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第376話 麻薬生産組織の壊滅 3

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

来光軍には、異端審問を行うことが出来る神官達が同行しており、ベスプライザ伯爵は、直ちに異端審問を受け、全てを白状させられた。


国家として麻薬製造・密売を行っており、莫大な利益を得るとともに、国民に対しても麻薬を使っており、前線の兵士に使うのは日常茶飯事で、ウェルステッド国に対しても密輸したり、麻薬を使って一般人を暗殺者に仕立てて王家を襲わせたこともあったらしい。確かに許容出来る範囲を既に超えていると思う。神様が口を出したくなるのも当然かも……。




ベスプライザ伯爵は公開処刑され、保有していた財産は来光軍が接収し、当面の活動資金にするそうだ。それもどうかと思うけれど、ある意味仕方無いとも言える。そもそもブールイスト国やウェルステッド国の通貨は、他の国家と違い、神様の保証が得られていない状態なので、現在私達が使っている通貨との両替が出来ないから、こちらで活動するための資金が現在無い状態だ。


今の状態から麻薬を排除するためには、かなりの時間と労力、そして資金も必要だからね……。何せ、相手は国家になることが確定したわけだし、あちらが罪を悔い改めれば良いのだけれど、ここまでやる国が素直に悔い改めると考えるのは楽観的に過ぎる。基本的には諸侯と連携して国王を討つ形になるのだろうけれど、この国の貴族の中で信用のおける貴族がどこにいるのか、それを把握するだけでも時間がかかりそうだ。


とりあえず、ブールイスト国の地図を入手して、来光軍の軍議が行われた。当面はこの港町を拠点として、諸侯に援軍を要請するとともに、サウスエッド国海軍がウェルステッド国の方に向かい、連携を促すことになった。そして私は、ブールイスト国の戦争継続の意志を挫くため、一刻も早く麻薬生産施設等を破壊することになった。




まずは施設などを見つけないといけないから、各領巡回助言でやっている様に、風精霊を使役して情報を集めることにした。


とは言っても、麻薬製造施設関連の情報を集めるだけなので、そこまで緻密な情報がいるわけではない。風精霊達に、実際の麻薬を見せて、大量にある場所を確認して貰えば良い。幸い、押収した麻薬も大量にあるから見本には困らない。


この国で造られている麻薬は大きく2種類、芥子(に似た植物)を原料とするものと、大麻(に似た植物)を原料とするものがある。芥子については基本的には精製して使うそうで、大麻は乾燥させてお香の様にして使っているらしい。


いつもの様に頭を風精霊と同化させ、風精霊達を呼び出して魔力を与えて国内を捜索させた。すると、幾つかの工場らしき施設や保管施設、それと、芥子や大麻を栽培している場所が概ね特定されたので、ノーブレド神官将達に情報提供するとともに、今後の活動方針を話し合った。


「これらの施設がある場所の領主からは、援軍は期待しない方が良さそうですわね」


「まあ、この様な施設が領内にあるのであれば、共犯か無能か、若しくはその両方ですからな……」


「海軍の方は、明日には出航可能ですので、ウェルステッドの王都に近い港に向かいます」


「宜しく頼みます。同行する神官達と、後で調整をお願いします」


「承知致しました」


「私については、明日以降空動車を使い、判明した施設等を破壊しますわ」


「そちらも宜しく頼みます。可能であれば、来光軍による行いであることを明言し、派手に破壊して下さい。それと、あちらの者達を拘束する必要はございませんが、退去勧告だけは行って頂けると助かります」


「承知致しましたわ」


こうして私は、施設等の破壊を行うことになった。




次の日、出発するために部屋を出ようとした所、部屋に控えていたリーズが緊張のためか、少々顔が強張っていた。まあ、専属護衛になってすぐにこのような大仕事に付き合わされるのだから、緊張しても仕方が無い。


