから、自然を破壊するような事は少なくなるだろう。精霊術士の教育については、実績もあるので精霊課に任せておけば問題無いかな。


あと、外務省経由だが、モリコルチ大陸の小国家群が統一国家になり、その切っ掛けとなった私のいる国であるロイドステアに、使節団を派遣したいという話を聞いた。


この話については、カラートアミ教を通じて親書が出されたことにより伝わったそうで、その使節団というのも、本来なら自分の所の船を使ってやって来るべき所なのだが、今回はまだ長期の航海が可能な船が無いということで、神域を経由して転移門により移動するそうだ。こちらは来た時に対応しよう。


ということで、気になる所から顔を出したりしていこうか。まずはニストラム秘書官と業務調整を行おう。




とりあえずは沢山溜まっていた後閲処置の書類に目を通し、家ではベビージムを自作したり、来光軍の秘伝である体術の検証を行ったりしているうちに数日が過ぎ、予定を入れていた魔道具研究所準備室に視察に行ってみた。


いつの間にか研究所の建物は完成しており、そちらへ引っ越ししていて、ネリスの研究部屋も引っ越していた。室長に案内して貰いながら、ネリスの所に行ったところ


「導師様! お忙しいところ、わざわざこちらに足を運んで頂き、感激ですわ!」


と、ネリスが私の来訪に気付き、部屋を飛び出して挨拶して来た。それからネリスが研究の状況を色々と教えてくれた。どうやら、理論的には可能と見積もられているようで、現在は少々大型になる魔道具の設計を行っているらしい。


設計については、ネリスはそこまで得意ではないそうで、設計の得意な研究員数名に手伝って貰いながら設計図を作っているのが現状だそうだ。手伝いに来た人達も研究があったのだろうが、その人達に話を聞いたところ、完成した暁には歴史に名を残すレベルの魔道具になることから、皆嬉々として手伝いを行っているそうだ。まあ、それなら問題無いかな。


あと、この魔道具の起動実験の際は、最初は私も来ることになった。というのは


「火精霊にも様子を確認して貰える方が良いでしょうな」


と、室長からのアドバイスがあったからだが、その後でこっそりと


「導師様、魔道具が異常な動きを見せた際は、止めて頂けると助かります。単なる魔法士や精霊術士では対応が出来ない場合でも、導師様であれば被害を出すことなく対処出来るでしょうから」


と言っていた。確かに私であれば、火精霊と同化しておけば異常があった場合でも対処出来るからね……大出力の魔道具は誤動作を起こすと非常に危険となる可能性があるので、優秀な人材に被害が出るのは論外だし、折角新築した建物を壊してしまうのも忍びないから、起動実験にはきちんと立会うことを約束した。




ベビージムが完成したので、ミリナの所に送らせて貰った。やはり遠方なので送料は値が張ったが、丁度定期便もあったようなので、宜しく頼んでおいた。


イクスルード領は、昔から馬の生産が盛んなので、その輸送に合わせて月1回程度の頻度で王都と定期的に荷物のやり取りをしているらしい。その際は、領軍が同行しているため、野盗に襲われることもなく、魔物なども簡単に対処しているため、安全に輸送出来ているそうだから、問題無いだろう。




そして、ワターライカ領に行く日となった。王城から転移門で向かうと、これまでと異なる場所に着いた。案内役らしい人に聞いたところ、領主邸が完成したので、大司教台下に依頼して、こちらに場所を移して貰ったそうだ。現在、王都にも領主邸を建てているそうで、そちらが完成したら、王都側の転移門も王城から変更するらしい。まあ他の領主と同じ状態にするだけ、ということかな。


領行政舎の会議室にいたヴェルドレイク様に挨拶を行い、現状を聞かせて貰った。


「成程……貝を養殖するための組織は概成したということですわね」


「ああ。後は例の場所への橋を掛けるとともに、養殖施設内に溜桝や給排水路などが必要な状態だ」


「その辺りの作業は、図面があれば、私の方で作業が可能ですわ」


「有難い。建築士達は現在、領内の整備で手一杯だし、海に橋を架けるのは非常に労力を使うからね」


「お任せ下さいませ」


それから養殖施設の主体となる建物周辺の工事を行った。建物周辺の工事は1日で終わったのだが、実際に核を入れた貝を育てる海域、生育場と呼んでいるそうだが、そこまでの橋を作るのは結構大変だった。


以前行ったように、陸上で概略の柱を作っておいて概ね等間隔で海に刺していき、それをしっかり埋めて固めた上で橋桁を作っていった。今回は馬車なども通れるような幅を持たせるとともに、防護柵なども付けたからね……。結構どっしりとした感じの橋が出来てしまった。まあこれなら、海が荒れても大丈夫だろう。


「これなら貝の生育場との行き来が簡単になる。これだけの橋は現状では我々だけでは作れない。非常に助かった」


「お褒めに与り光栄ですわ。ただし、定期的な点検は確実に行って下さいな」


「そうさせて頂こう。後は、貝の改良について、頼めるだろうか」


「承知致しましたわ」


貝については、養殖施設内の設備が整った段階で生育場の中にいたものを獲ってきていたようだ。まあ、橋を架けていた際にも結構な数の船が生育場周辺に停泊していたからね……。


貝は養殖施設内にある、汲み上げた海水で満たした溜桝の中にいたので、両手を水精霊と同化させ、1匹ずつ取り出して、立派な魔石を作ってくれるように、また、魔素への耐久度が高まるように、お願いした。


それと、他の貝との見分けを付きやすくするため、色を変えて貰った。元々は黒っぽかったのだが、私がお願いして魔力と水属性のエネルギーを込めると、翌日には貝殻の色が真っ白になった。付近の貝には真っ白な貝はいないそうだから、これで見分けがつくだろう。


これらの貝には、魔石の核となると予想されている魔法銀や、比較の為にくず魔石などを埋め込んだ後、魔法で傷を癒して生育場に移し、定期的に様子を見るそうだ。また、改良した貝から新たな貝を育成していくそうだ。そちらについては、テトラーデ領から来た専門家に任せておけば問題無いだろう。


こうして依頼された作業を終了し、ヴェルドレイク様の所に挨拶に行った。


「貴女がいなければ、この研究も簡単には進まなかった。改めて、感謝する」


「有難く存じますわ。この研究は領のみならず、国家として重要なものですから」


「その通りだが、貴女自身大変忙しい所だというのに、頼ってばかりというのは宜しくないと感じている。先日も、来光軍に協力したと聞いている」


「ええ、神の教えを広めるための活動に参加し、身に余る光栄でしたわ。それに大変参考になることもございましたので、習得出来るよう鍛錬しているのですわ」


「そうか……貴女自身が楽しめているなら良いのだが……」


「ええ。ワターライカ伯爵も、私達が作り上げたこの領を、宜しくお願いしますわ」


「ああ! 次に貴女が来る時は、より良い領をお見せしよう」


ヴェルドレイク様と別れて転移門で王都まで戻り、陛下や宰相閣下に研究の進捗を報告して、今回の研究支援は終了した。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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