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第349話 撮像具の影響を考えてみた

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

そう言えばそろそろ魔法学校で例年行っている精霊概論の講義の準備をしないといけないな……今回の新要素……とまでは行かないが、四大精霊の概要についても追加しておこう。大精霊がどのような仕事をやっているかを知ることは、精霊全体の動きにも通じるものがあるからね……。


6月末になり、3か月に1回の御前会議とそれに伴う事前の省定例会議が行われたが……私に関係する話ではモリコルチ大陸の事案について情報共有が成された。


当面、あちらの情報は、国交が無いし遠方なので、カラートアミ教を通じてしか入って来ないが、基本的には大陸内で、ある程度統一的な国家を作る方向で話を進めている筈だ。風龍様が統一しなければ見捨てるという態度を取っているので、まともに状況判断が出来るならば、多少のプライドやら我欲などは度外視するのではないかと思う。


それと、先日ネリスが発明したカメラ、撮像具についても情報共有が成された。というのは、現場の状況を把握する上で、非常に有用な魔道具だと陛下が認識されたからだ。


私も意識していなかったが、王宮や政府、国軍などには、お兄様と同じ、遠視の恩寵を持っている人間を集めた組織があり、陛下達の現況把握の補佐を行っているそうだが、状況が口頭でのみ伝えられていたため、常々自身の目で確認したいとお考えになっていたようだ。


そのような中で撮像具が発明され、これこそ求めていたものだ、と思われたそうだ。そのためネリスには直々に、更なる性能向上、特に色を付けることなどを所望された他、政府の主な報告書には必ず撮像具を用いて詳細な説明を行うよう指示されたというわけだ。イラストなども味はあるけど、やはり事実を写したものの方が報告の正確性は上がるからね……。




休日を久しぶりに奪魔掌の鍛錬に充てて過ごした。練度が上がれば、次の武術大会でも使うことが出来るからね……そうだ、棒を経由しても使えるか試してみよう。


私が使う、大樹の枝を材料とした棒ならば可能のような気がする。要は、私が棒に溜めた魔力を操作すれば同じ要領で発動するのではないかと思ったのだ。何度か試してみたところ、少量だが魔力を奪うことが出来たようだ。


これならもっと大量に奪うことが出来れば、試合でも意表を突く時などに使えるだろう。鍛錬あるのみだ。




7月に入った。アルカドール領からドミナスの状況について手紙が届いた。どうやら、カーボンナノチューブを魔道具により製造したり、ダイヤモンドを魔法によって製造する方法を確立させつつあるそうだ。


私の誕生日プレゼントを作った時の様に、ドミナス中の火魔法士を集めて人海戦術で作ったりとかは、今後する必要が無くなるようだ。流石に気が引けるし、そもそもドミナスには、水晶像の作業のために優秀かつ加工に慣れた火魔法士が集まっていたから実現出来たことであって、通常なら魔法兵団がいる王都ですら難しかっただろうからね……。




第2週の週末になり、予定されていた魔法学校で精霊概論の講義を行った。


ここで、通常ならば話をした後魔法強化の体験を行う……という流れだったのだが、1つ予想外の事が起きた。大精霊について説明していると


『何だか僕達の事を話しているようだから、来ちゃった!』


何と、風の大精霊が、気が向いたようで講義にやって来たのだ。このような機会も無いので、この際講義に参加して貰おう。


「皆様、少々講義の予定を変更しますわ。風の大精霊殿、姿を見せて下さいませ」


と言って姿を見せて貰ったところ


「うわぁ……あれが大精霊か……通常の精霊とは全然違う……」


「おお、あれが大精霊というものですか……この講義は来る度に驚きがありますな……」


と、学生はもとより、何度か講義を聞いている教官達もかなり喜んだようだ。


『やあ、人の子達! 面白そうだからやって来たよ。僕に何か聞きたいことはあるかな?』


と、風の大精霊は気分が乗ったのか、質問も受け付けてくれた。そこで学生が幾つか質問したのだが、その中で、経験則では分かっていたものの、実際に大精霊から告げられたことで明らかになったことがあった。


