表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

353/414

第346話 モリコルチ大陸の魔物暴走対応 3

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

私は風龍様に、2つに分かれた魔物の群れのうちの1つを殲滅したことを報告した。


『流石は愛し子といったところか。ところであの技……我等が行う攻撃に似ておるな。どこかで学んだのだろうか?』


どうやら龍が行う攻撃と荒魂は似た所があるようだ。ちょっと聞いてみるか。


「自身の思い付きで行っておりましたが……まさか風龍様達の行う攻撃に似ているとは、考えが及びませんでしたわ。宜しければ、ご教授頂きたいのですが……」


風龍様の説明によると、龍が魔力と属性のエネルギーを込めて吐く息は、非常に強力な攻撃であり、魔物の群れに対して使われる。強力な属性エネルギーは、生命活動に対して甚大な影響を与えるそうで、魔物も例外なく息絶えるらしい。


しかしながら、この攻撃は強力過ぎて、魔物だけでなく周辺の地形にも大きく影響を与え、軽い攻撃でも数十年、全力で行うと数千年に亘り復旧しない可能性もあるそうだ。ということは、恐らくは全力の攻撃を放った結果出来たのが「火龍の決戦場」だったのだろう。


風龍様と私の魔力量はそこまで差がある訳では無いので、恐らくは属性のエネルギーの量が途轍もなく多いのだろう。


『今のお主の攻撃であれば、環境に然程影響は与えぬようだが、属性力を使い過ぎぬように』


「ご指導有難う御座いますわ」


『今日の所は一旦休み、明日、もう一方の群れの対処を願いたい』


「承知致しましたわ」


風龍様の前から退出し、現在使っている洞穴まで戻り、休ませて貰った。


あと、風精霊と感覚共有して今日対処を行った場所、確かレラニセイ国の王都近くだったかな、そこまで飛んで行ってみると、門が開かれ、私が倒した魔物達の処理を行っていた。まあ、概ね500体くらいはいるから大変だろうけれど、放置するわけにもいかないと思うから、頑張ってね。




次の日、風龍様の所に向かい、もう一方の群れの対処に行くことになった。昨日と同様に狼神獣に案内され、鳥神獣に乗って移動し、もう一方の群れが迫っている場所、ターラシレ国の王都近くの荒野に向かった。


到着すると、やはりこちらも街壁に囲まれた街があり、門は堅く閉じられていた。街壁の上に見張りはいるようなので、昨日の様に伝声魔法でこちらの要件を話し、今後は自分達で魔物暴走に対処するよう、動機付けを行おう。


私が重力魔法で浮かび上がると、衛兵らしき人達は驚いたようで、一人がどこかに報告に行き、他の人はこちらに弓を構えていたが、一応矢が届く範囲にはいないので、構わず伝声しよう。


『私は、フィリストリア・アルカドール。ここより遠く離れたロイドステア国より参った。此度は魔物暴走に対処するために風龍様に呼ばれた。私が、これからこの地を襲う魔物を倒すので、壁の中から見ているが良い』


言い終わって地面に降りようとしたところ、衛兵が呼んで来た誰かが、私が浮いていることに驚いたのか暫く見ていたが、伝声魔法を使って話し掛けて来た。


『貴殿は、風龍様の使いとのことだが……その浮遊する業は何だ、魔法なのか?』


『これは物を浮かせたり、重くする魔法。それよりも、じきに魔物の群れがこちらに来る。私が対処した後、魔物達の死体の処分を行うことだ』


話していると、地響きが聞こえだしたので、地面に降りて魔物が来る方向を見る。街壁の上から他にも衛兵が出て来て、弓を構え始めたが、私は構わず待っていると、魔物達が姿を見せたので、和合を始めた。


【我が魂の同胞たる風精霊よ。我と共に在れ】


和合を完了し、周囲の風属性のエネルギーを体に集め始めた。魔物達が接近する中、エネルギーが体に満ちた。今回も拡散型で、広範囲に魔物達を狙う。脳波を感じて……よし、今だ!



「はっ!!」



気合とともに右掌から風属性のエネルギーと魔力が混在した力が撃ち出され、緑色の光線は拡散しながら、魔物達を飲み込み、吹き飛ばした!



