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第029話 国王陛下への謁見

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

王都のアルカドール侯爵邸には初めて来た。


転移門から出たところで、現在侯爵邸を管理している使用人達が集合していたので、簡単な紹介やら、数日間滞在するための準備、一緒に転移して来た使用人達は、こちらの状況を把握していた。護衛達は、馬車の準備を始めた。今回は、御者は護衛が兼務するらしいが、王都の道も良く知っていそうなオクターさんもいるので大丈夫なのだろう。


その日は、まず王家の方々や宰相など、主要な役職の方々の名前や容姿、性格などの把握を私がやっている間に、父様と母様がご下問される可能性のある内容をリストアップし、回答を3人で検討した。とは言っても、私は基本


「フィリスはこのように答えなさい」


と父様や母様に教えられるだけだったが。

色々準備している間に、王城から明日引見、その後に茶会を開くので登城せよ、との連絡があった。




次の日、私達は王城に向かった。王城は貴族街の概ね隣にあるので、さほど時間はかからなかったが、流石に城の中は広く、謁見場までかなり歩くことになった。途中かなりの人に見られたが、まあ、突然辺境にいる侯爵家の人間がやってきたら何事かと思うよね……一応、最近来てなかったから、王都の状況把握に来たという名目だけれども、それで納得しない人が多いのも事実なんだよね……。


とりあえず、この謁見は、主要な貴族の耳に入って、何らかの詮索を受ける可能性があるので、十分注意するよう、父様からも母様からも厳しく教えられている。どこに誰の目があるか判らないので、変なことはできない。特に、精霊がいても知らないふりをするようきつく言われている。あと、年頃の男性に近寄ると、あることないこと言いふらされるから近寄るな、とも注意されたが……貴族社会って面倒臭い。


謁見場では、基本的には武器はもとより、魔法の行使や魔道具の持ち込みも禁止されている。警備兵や謁見に必要な場合のみ許可される。当然謁見前には持ち込まない様チェックを受けるし、謁見場で魔法を行使しようとした場合、活性化をした時点で、下手をすると叛逆者扱いだと父様から説明を受けた。気を付けよう。


チェックを受けた後、謁見場横の待機室で暫く待っていると、私達が呼ばれた。先日、精霊女王様と会ったことが良かったのか、全然緊張していない。いつもの通りでいこう。父様、母様、私の順に謁見場に入場する。係の人が


「アルカドール侯爵、侯爵夫人、及び侯爵令嬢の入場」


と言っていた。父様が立ち止まった所の左に母様、その左に私が立ち止まり、跪く。前にいるのは、当然、国王陛下だ。


「アルカドール侯爵、侯爵夫人、久しいな。面を上げよ」


「陛下、この度は拝謁賜り、恐悦至極に存じます。我ら一同、陛下と王家の御方々に変わらぬ忠誠を」


「陛下、ご機嫌麗しゅう。陛下がご健勝なれば、お預かりした地は安寧でございます」


父様と母様は挨拶を始めたが、私は紹介されていないので、まだ面を上げていない。暫くして


「さて、その者は」


「我が娘、フィリストリアにございます。この度、良き機会でございましたので、連れて参りました」


「面を上げよ」


やっと紹介された。とりあえず自己紹介をしなければ。父様が私を紹介したから、名前だけ言う、と。


「陛下、フィリストリアにございます。この度は私の様な若輩者にも拝謁賜り、恐悦至極に存じます」


「ほう……前アルカドール侯爵夫人によく似ておる。まさにアルフラミスの蕾よの」


「お褒めに与り、恐悦至極に存じます」


この場の私の発言はこれくらいだ。後は路傍の石になろう。


その後、父様と母様は、アルカドール領の報告をしていたが、終了し、謁見場を退出できた。




さて、面倒くさかった謁見はあれでも前座だ。今回の真の目的を果たすため、侍女に案内され、茶会の場へ父様と母様と共に向かった。


茶会の場に到着すると、先ほど謁見した国王陛下と、王妃殿下、そして……誰あれ?少しとまどいながら、父様、母様、そして私が挨拶をして、席に座る様に言われ、着席した。


皆の席にお茶が注がれ、侍女達が少し離れた。報告が始まった。


「さて、侯爵。知らせにあった内容は誠か」


「はい。誠にございます。我が娘、フィリストリアは、先日の7才の誕生日に、精霊女王様から加護を賜りました」


「そうか。実はそれを確かめるため、こちらの方にも同席頂いたのだ。こちらは、ウォールレフテ国大使である、パットテルルロース殿だ」


「ウィントスルルームの子、パットテルルロースだ」


ウォールレフテ国……妖精族の国だ!確かに、話に聞いていた妖精族の特徴だ。美しい容姿、長い耳で、精霊が傍にいる。うちの国とは違う語感の名前だな。姓の代わりに親の名前を名乗るのか……とか考えていると、パットテルルロースさんが、私に質問した。


「フィリストリア殿、精霊女王様から頂いた首飾りをお持ちか?」


「はい、こちらに」


いつでも出せるように準備していたが、何故この方が検分するのかしら。妖精族だから?


