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第328話 ドミナス分領で鉱脈を探した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

ドミナス分領に向かうのは28日となったが、当面は特に何もないので、鍛錬をしたり、空動車の車体を作っていた。お母様が自分専用の空動車を欲しがっていたからね……。


とりあえずはワゴン型と4人乗りの空動車の車体を1つずつ、カーボンナノチューブ樹脂で造ったので、後は魔技士達にお任せしよう。




ドミナス分領に行く日になった。空動車を使えば2時間もあれば到着するので、気が楽だ。ドミナス担当の行政官と、テルフィ達護衛数人を連れてドミナス分領に向かった。


道中、行政官から今回の経緯を確認したが、現在の鉱脈からの採掘量が減少しているため、別の鉱脈を探して、現在の坑道は閉鎖することを検討しているそうだ。無限に採掘出来るわけではないから、当然だよね……。


それと、現在採掘している鉱脈については、30年前にお祖母様が地精霊から話を聞いて、その情報から探し当てたものらしい。確かに、地の精霊術士ならそれが可能だ。今後も何人かにはアルカドール領に戻って来て貰えると有難いよね……。




ドミナス分領の中央街に到着し、太守であるオペラミナー子爵やルカの出迎えを受け、分領行政舎において、現状の説明を受けた。説明をしてくれているのは、ルカの旦那さんらしい。少々ワイルドそうな外見だが、話している感じでは知的な印象を受ける。能力は高そうだ。


「確かに現在の鉱脈からの採掘量は目に見えて減少しているようですね。周辺の調査の状況はどのようになっているのでしょうか」


「30年前の大々的な調査以降は本格的に行ってはおりませんが、簡易的な調査は継続しております。その結果を踏まえて申しますと、西方にはまだ採算の採れる鉱脈が発見出来るのではないかと思われます」


「では、此度の私の仕事は、現鉱脈の状況確認及び、新たな鉱脈の調査ですわね」


「その通りでございます。お嬢様のお力をお貸し頂ければ、幸甚にございます」


「承りましたわ」


それから、担当者達を連れて、空動車で現在の採掘場に移動した。山道なので、馬車だと半日かかる距離だが、空動車なら30分もあれば到着する。採掘可能な鉱脈の位置によっては、今後の鉄鉱石の運搬などが更に大変になりそうだが、こういった所に重空動車を導入すれば、作業が楽になるだろうね……。


「ここが現在使用している採掘場でございます」


「では、確認してみましょう。地精霊さん……」


私は、近くで遊んでいた地精霊に呼び掛けた。地精霊は私に気付き、やって来た。


『何だい?』


「この採掘場付近の鉄は、どの程度残っているのか、教えて下さいな」


『分かった。調べて来るよ』


地精霊は採掘場の奥にふわふわ飛んでいった。その間、私達はこの周辺の地図を広げて、地形を確認していた。暫くすると、地精霊が戻って来た。


『えーと、鉄はもう殆ど残ってないよ。人間が使いそうな物も、特に無かったよ』


「教えて下さり有難うございます」


魔力を渡すと、地精霊はころころ転がりながら喜んでいたが、そのままどこかへ行ってしまった。


「地精霊に確認しましたが、やはり鉄は殆ど残っていないそうですわ。他の有用な鉱物なども無さそうですわ」


「……そうですか……やはり、この採掘場は閉鎖ですね。では、先程お話しした、次の候補地に向かいましょう」




それから、少し西に離れた場所に移動した。道が整備されていないので、空動車で来て本当に良かったよ。とりあえず木が生えていない場所に降りて、テルフィ達に周囲を警戒して貰いつつ、地図を広げて現在地を確認しつつ、地精霊を何体か呼んで、周囲に鉄の鉱脈が無いか、確認してみた。


