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第367話 一人増えた家族会議が行われた

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

久し振りの家族揃っての昼食後、毎年恒例になった感のある、情報共有や今後の構想検討を目的にした家族会議が始まった。なお、今回からお義姉様も参加している。




まずは王都で得た情報だ。主にお父様が話したが、私が関与したものは補足を行った。


「技術の発展もさることながら、ワターライカ領の振興も我が国の発展に寄与しておるのう」


「父上、現状を鑑みて、やはりワターライカ領との間にプトラムの港からの定期便を作ろうと思います。フィリスから話を聞いた限り、この領では入手が難しい品を生産しているようですし、あちらも今後人口が増加するに従い、こちらの品を欲すると思われます」


「確かに、今のうちから直接取引をするための航路を確立しておけば、将来利権を争うことになっても先んじて手を打つことが可能だ。カイ、その方向で進めてくれ」


「承知致しました」


「フィリス、最近王都で流行しているという絹織物なのだけれど、確かに素晴らしいものだったわ。あれは我が領での生産は難しいのかしら?」


「そうですわね……この領にはあまり桑がございませんので、桑畑を作る必要はあると思いますが、不可能ではないと思われます。ただ、養蚕に割ける人的余裕があるかは正直判らない所ですわね……」


「現在行っておる事業だけでも手一杯じゃから、優先度は下がるかのう……」


「それは残念ですわ……我が領に来て肌を美しくしたところに絹の盛装を販売出来るならば、更に良い宣伝になると思いますのに……」


「確かにあの美肌魔法は素晴らしいですわ……私もこちらに来てあの魔法の虜になってしまいましたもの。そこに絹の盛装を纏うのは、さぞや注目を浴びるでしょうね……」


「あと数年すれば、道路の整備も落ち着く。それからなら人的余裕も出るはずだ」


「まあ、それは楽しみですわね」


そのような感じで話が進んでいった。




次に国内の貴族達の動向について、話し合われた。


「改革派の勢いは低下しているが……東公の力が落ちたのだろうな……ただ、カウンタール家やディクセント家の影響力は上がっている。大臣をはじめとしてあちらの勢力が大きい建設省が、かなり予算を取っているからな……」


「それは現状の政府の方針を反映しておるから仕方ないじゃろう。フィリスの方は婦人達の動きに関して何か無かったか?」


「そうですわね……東公に関しては、夫人が孤軍奮闘しているように見受けられましたわ。かなり疲労が溜まっていらっしゃったようですし」


「他国から嫁いで来られたというのに、悲しいものがあるわね……」


「容認派の多くの領は、独自の振興策によって、かなり活性化しているという話だ。各領の裁量を比較的認めている現宰相の方針などが反映されていることもあるが、フィリスが巡回助言などで助力していることも理由だろうな」


「それぞれの領で特性を生かして豊かになれば宜しいのですわ」


「そうじゃのう……ところで、ワターライカ領は今の所、どの派閥に加入するか示しておらんのか?」


「はい。領主はヴェルドレイク殿ですから体制派となる可能性が高いですが、領内の主要な貴族は改革派の領から来た者も多いため、納得させるのに時間が必要なのでしょう」




他にも幾つか貴族の動向について話し、今度はアルカドール領内の話になった。基本的には産業振興各施策は成功しているが、反面、慢性的な人手不足も問題になっているようだ。


「現在ドミナスで実施しておる石炭素材研究じゃが、今年の魔法学校卒業生が何名も参加してくれることになっておる。チェルシーのおかげじゃな」


「私は火魔法研究会の後輩に事業のお話をしただけですわ」


「それだけで有為な人材が集まって下さるのですから、生かせる伝手を持つことは素晴らしいですわね」


「それ以外でも長期的に人材を獲得できるよう、進学する者に対して領から助成金を出す制度を作ったり、医療体制を見直したりしているよ」


王都の騎士学校や魔法学校に通うのは、金銭的な負担がかなりあるからね……。その辺りを助成することで、卒業後に領で働いて貰うようにするのは有効な手段だろう。また、どうしても小さい頃は病気で亡くなる可能性が高いため、それを出来る限り防止することで領民を増やしたり、安心して暮らせることで魅力を高めるという効果もある。


ワターライカ領が大々的に入植を行っているためか、一時期より移民が減少しているので、そういったことにも目を向けないといけないようだ。


「そう言えば、ノスフェトゥス国からの流民の対応はどのような状況でしょうか?」


「国境は最近小さな動きが多くてね。流民はあれからも増加しているから、やはりあの開拓村に住んで貰っているよ。今では人口的にはもう町と呼んで差し支えないのだけれどね。今の所、アルカドール領なら食べるには困らないということで、基本的には皆真面目に開墾を行ってくれているよ」


「たまにあちらの間諜らしき者が混ざっておるのが困り物じゃが、フィリスの策は良く機能してくれておるよ」


「ロナリアも頑張っているようで何よりですわ」


「彼女については、領軍の水魔法兵達とも一緒に訓練しているね。その時は私も混ぜて貰っているよ」


「カイの魔法は、今でも物凄い威力ですのに、魔法強化すると、恐ろしいまでの威力を発揮しますのよ」


どうやらお兄様は、私が贈った鎧を使って日々鍛錬しているようで、今では転移門を使って1日で王都を往復することも可能だそうだ。ますます頼もしくなっているらしい。


「現在、遠隔談具を主要な町やトロス砦などの要地に逐次設置している所なんだ。軽易な調整がすぐに行えるし、私などは遠視も併用するとすぐに実情が判るので、非常に助かっているよ」


「先日など、相手に書類を持って来させて話をしておりましたわね」


……まあ、仕事がはかどるのなら、良い事だろう……。


その他、以前から西公領を通じて砂糖を帝国に輸出していたが、お義姉様の影響もあって、水晶像などの輸出を始めたそうだ。そのため、これまでは帰りの便では西公領周辺で生産している小麦などを入手していたが、金銭的に余裕が出て来たことから、帝国からの輸入品なども結構入って来るようになったそうだ。


寒冷地であるアルカドール領としては、特に毛織物が人気の様だが、お菓子にも利用できる緑茶などを、甘味研究所が使っているそうだ。


「そうそう、今年は精霊杯があるので、年明けに皆でドミナスに向かうが、良いかのう」


水晶像の品評会である精霊杯は、隔年で実施されているからね。さて、今度はどのような作品があるのだろう……。




こうして様々なことを話し合い、家族会議は終了した。個人的にはお義姉様がしっかり我が家に溶け込んでいるのが、何気に嬉しかったかもしれない。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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