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第002話 何はともあれ情報収集

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

私は、前世で地球の日本に住んでいたのだけれど、命を落とし、この世界に転生した。生まれて3か月程経ったある日、前世の記憶が覚醒したため、意思を持つことができたのだ。


正直、体はともかく中身はいい大人が、授乳やらシモの世話を受けるのは恥ずかしいが、再び生を受ける有難さに比べたら些細なことなので、割り切ることにした。諦めが肝心だ。




とりあえず、今後の身の振り方を考えるために、この世界の情報を仕入れなければならない。


少なくとも私が生まれた家は、メイドがいて、内装が良さそうな雰囲気を見る限り、裕福そうなので、暫くの間は路頭に迷う心配はなさそうだし、情報収集・分析に集中しよう。まだこの世界の言葉は判らないけれど、この前来た精霊とやらに話を聞けば、それなりには把握できるだろう。


ということで、色々な精霊がやって来る度に、話を聞いてみた。


この世界の名前を聞いたが、固有名は判らなかったので、便宜上、こちらの言葉で「大地」を意味する「フィアース」を世界の名前にした。神様の固有名も、一柱しかいないからか不明だったので、同様に「アミユレート」という言葉が神を意味するそうなので、神の名前(仮)とした。


フィアースはアミユレートが創造し、管理しているそうだ。神がいるのかいないのか判らなかった地球とは違い、こちらは本当にいるわけだから、存在感が段違いだ。


私の住んでいる所は、どうやらユートリア大陸という、フィアース最大の大陸にある、ロイドステアという国の、アルカドール領らしい。


で、私はその領主の娘だそうだ。まさか私が貴族様だとは……。


貴族がいるということは君主制だろう。まあ、民主主義とか共和制とか質問したら「何それ」と返されたので、この世界は基本的に君主制なのだろうという結論に至ったわけだが。


貴族として生きるのは面倒くさそうな気がするが、立場によって生じる義務はある程度受け入れないといけないんだろうな……。そこも割り切って考えないと、こちらの世界の家族に迷惑がかかるだろうし。




こちらの世界の私の名前は「フィリス何某・アルカドール」らしい。何人かが私に話しかける様子を聞いていて類推したそうだ。やはり言葉は覚えないと駄目だな。ちなみに、私の所に来る人のうち、覚えたのは今の所5人。


まずは世話係らしいメイド。

今は大抵部屋の隅で待機していて、私が動いたりするとやって来て、あやしたりおむつを替えてくれたり、お風呂にも入れてくれる。感謝だ。


2人目は、定期的に食事、所謂授乳をしてくれる女性。

恐らく現世の私の母親だろう。乳母とかの可能性もあるけど、何となく母親だと思う。お母さんの様な、優しい目で語りかけてくれる。瞳は茶色なので地属性。フィアースではどうなのかは知らないが、地球基準なら、大層な美人さんだ。


3人目は、よく母親?について来て、私に何か話しかけてくる男の子。

周りの反応を見る限り、私の兄といったところか。3才くらいの可愛い盛りで、見ていて微笑ましい。早く色々語りたいものだ。瞳が青色というより水色だけれど、青系統ということで水属性かな。


4人目は、数日に1回、もしかしたら私の寝ている時にも来ているかもしれないが、そんな感じで来る男性。

恐らくは、私の父親だろう。母親らしき人と同様、優しい目をして語りかけてくる。前世のいかついお父さんと違い、こちらはハンサムだ。緑色の瞳も何だかセクシーだし、両親ともに美形だとすると、現世の私は顔面偏差値が高いのか?前世は普通顔だったが、期待していいのか?


5人目は、たまに来る中年の男性だ。

こちらが父親という可能性もあるが、両親らしき人たちは20才くらいに見えるので、祖父ではないかと考えている。50才くらいに見えるので、その方が妥当だろう。こちらは、優しい……のだろうが、かなり崩れて残念な表情で私を見る。結構な美中年なのになぁ。孫は子より可愛いという奴だろうか。祖父らしき人は、赤い瞳なので、火属性だろう。


メイドさんを除いた4人と私が、アルカドール家の家族だろうか。もしかするとこちらに来れない人がいるかもしれないが……それは今後判るはずだ。




魔法などの話も精霊から聞いた。この世界における魔法は、人が意志を精霊に伝え、その意志を精霊が具現化する、という工程で発生するらしい。この時、魔力の大きさで精霊のやる気が変わって来るので、魔力が大きい人ほど強力な魔法を使えるそうだ。魔力の大きさは属性魔素の多さでもあり、魔力量とも言われ、また、魔力は人体の血液に多く含まれ、体内を循環しているらしい。