光が収まった後、荒野には先程まで魔物の群れであった、横たわる死体の集団が残るだけだった。

後続がいないことを確認して、私は和合を解き、再び伝声魔法を使って話し掛けた。


『此度の対処は最後通牒だ。今後は心を入れ替え、団結して魔物暴走に対処せよ。対処できぬのであれば、風龍様は人を見限り、街も集落も気に掛けることなく御力を揮われるだろう。我が力など比にならぬ程の御力だ、その際はこの街など、跡形も残らぬだろう』


そう言った後、私は迎えに来た狼神獣と鳥神獣に連れられ、風龍様の所に戻った。


「風龍様、魔物の群れは無事対処出来ましたわ」


『愛し子よ、感謝する。此度の件、大陸内の他の国にも眷属を寄越して説明させることとする。恐らく魔物暴走については、暫くは起こらんだろうから、その間に国同士の争いをやめさせ、団結して大きな国を作り、国として対処できるごとく、態勢を整えさせる。我が過剰に魔物暴走に関わらねば対処出来ん現状は、人の世に好ましくない』


「それが望ましいことなのでしょうが……急な対応が可能なのでしょうか?」


『なに、代表者を集めて話をさせる。そこで話が出来んようなら、今代のこの大陸の人共は見限る』


風龍様の意志は変わらないようだ。これ以上私がこの大陸の問題に口を出すのも問題があるからね……そうだ!


「では、カラートアミ教にも口添えを頂いては如何でしょうか? 現状では、戦乱のためにこの大陸には大きな施設が建設出来ず、転移門も設置出来ないと伺っておりますわ。大陸内がまとまることは、神の教えにも沿う事ですから、宜しいのではないでしょうか」


『成程。では、今から神子と話をしてみよう』


何と、風龍様は、教主猊下との間で念話が使えるらしい。暫く時間が経過した後


『愛し子よ、神子の助力が得られることとなった。代表者達の会合に神域長が参加するそうだ』


確か神域長という方は、カラートアミ教では教主猊下に次ぐナンバー2の人だ。私も神域において魔力循環不全症治療を行った際に、お会いしたことがあるが……何と言うか「ザ・神職者」といった雰囲気の方だったな……。これから旅の準備をして、モリコルチ大陸に向かうそうだ。


「それでは私については、こちらでの仕事は終了ということですわね」


『うむ。本来ならば、お主の助力に対し、何か礼をせねばならんところだが……何か所望する物はあるか』


「元々私は今着ている服を頂いております。この服には非常に助けられておりますから私自身は特にございませんが……もし宜しければ、ピリコノーメ嬢のような、精霊視を持つ者を育てて頂ければ、有難く存じますわ。この件につきましては、この大陸にカラートアミ教の転移門が設置されましたならば、我が国としても何らかの助力が可能かもしれません」


『承知した。代表者達の会合の際、併せて話をしよう』


それから私は、風龍様に国へ帰ると伝え、前を辞した。




その後、ピリコノーメさんと少し話をした。


「愛し子様が、魔物暴走を鎮めて下さったと伺いました。見ず知らずの私達の土地のために、本当に有難うございました」


「ピリコノーメさん、私は自分が出来ることをしたまでですわ。そして、今後はこの大陸の人々自身が、魔物暴走に立ち向かわねばなりません。精霊と意思疎通の出来る貴女も、その一員となるのですよ」


現在ロイドステア国において、精霊術士達がいかに活躍しているかをピリコノーメさんに簡単に話して聞かせた。


「そのようなことが行われているのですね……私も、人々の役に立ちたいです」


「努力すればきっと叶いますわ。もしも精霊術に関することでお困りになりましたら、私の所に連絡をして下さいな。風精霊ならば、私の所にも貴女の言葉を伝えてくれるでしょう」


「有難うございます。これから頑張ってみます」


私はピリコノーメさんが見送る中、転移門で水龍様の棲み処に転移した。その後、水龍様の眷属の鳥神獣に乗って王都まで帰還し、陛下達に任務完了の報告をした。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