「精霊と精霊術士との関係が良好だと、国が栄えると聞いたのですが、本当でしょうか?」


『精霊はそこまで考えていないけど、結果としては本当の事だよ。だって仲が良い子のために何かしたいと思うのは、当然じゃない?』


ということで、精霊術士が精霊に語り掛ける機会が増えると、作物の生育状況が良くなったり、自然災害が減少するのは、本当だそうだ。


ロイドステア国は、他国に比してかなり農業生産力が高いらしい。これは、実際にサウスエッド国との人材交流の中で数字を突き合わせた結果明らかになったことで、その理由は精霊術士が多いからなのだろうとは推測されていた。


要は、昔から言われて来たことが真実だったというだけであり、特に地の精霊術士と地精霊の仲が良い場合は顕著で、それだけで収穫高が数割違うそうだ。各領巡回助言についても、改善点を発見するだけでなく、そのような効果があると思われるから続けられてきたわけだが、改めて大精霊から話を聞くと、感慨深いものがあった。横で聞いていた講義の助手をするために来ていた精霊術士達も、誇らしげだった。


ちなみに最近は国内に関してはあまり災害が発生していないが、それも精霊との関係が良好であることの証左だろうと思われる。




その後、魔法強化の体験も行われた。その際、大精霊も魔法強化が可能なのか確認しようとしたら


『僕達大精霊は、基本的に魔法という現象には関与しないからね。仕事の領分が違うもの』


なるほど。基本的に大精霊の仕事には、魔法の発動は含まれていないわけだ。出来ないわけではないのだろうが、それは通常の精霊の仕事だから、奪ってはいけないという考えの様だ。私も知らなかったので、勉強になったよ。


ということで、魔法強化の実習は、いつも通り精霊術士達にも手伝って貰って行った。


そういえば今回はいつもと違う点がもう1つあった。ネリスが撮像具を使って講義の場を記録していたのだ。どうやら先日の御前会議の際に出された指示の通り、報告に使用するため、魔法省から派遣されたらしいが……ネリス曰く


「省が定期的に行う活動報告に使うということで、総務課から依頼されました! まだ撮像具を扱えるのが私を含めて少数しかおりませんので、今後も導師様が行われる主要な業務には、可能な限り私が同行させて頂きます! 宜しくお願いします!」


ということなので、仕事で撮っているのは理解しているが……表情が崩れてるし、たまに意味不明の言葉を呟いているようだから、気味悪がって周囲に人がいないのだけれど……あれは貴族令嬢としてはどうなのだろうか。一応後で注意だけはしておこう……。




その後、総務課長にも確認したが


「導師様のお姿はやはり華がある……と申しますか、報告書が大いに映えるのですな。これまで無味乾燥だった紙束が、何とも心躍る読み物に変わるのです。当然それを御覧になる陛下や宰相閣下の心証も全く違うものになることでしょう。そこで導師様には、今後も可能な限り、撮像具を保持した者を業務に同行させ、撮像画を報告書等に使うことをお許し頂きたいのです。どうかお願いします」


と懇願されてしまった。まあ、仕事で使うのであれば、問題ないけれども。


あと、総務課長の構想としては、今後は総務課に撮像具を使って各種状況を把握する班を新たに編成していきたいらしい。早速年末の予算審議において、人員を増加して要員を確保しようと考えているようだ。


それは前世を考慮すると、ある意味当然の流れなのかもしれないが……この流れが政府内だけでなく、民間にも伝わった場合は、少々注意が必要かな。


一応今でも商工組合が発行している新聞のようなものはあるわけだし、撮像具が広まった場合、盗撮などの危険性もあるということだ。


まあ、現段階では撮像具の使用範囲が、視線を感じることが出来る範囲内に収まっているから大丈夫なのだけれど、遠方から撮影出来るようになった場合は正直判らないからね……撮像具の技術発展には、気を配っておこう。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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