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第377話 麻薬生産組織の壊滅 4

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

港町に戻ると、来光軍は町とその周辺の教化を進めていた。というのは、長引く戦争のために主要な神官達がこの国を去った後は、信仰を捨てる人達が増えていたらしい。それは仕方ないところではあるが……それでは来光軍がここに駐留することも危なくなるので、とりあえずは傷病者の治療を積極的に行うことで、布教していたらしい。


その中には麻薬中毒者も多かったが、大司教クラスの高位神官も同行していたため、神域への転移門を一時的に作ってしまったそうで、神域からも神官の増援を行い、徹底的に治療しているらしい。


そのおかげで、来光軍はこの付近の人達に受け入れられたようだ。例の活動資金もその一部を貧しい者の救済に充てており、そういった面も支持されているらしい。




さて、私の仕事は阿片だけではなく、大麻の製造施設も潰さないといけないわけだが、場所が集まっていた阿片とは異なり、大麻は色々な所で作られていることが判っている。なので、これからはしらみつぶしに場所を当たらないといけないのだ。精霊に案内して貰うから場所自体は判るけれど、数が多いからね……。


さりとて、ゆっくり時間を掛けてやっている暇は無いから、大麻については魔力消費を抑えられる同化で済ませよう。ただ、上空から広範囲を掌握するのは難しいから一旦地上付近に降りないといけない関係上、施設などで働いている人達もある程度実力で追い払っていかないと、こちらが危険に晒されてしまう。それと、警告くらいは他の人にやって貰おうかな……相談してみよう。


リーズ達と相談した結果


「では、警告は風属性のリーズにお願いするわ。拡声具も借りて来ましたから、問題無いでしょう」


「は、はぁ……では、先日のお嬢様のお言葉を真似て、警告を行います」


「有難う、それと、一旦地上に降りる前に、軽く雷魔法で脅します。それで皆が怯んだ隙に地上に降りて、一気に大麻畑や加工施設を破壊いたしますわ。皆様には、その際の私の護衛をお願いしますわ」


「導師様、承知致しました!」


行動要領も決まったので、一旦休息を取りつつ、当面の食糧などを異空間に収納したりして準備を行った。




次の日、風精霊に案内されて、大麻製造施設を壊滅させるため、移動を始めた。


港町からあまり離れていない村で、大量に大麻を栽培しているそうなので、そこを最初の目標にした。1時間もかからずに村近くに到着し、一旦着陸して操縦を代わって貰って車上に乗り、大麻畑に向かった。


村の上空を過ぎていった所、やはり下では驚いているようだ。では先日と同様、まずは火・風精霊と同化して、光魔法で光を作って目立たせよう……そろそろ警告を始める頃かな。


『我々はカラートアミ教来光軍に所属する、ロイドステア国の精霊導師、フィリストリア・アルカドール様の一行です。神は、麻薬製造組織の跋扈をお許しになりません。故に、今からこの施設を破壊します。速やかに退去して下さい』


リーズが警告を繰り返していると、下に人が集まって来た。私達を攻撃しようとしているようなので、雷魔法で脅してみよう……一応当てないように軽く放ったが、やはりこちらでは雷魔法は知られていない様で、皆逃げ出してしまった。念の為何回か追いかける様に放っておいたので、全員畑の外に出たようだ。


では、降りて畑や施設を潰そうか。一旦同化を解除した後、改めて両手を地精霊と同化させる。


畑の中央付近で地表面付近に一旦滞空して貰い、まずは畑を均してからそこに降りて貰った。全員空動車から降りて防護態勢を取る中、私は大麻を枯らして土壌に飲み込ませ、さらに均して平地に変えて行った。芥子畑の時は和合していたから植樹する余裕があったんだけれど、今回は同化なのでそこまでの力は無い。


