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第037話 相談相手になってみた

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

収穫祭最終日は、とりあえずレイテアの体の様子を見た後、家族や友人への土産を買って過ごした。次の日に領地へ帰り、お父様達にお土産を渡しつつ、レイテアの活躍について語った。その件は喜ばれたのだが、その場でお父様が、私の婚約の打診が複数来ていると、嫌そうな顔で話してくれた。


どうも陛下への謁見の際、有望株として目をつけられたらしい。特に、陛下の「アルフラミスの蕾」発言が広まって、陛下が認めた国民的美少女扱いだそうだ……あれがそこまで影響ある発言だったとは……ぐぬぬ。


で、今の所イストルカレン公爵家、カウンタール侯爵家、イクスルード侯爵家からそれぞれ打診があったそうだが、当面は陛下からの命があるため全て見送る、ということだ。しかし、今回は他家の余裕が無かったかもしれないが、今後は王都などに行くときは、婚姻を結ばせるための調略が行われる可能性もあるので、十分注意するよう言われた。正直面倒臭いが、貴族社会の性というものだろう。




暫くは、各種授業や鍛錬に明け暮れる日々が続いた。訓練場が空いていた時は同化や和合の練習もさせてもらった。その他、最近行っていなかった茶会をいつものメンバーで行うことにした。既に何回かやっているので、一連の手続きもそれなりに出来るようになった。


久し振りに5名で茶会を行ったが、こちらが話題を振ろうとすると


「フィリス様、多くの家から婚姻の申し込みが殺到しているというのは本当ですか!」


というルカの発言を皮切に、女子トークが始まってしまった。


「え、ええ。父からそう伺っています。何れも良いお話ですが、検討に時間がかかるそうですわ」


「今フィリス様のお年に釣り合いそうな方ですと、イストルカレン公爵家、カウンタール侯爵家、イクスルード侯爵家辺りでしょうか?」


「私からは、今の段階でお名前を出すことは出来ませんの。申し訳ございません」


ドンピシャだよ!だけど体裁悪いから口外できないんだよ、ごめんね。


「フィリス様のお立場ですとそうですよね。でも、話があって当然ですので、参考までに」


そう言って、ルカは三家の令息達について、噂で仕入れた情報を語り始めた。イストルカレン公爵家のクリフノルドは、あまり出来が良くないとか、カウンタール侯爵家のライスベルトは魔法が得意とか、イクスルード侯爵家のダリムハイトは、剣が得意だが魔法は苦手とか。


何でそんなに色々情報を知っているのか、ルカに聞いてみると


「最近、領外の知人に、フィリス様がどのような方かと尋ねられますの。その際に色々と」


と、とんでもないことをのたまった。


「私の所も、そのような方は多いですよ。陛下から「アルフラミスの蕾」と賞賛された令嬢はどのような方なのか、と。差し障りのない程度にお答えしておりますが」


「私の所は~、王都にいる父が、色々な方からフィリス様の事を尋ねられると言っていました。容姿もそうですが、素晴らしい魔法の才能がお有りだと噂になっているそうです」


「わ、私も、最近兄達がフィリス様について聞いて来ますね」


「あ、あら、それは光栄ですわね。そういえば、アンダラット先生は王都での暮らしは如何なされているのかしら」


正直聞いてて恥ずかしいのと、普通に気になったので、先生の様子を聞いてみた。実は少し前に、後任の方がこちらに着任して、引き継ぎを行って、アンダラット先生が王都の魔法研究所に勤め始めたのだ。


「はい~、早速、アンダラット法についての書籍を編纂しているそうです」


「ご活躍されているのね。アルカドール領出身の方が活躍されるのは誇らしいですわ」


アンダラット法というのは、私の発言を切っ掛けとして先生が開発した画期的な魔力操作法だ。聞いた話では、魔法研究所での検証も終了し、今後は魔法学校の教育や国軍の訓練に取り入れられる予定だそうだ。