『鉄? ……この近くだと、多分あそこの山を掘ればいいんじゃないかな』


担当者達にその情報を伝え、地図を見比べて、場所を確認した。


その場所に行こうとした所、近くを火精霊が通りかかった。そういえば、鉄は地と火の属性を持つ筈だ。何となく、火精霊にも確認してみようと考え、聞いてみた。


「火精霊さん、少し宜しいかしら?」


『何~?』


「この付近に、鉄が掘り出せそうな所はあるかしら?」


『……確か~、あそこの山を掘れば出て来る筈だよ~』


まあ、同じ結果が出て来る筈だよね……。


「有難うございます。助かりましたわ」


『どういたしまして~。そういえば~、向こうの方には~、石炭が沢山出る所もあるよ~』


ん? 石炭も出る? なるほど、石炭は火の属性だから、火精霊なら場所が分かるよね。


「まあ。ここからどの程度離れた所にあるのでしょうか?」


『ええ~と、あの山を越えた先の山かな~』


担当者達に地図を持って来て貰い、火精霊に場所を教えて貰った。


「とても有益な情報を、有難うございました」


お礼に、火精霊に魔力を渡すと、喜んでどこかへ飛んで行った。


その後、担当者達に火精霊とのやりとりを伝えたところ


「何と! この近くに炭鉱があるというのですか? 本当であれば素晴らしい事です!」


ドミナス分領は、産出した鉄を使った鍛冶も行っているそうだが、その際使用する石炭は、これまで他領から買い付けていたので、ここで石炭が採れるなら、その分経費が浮くわけだ。なので、新しい鉱脈の場所を確認した後、早速炭鉱がある付近に行ってみた。




教えられた場所に近付くと、心なしか周辺より火精霊が多い気がする。少し開けた場所に降りて、近くの火精霊に、石炭について聞いてみた。


『石炭? この辺りから地下に掘っていけば、そのうち沢山見つかるよ!』


その話を、同様に担当者達に話したところ


「おお、この付近の地下に本当に炭鉱があるのですね! 戻り次第、試掘の体制を整えます」


早速行政舎に戻り、オペラミナー子爵達に、新しい鉄鉱脈及び炭鉱の存在を伝えた。


「何と素晴らしい日だ! 新たな鉄鉱脈だけでなく、炭鉱まで発見出来るとは!」


オペラミナー子爵は、早速行政官達と一緒に、準備に取り掛かった。


現在の採掘場の閉鎖及び新しい採掘場の開設などについては、早速工事の計画を立てていたが、炭鉱については、現在ドミナス分領には専門家がいないため、他領から招聘してから採掘場の開設を行うようだ。


私は、乗り掛かった舟ということで、道路整備に関して支援を申し出た。まずは、新しい採掘場までの道を、明日整備することになった。



その日は、太守邸に宿泊し、ルカ達の現況を聞いたりした。ルカは光魔法を分領で普及しており、おかげで坑道内での作業効率が上がり、怪我をする者も目に見えて減少した、と旦那さんが誉めていて、それを聞いたルカが照れていたりしたので、見ていて面白かった。




翌日、空動車で道路を延伸する場所まで移動した。同化して歩きながら工事しても良いが、新しい採掘場はさほど離れていないし、木が沢山生えていて移動に手間がかかるので、和合して一気に道を作ってしまおう。この距離なら移動の必要も無く、掌握出来るから、すぐに終わる。



【我が魂の同胞たる地精霊よ。我と共に在れ】



地精霊と和合した私は、早速新しい採掘場までの経路周辺の地形を掌握し、道の延伸を開始した。生えている木々は、空き地に移動させて植え替え、表面の草を退かせて道を作り、その表面を固めていき、10分程で道が完成した。同行していた行政官は驚いていたが、いつものことだ。


ついでなので、炭鉱までの道についても同様に整備することになった。分岐点まで移動して、先程と同様に道を作っていった。距離が3倍ほど長かったので、30分程かかったが無事終了し、行政舎まで戻った。


その日も太守邸に宿泊し、次の日帰ることになった。




「お嬢様には、多大なる支援を頂き、分領一同、誠に感謝しております」


「フィリス様、1年後の精霊杯の際にもご招待致しますので、是非お越し下さい」


オペラミナー子爵やルカの見送りを受けてセイクル市まで帰り、お父様達に結果を報告したところ、新たな炭鉱発見を喜んでくれた。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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