まあ、大麻の場合はどこでも育てられるらしいから、この土地を使えなくしても、あまり意味が無いようだからね……。


私達を遠巻きに見ていた人達からは、明らかに恐怖の感情が伝わって来る。こちらに攻撃を仕掛ける事が不可能な位置まで離れているからそれ以上追い払いはしないけれど、少し遠くの方に大麻を保管しているらしき施設や、宿泊施設についても使えなくしておこう。リーズに退避勧告を告げて貰う。


『大麻製造に関連する施設は全て破壊します。直ちに退去しなさい』


大麻畑の方は片付いたので、皆に空動車に乗って貰い、施設の方に移動すると、恐怖のためか、人達が散り散りに逃げて行った。施設についても無人となったので、有難く壊させて貰った。

大麻畑や製造関連施設を破壊することが出来たので、再度リーズに教化の言葉を伝えて貰いつつ、次の場所に移動した。




それからは、数日かけて国中の大麻畑や製造関連施設を潰していった。雷魔法を見せたりすると、大抵の人達は驚いて逃げて行くので楽に作業を進めることが出来たのだが……。


「あれは……どう見ても、私達に備えているように見えますわね」


管理している領主の所に情報が入ったからなのか、軍の部隊らしき存在が、大麻畑周辺を守っていた。とりあえずいつもの様に操縦を代わって貰い車上に位置したが、念の為、いつもより上空を飛んで貰いながら、リーズに警告して貰ったところ、やはり攻撃を仕掛けて来た。


通常の弓や魔法は届かないので、結果は変わらないのだが……問題は、あの人達が金属製の鎧を装着していたことだ。あれでは雷魔法が効き過ぎる。一応戦争の形だけど、立場上あまり死者を出してしまうと後々困りそうだから、今回は怪我を負わせる程度のレーザーにしておくか……。


4分の1くらいの人達の足を狙ってレーザーを撃ち、負傷させると、いきなり怪我をして苦しみだした人達に驚きつつも、皆で負傷者達を抱えて逃げて行った。まあ、仕方ないが……後はいつもの通り作業を行って、その場を離れた。




こうして、王都周辺を除き、麻薬関連施設などを破壊することが出来たので、例の港町に戻った。とりあえずはノーブレド神官将と情報共有を図ろう。


「司令官殿、こちらについては王都周辺以外、麻薬製造に係る施設等を破壊することが出来ましたわ」


「おお! 流石は精霊導師殿だ。この短期間にそれだけのことを成し遂げるとは。こちらは逐次王都を攻めるための準備が進んでおります。この町の教化は着々と進んでおり、神敵となることは無いでしょう。応援を呼べたのも良かったのでしょうな。それと、諸侯の動きですが、精霊導師殿のおかげで、殆どが恭順の意志を示しました」


「こちらは神の御威光を笠に動いただけですので……まあ、諸侯が賢明な方々で宜しかったですわね」


「サウスエッド海軍の方も、予定ではそろそろウェルステッド国の港に着く頃です」


「あちらはザルスアージ伯爵達に任せておけば上手く動いて頂けるのではないかしら」


「諸侯には、王都へ向けて進軍するよう伝えてあります。最低でも、この国の王を変えることになりますので、利に聡い者であれば、乗って来る筈です」


「来光軍としては、麻薬に関する件が解決出来れば、国体自体はどうでも良い事ですからね」


「それと、ザルスアージ伯爵達次第ですが、ウェルステッド国もこの動きに乗じて、自国が有利な条件での終戦を望む可能性があります。そうであるならば、両国に対しても正式に神官達を再派遣することが出来るでしょう」


「そうなることを願っておりますわ……私についても、王都への進軍に合わせて、周辺の施設等を破壊させて頂きますわ」


「その方が安全も確保出来るでしょうからな。王都へは、2日後に進軍を開始します。それまでは身体を休めつつ、準備を行って下さい」


ノーブレド神官将との話し合いは、そのような感じで終了した。


私達は、休息をとりつつ、進軍に備えて準備を行った。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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