「有難うございます~。ただ、私も今度の春から王都に住むことになりました。私も魔法の道に進もうと考えているのですが、それなら早めに王都で生活して、人脈を作った方が良いだろうと言われまして」


「ティーナ様は魔法の才能がお有りですものね。ティーナ様とお別れするのは寂しくなりますが、王都であれば、お会いできる機会もございますわ」


そう言うと、ルカやセレナも同意していたが、パティは悲しそうな顔をしていた。確かにパティはティーナと特に仲がいいから、別れるのが嫌なのだろう。何か元気づけることはできないだろうか。


その他、先日王都で買った土産を渡したり、収穫祭を見物した話などをして、茶会は終了した。




その日の夕食が終了し、部屋に戻る。背後霊と化した精霊のうち、地精霊と視覚・聴覚の感覚共有を行い、ミニスクス男爵邸に飛んで移動してもらう。部屋を確認していくと、3つ目の部屋にパティがいた。どうやらパティも、夕食を終え、部屋にいるらしい。


感覚共有をしている時は、精霊を認識できる相手、つまり妖精族や精霊術士などであれば、念話で会話することが可能だ。この場合、自分の口で実際に喋った言葉を精霊が念話で伝達する形になる。いつもの口調はお嬢様言葉らしいから、精霊っぽい口調で話すようにしないと……。


沈んだ表情のパティに近づき、話しかけた。


『やあ、元気?』


「……ううん、元気じゃない」


パティは精霊と話が出来ることが確定した。まあ、その確認は今回の主目的ではない。


『何か悲しいことがあったのかい?』


「……友達が、遠くに行っちゃうんだ……」


やはりティーナが王都に行ってしまうのが悲しいようだ。


『それは悲しいだろうけど……君はそこに行けないの?』


「私も……数年後には行くことになると思うけど……一度離れちゃったら、仲良くしてもらえないよ」


『そうなの?手紙とか出したりしないの?』


「出すけど……向こうで新しく友達が出来ると思うし……」


『それはそれで仕方ないんじゃない?それに君も、新しく友達を作ればいいと思うよ』


「え?私なんか無理だよ……知らない人と話なんかできないよ」


『でも今、話は出来てるよ?』


「それは貴方が精霊だからだよ。家族以外の人と話すのは怖い。今日だって、何人かの女の子達と話したんだけど、全然慣れないの。特に、その中の一人が、領主様の娘ですっごく綺麗な子なんだけど、何度も会っているのに、緊張してまともに話せないの」


……えーと、もしかして私、今でも怖がられてるの?ショックだ……。まあ、気を取り直して。


『緊張する必要ないんじゃない?それともその子、無礼者!とか言ってすぐに殺しちゃう子?』


「ううん、フィリス様はそんなこと言わないけど、私の問題……だと、思う」


『君の問題か。どういう所が問題なんだい?』


「こんな私、誰も好きになってくれないよ……何のとりえもないし」


『他人と比べなくても、生きてていいんだよ?出来る事、やりたいことがあれば、それでいいじゃない』


「貴方……変わった精霊ね。人間みたい」


まあ、確かにこんなことは普通の精霊は言わない。


『精霊にも色々いるんだよ。でも、他と違うからといって、存在を否定されることはない。むしろ、色々いるから世界は成り立っている。君だってそうだよ。生きるって、そういうことだと思わない?』


「……ふふっ、そうだね」


『無理に自信を持てとは言わないけど、まず、自分を好きになる所から始めると、いいと思うよ。慣れれば、多分他の人とも気軽に話せるようになるよ。さっき言ってた子とも、ね』


「……自分を好きになる……か。何だか、貴方とお話ししてると、自分が変われそうな気がしてきた。ねえ、もっと貴方と色々お話ししたいな」




こうして、定期的にパティの所にお邪魔して、色々話すことになった。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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