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第366話 次の専属護衛が決まった

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

12月に入った。私が関係する今年の大きな行事は、王妃殿下主催の茶会くらいだ。なので、業務に関してはのんびりモードだ。長期間仕事をしなくても大丈夫なように、色々片付けておこう……。




週末になってレイテアから、先日頼んでいた、テルフィの後任候補を選定したという連絡が入ったので、休日に会うことにした……のだが


「フィリス様、是非、私を専属護衛にして下さい!」


「リーズ様、まさか貴女が希望するとは思いませんでしたわ」


私から話があってすぐにレイテアは、今年卒業の女子学生を集めて話をしたところ、殆どの学生が専属護衛を希望したそうだ。そこでレイテアは、年末試験の際に行われる試合の成績で選ぶことにしたらしい。


魔法学校で年末魔法戦が行われるのと同様に、騎士学校でも試験の一環で学生間の試合を行うそうで、リーズは今回3位、女子学生ではトップの成績を修めた。その他にもリーズは魔力波も習得しており、十分な戦力を有しているので候補に選定したそうで、別に私と知己だから、という理由で選定したのではないようだ。


「しかしリーズ様、貴女は確か、騎士団からお誘いがあったと伺っていたのですが……」


王家の女性は、王妃殿下、レイナルクリア様に加え、メイリスデニア殿下もお生まれになったことや、女性騎士達の実力も向上したことから、近衛騎士隊が高貴な女性を警護対象とする、女性騎士だけで編成された分隊を作るという話が出ており、優秀な女子学生に対しても卒業後の勧誘を行ったと聞いている。


成績が優秀だったリーズも当然その一人なので、私はリーズがそちらに行くとばかり思っていたのだ。


「いえ! 騎士団にいるよりフィリス様の専属護衛となれる方が誇らしいです!」


「今の女子学生達は、間近で貴女の試合を観ていますからね……女子学生達にとって貴女は憧憬の対象でもあるのですよ」


そういえば騎士学校の学生達は、手伝いをする代わりに、武術大会の試合を観ることが出来るんだよね……。少々面映い所もあるが、リーズに護衛をお願いする方向で進めよう。


とは言え、一応は実力も見ておこうかな。


「テルフィ、リーズ様との対戦をお願いするわ」


「承知致しました」


それから、テルフィとリーズは庭で木剣を使って対戦を行った。当然、実力はテルフィの方が高く、リーズの剣はまだまだ荒削りだったが、身体能力が思った以上に高く、更に伸びるであろうことが伺えた。


「そこまで。テルフィ、有難う。リーズ様、実力は解りましたわ。父に推薦させて頂きましょう」


「はぁ、はぁ、……有難うございます!」


それから私は、お父様にリーズを改めて紹介し、リーズのお父さんであるアプトリウム子爵とも連絡を取ることにした。帰省の際にも会えるだろうから、その時に改めて話させて貰おう。




次の週になり、今年最後の御前会議などが終了した。魔法学校や騎士学校でも卒業式が行われ、知っている人達では、先日も会ったリーズや、ビースレクナ侯爵家の嫡男であるワルターも卒業となり、うちにも挨拶に来た。


ワルターはそれなりに上位の成績で、領主としては問題無いか……とは思うものの、ミリナの影響が大きかったのか、少々女性に対して奥手……というか、様子を見ながら対応するような所がある。なので、在学間特に親しい女性はいなかったようだ。これから婚約者を探すようだけれど、魔物が多く発生するビースレクナ領を怖がる令嬢も多いと聞くからね……どうなることやら。




次の日、王妃殿下主催の茶会に参加した。基本的には参加者は昨年と同様だったが……見た感じ、東公のアシュリノーゼ様の様子が少々変だな……表面上は普通に応対している様に見えるけれども、良く見ると、所々に魔力が滞留している。あれは相当疲労が溜まっている感じだな……後で少々話して、必要なら少々施術でも行った方がいいかもしれないな。


昨今のお菓子の話や美容の話などで少々盛り上がった後、自由に分かれて会話をすることになったので、私はアシュリノーゼ様に話し掛けた。


「アシュリノーゼ様、少々宜しいでしょうか?」


「……フィリストリア様? 何か御用でしょうか」


アシュリノーゼ様は少々警戒しているようだ。まあ、特に親しいわけでもないし、他の派閥だからね。でも、流石にそんなに疲労しつつも頑張って参加している人を見ると、差し障りの無い範囲で何とかしたくなるのは人情というものだからね……。


「アシュリノーゼ様、失礼とは存じますが、お体の具合が宜しくないのではございませんか?」


「い、いえ、そのようなことはございませんわ」


「私、実は魔力の流れなどを見ることが出来ますの。現在アシュリノーゼ様の首筋から肩にかけた部分、腰の辺り、恐らくは脹脛の辺りにも魔力の滞留が見られますわ。これは疲労が溜まっている状態ですのよ。このまま放置した状態で無理をするのは、宜しくありませんわ」


「……精霊導師様は、そのようなことまでお判りになるのですね……」


「もし宜しければ、私に簡単な施術を行わせて下さいな。お時間は殆ど取らせませんので」


「結構ですわ。そのようなことをせずと……」


アシュリノーゼ様がふらついたので、素早く近付いて支えた。


「やはりご無理をされていらっしゃるのですね。少しあちらでお休みになっては如何かしら?」


「……そうさせて頂きますわ……」


茶会の会場の端にある椅子までアシュリノーゼ様を連れて行った。途中侍女が気を利かせてやって来たが、飲み物などを持って来るよう指示をして、アシュリノーゼ様を椅子に座らせた後、魔力が滞留した部分の治癒を行うと、アシュリノーゼ様の具合が良くなったように見えた。暫くすると、先程の侍女が水や濡らした布などを持って来たので、後は任せることにした。


「気分は良くなられたでしょうか?」


「……ええ、有難く存じますわ」


「お体を十分に労わって下さいませ。では、私はお暇致しますわ」


こちらとあまり話したいわけでもないだろうから、負担を掛けないためにも、距離を取ろう。


その後はレイナルクリア様とお菓子談義をしたり、ペルシャ様やレナ様と先日の婚姻式の話などで盛り上がった後、茶会は終了し、王都邸に戻った。アシュリノーゼ様については、暫く休んだ後、改革派の婦人達と軽く話をしていたようだったので、回復したようだ。とりあえずは良かったよ。




次の日、私達はアルカドール領に帰省した。


お父様や、パティを始めとする精霊課のアルカドール領出身者達、今年騎士学校を卒業したリーズ、魔道具研究所準備室にいるネリスが揃った所で、供をする使用人達も連れて、アルカドール本邸に転移した。


それから、迎えに来た人達と合流してそれぞれの家へ帰ったり、途中までうちの馬車で送ったりしたが、ネリスはドミナスから戻って来ていたお祖父様に呼ばれ、別邸の方に行った。恐らくは撮像具に関する話だろう。話が終わったらコルドリップ先生の家に送って貰うことになっている。


なお、リーズについては、基本的にセイクル市のアプトリウム邸に宿泊するものの、毎日こちらにやって来て、引継ぎを行う予定だ。その為には明日一度、アプトリウム子爵の所に行って、最終的な許可を得ないとね。


あと、出迎えてくれたお兄様とチェルシー……お義姉様についても、特に問題は無さそうだった。茶会の際に、ペルシャ様やレナ様からも宜しく言われていたので、その話をしたところ、お義姉様は喜んでくれた。


まだアルカドール領は寒いが、春が来たような感じがした。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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