「なるほど。兄から以前見せて頂いた首飾りとほぼ同じだ。だが、石が黄金色なのはどういうことか」


「それは……精霊女王様からは、加護を賜る者の属性を表す、と伺っております。ご覧のとおり、私は全属性ですので」


「確かに、兄は火属性で首飾りの石は赤であった。……これは本物で間違いありません」


あれ?この方のお兄さん、女王様から加護を受けているの?と疑問に思っていると


「ウォールレフテ国王は、代々、精霊女王様から加護を賜っているのだよ」


と、陛下から有難いお言葉が頂けた。……ということは、パットテルルロース様は王弟殿下なわけか。で、本物を知っているので、検分役になっていた、というわけだ。


その後は女王様から加護を受けた経緯などについて簡潔に説明した。この辺りは想定の通りだ。そして


「陛下。今、この件を公表されますと、まだ幼いフィリストリアは、政治的に非常に危うい立場になるでしょう。現状としては、洗礼に合わせて公表し、その後魔法省に勤務することにさせて頂きたいのです」


父様が、私の立場と扱いについて、陛下に進言した。陛下は少し考えて、了承した。


「確かに。フィリストリア嬢、それで良いな」


「陛下、御厚情賜り、恐悦至極に存じます」


「ただし、フィリストリア嬢の力が必要になった際は、公表の有無に関わらず、働いてもらうが、良いか」


「勿論でございます、陛下。このフィリストリア、ロイドステア国の平和のために、力を尽くします」


よし、とりあえず現状維持の言質を得た。後は世間話だろうか……まだ気を抜いてはいけない。


「それはそうと侯爵。フィリストリア嬢の嫁ぎ先はどうする。王家としても関与せねばならん」


うわーっ、想定された中で一番嫌なネタキター!


「はっ、それもお伺いしたく……」


と、父様は平然と言っているが、実はQ&Aを考えている時に父様が一番荒れたのがこのネタだ。


「フィリストリア嬢は、何か希望があるか」


「私は、陛下と父の命のままに」


と、Q&Aの通りに言っているが、正直変な奴に嫁がされたくない。後は父様次第だが……。


「そうか。嫁ぎ先は公表以降に王家とアルカドール家で選定する。実は精霊導師には、出身国の者以外も求婚を可能にするという協定が、主要国の間で結ばれていてな。公表前に決めるとまずいのだ」


そんなの聞いてないーっ!


私は瞬間フリーズしたが、それに気づいた母様がこっそり私の足をこつんと蹴ってくれたおかげで再起動した。母様有難う。


「でも、精霊導師でなくとも、貴女の場合、婚姻の申し出は山の様に来るわよ。だってそんなに可愛いのだから。今日の謁見では、皆の注目を集めていましたもの。陛下も罪な事を仰られるわ」


王妃殿下が、優雅な外見を裏切る女豹の様な目をして仰った。……ん?罪な事って何?


「うちのフィリストリアは、どこに出しても恥ずかしくないよう育てておりますもの」


何故か微妙に対抗意識を持ったかのような母様何か怖い。


「陛下、娘の婚姻の件につきましては拝命いたしました」


危険な雰囲気を察し、父様が場を収束させるべく動き、危機は去った。もう地雷はないよ……ね。


「フィリストリア殿、実は兄が貴女にお会いしたいと申しているのです」


パットテルルロース様の兄……ウォールレフテ国王陛下ですね。うん、もう、なるようになれ。


「陛下と父にご了承を頂ければ、お受けいたしますが、移動の手筈はどのようになさるのでしょう」


「移動については我が国とこの王城の間に転移門がありますので、そちらを使用します。また、移動の際には、我々が責任をもって貴女を警護いたします。精霊女王様の加護を賜った方に、決して傷を負わせることはないと、大樹に誓いましょう」


大樹とは恐らく誓約の樹のことだろう。パットテルルロース様が本気であることを見て取った陛下や父様は了承し、急な話だが、私は明日と明後日、ウォールレフテ国王に謁見することとなった。とはいえ、何か必要なものがあると困る。ここは子供の立場を利用して、聞いてみよう。


「私は若輩者ゆえ、ウォールレフテ国の作法を存じません。備えておくことはございますか?」


「貴女は貴女のままで来られて下さい。それが妖精族の考え方です」


つまり準備はいらない、土産もいらない、と。まあ、一応帰って父様にも確認しておこう。なお、今回私がウォールレフテ国に行くのは秘密扱いで、加護の件も妖精族から外には伝えないことを、パットテルルロース様は約束してくれた。




こうして、女王様とは違う意味でメンタルを削られた茶会も終了し、帰宅することができた。帰宅後、父様、母様と談話室で今日の謁見及び茶会について話し、現状では良い結果であると判断された。そして今後も色々考えることはあるが、頑張って行こうという話になった。


父様と母様は、明日から数日間、名目上の話もあり、王都の知人に会うことになるそうだ。あと、明日のウォールレフテに行く件についても、父様からアドバイスを貰った。基本的に妖精族は、自然体が好きな種族らしい。だから明日は部屋着のような気楽な服装の方が、好まれるそうだ。母様とも相談し、服を選んだりして、その日は終わった。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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