「リーズ、そう緊張せずとも大丈夫ですわ。貴女は私を守ることに専念して下さいな」


「は……はい! お嬢様を全力でお守りします!」


「此度の任は神の名の元に行うものですわ。疾しい所が無いのであれば、恙なく終わるでしょう」


「た……確かにそうですね! ならば、大成功間違いなしです!」


「ふふ、では、参りますわよ」


「はい!」


元気になったリーズを伴って宿泊施設の外に出て、空動車を異空間から取り出し、近衛騎士達も乗車させてから出発した。


今回の目的地は、グリタニア大陸の北部にある山地だ。幾つかに芥子の生産拠点があり、その周辺には芥子から液を抽出して阿片を製造する工場があるようだ。


風精霊に案内して貰い、一旦目的地の近くの人がいない所に降り、周囲をリーズ達に警戒させて、該当する地域を感覚共有により探ってみた。


すると、現在地から一山超えた先に芥子畑が広がっており、また、その近くに阿片製造施設らしき建物や、ここで作業を行っている人達の宿泊施設などがあった。


作業を行っている人達は、何だか生気の無い顔をしており、この人達も薬物中毒なのかもしれないと思った。そうなると、素直に勧告に応じてくれるかも判らないし、下手をするとこちらに大挙して襲って来るかもしれない。私だけなら恐らくは大丈夫だろうけれど、リーズ達の安全も考慮しないといけないからね……。




そういった事も考えつつ、現地偵察を終了し、一旦皆に集まって貰った。


「場所は確認出来ましたわ。今から阿片の生産拠点に向かい、壊滅させます。そこで、確か……貴方は空動車を操縦出来ましたわよね? この空動車を操縦して下さいな。他の方々はそのまま乗車して下さい。私は車上に乗りますわ」


「導師様、それは危険ではございませんか?」


「魔法や矢が届かない位の上空を進めば、相手は手出し出来ませんわ。この山を越えた先に開けた場所があり、芥子が栽培されていますので、その中央付近で浮遊して下さいな。そこで私が勧告を行った後、施設などを破壊しますわ。折角ですので、派手に行いましょう?」


「は、はい、導師様が落下されることの無いよう、細心の注意を払い、移動させて頂きます!」


そうして、私は空動車の上に乗り、リーズと近衛騎士達は普通に乗車し、ゆっくりと動き出した。私が伝声して誘導しつつ、風精霊に頼んで山風を抑えて貰いながら進み、山を越えると先程感覚共有で確認した芥子畑が確認出来た。


当然今も多くの人達が作業を行っていたため、空動車が迫って来ると、騒ぎ出したようだが、聞く必要も無いので放っておく。概ね中央付近に来て、注文通り空中に停止してくれたので、勧告をすることにしよう。


右手を火精霊、左手を風精霊と同化させ、私の上空に火属性のエネルギーを集めて光らせるとともに、この周囲一帯に伝声する準備を整え、話し始めた。


『私はフィリストリア・アルカドール、ロイドステア国の精霊導師です。現在、カラートアミ教来光軍に従軍しております。神は、麻薬製造組織の跋扈をお許しになりません。故に、今からこの施設を破壊します。速やかに退去して下さい』


同じことを5回程繰り返していると、下から魔法や矢が飛んで来たので、念の為風で防いだが、このような感じなら、こちらに届かないだろうし、仮に届いたとしても、この空動車自体も底面を魔法銀で強化している特別製だから、少々の魔法や矢など、問題無いのだけれどね。


さて、そろそろ勧告が伝わっただろうし、一気に片付けよう。ただ、人体などへの影響を考えると燃やしたりするのを避けないといけないから、同化を解いて地精霊と和合を行おう。



【我が魂の同胞たる地精霊よ。我と共に在れ】



和合した私は、まずはこの辺り一帯を掌握した。そして、芥子を一斉に枯らした。すると、突然起こった異変に恐怖したらしく、こちらを攻撃していた人達が一斉に逃げ出した。


皆が芥子畑から出たのを確認し、次に地面を操作し、均してから周辺の森から株ごと木を持って来て、跡地に植えていった。芥子達には養分になって貰ったが、仕方無い。そして、工場などの施設は全て土に還って貰った。人も結構残っていたが、窒息する前に土から排出しておいた。


処置を終えて和合を解き、再び火・風精霊と同化して、火属性のエネルギーを集めて光らせつつ、伝声した。


『我々は神によって生かされているのです。自らの行いを悔い改め、神の教えに立ち戻りなさい』


逃げ惑う人達は立ち止まることは無かったが、一応5回繰り返して伝声して、同化を解除し、先程待機していた場所に移動した。




その後、数日かけて北部山地に4つあった拠点を全て破壊し、私達は港町に戻った。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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