魔力を活性化させるとともに魔法のイメージを強く持つことで、大気中の魔素を通じて魔法のイメージが精霊に伝わり、魔法という現象が発生する、ということだった。


魔力を活性化させたり、体内での密度を変化させたり、体外に流出する量を制御することを「魔力操作」というらしい。魔力の大きさだけでなく、魔力操作にも習熟しないと、なかなか魔法はうまく使えないそうだ。その他、魔力量が多いと、意図しない魔法、所謂暴発が発生することがあり、特に乳児の頃は、魔力の流れ自体が安定していないので危険らしい。


貴族は基本的に魔力が大きい人達らしいので、貴族の子供については、精霊の入れない部屋で暫く過ごすこともあるという話だった。


私は精霊と話しているので、魔力は大きくないのかと思ったが、どうやら私はおかしいらしい。魔力が大きいのに、魔力操作を普通にこなしているから、魔法の暴発が起こらないと判断されて、通常の部屋に戻されたのだろう、と精霊が言っていた。


魔力量は大人になるまで増えていくため、特に貴族の子供は頻繁に魔力量の測定を行うそうだ。そういえば何回か、測定機械のようなものを付けられた気がする。脈でも測っているのかと思ってたよ。


で、その魔力量なのだけれど、こちらも私は異質らしい。というのは、私が全属性だからだそうだ。本来、魂が魔素を感化して属性魔素に変える量は限界があり、その量が魔力量ということになっている。属性魔素ではない魔素は人体を出たり入ったり自由にできる。魔素は無属性という分類だそうだ。


ところが、全属性者の場合、その無属性である魔素も自分の属性魔素であると認識されるらしい。全属性には、火・風・水・地だけでなく、無も入っていて、このため、魔力が際限なく増えていくという。


人は、魔力操作の程度にもよるが、魔力の許容量があり、限界を超えると飽和状態となり、体調を崩し、酷い時には死亡する。赤子は魔力の許容量がとても低いそうだ。故に、私以外の全属性者は全員、魔力の飽和によって死に至った、というわけだ。酷い!


しかし、私は何故か魔力操作が出来たため生き延びた、ということだ。喜んで良いやら悲しんで良いやら。そういえば、体が妙に漲っている感じがして、常に呼吸法で落ち着かせている状態だ。やめると体が痛み出すけど、もしかしてこのことだろうか。


ということは、合気道の経験があったことで私は命拾いしたことになる。


合気道続けてて良かったよ……有難うお父さん。




その他、こちらの世界の話を色々聞いた内容を、地球と比較してまとめてみた。まず、1日は地球で言うところの20時間くらいらしい。こちらの世界の時間そのものを地球と比較するのは困難なので、双方の世界に共通して存在する「日」の概念を、私の体感で比較した……暇にあかせて、時報的な鐘の間の時間に、秒数をカウントしただけなので、あまり正確とは言えないけれども。


また、1か月は36日。月単位なら地球とほぼ同じということか。1年は12か月で432日。北半球の春分の日を1月1日として、数えるそうだ。こちらの世界は神がきっちり管理していて、閏年などは無いようだ。


季節もあるようだから、地軸が公転面に対してある程度傾いている筈だ。方位についても、東西南北があり、太陽の位置を指す方位を地球と同様に呼んでいたので、自転の方向も地球と同じと考えて良いだろう。


太陽は地球と同じように見えるそうだけど、月は違うらしい。満ち欠けが無く満月のまま。ただし、日毎に色が変わるそうだ。その1周期が9日間なので、1週間は9日。で、4週間で1か月、という話らしい。満ち欠けがないなら、こちらの月は、正確には衛星ではなく、フィアースの少し外側を回る惑星なのかもしれない。その辺りは想像でしかないが。


それと、話を聞く限りは、魔法や魔力があること以外、概ね地球と物理法則は同じらしい。詳細な検証は、私が成長してからかな。


暇だし、体を動かす機会を増やした。私付?のメイドは私が激しく動くと寄って来るので、リハビリのような感じで、体の筋や関節を考えて丁寧に動かした。4か月頃にはおすわり、6か月頃には立てるようになった。地球の常識からすると早目のような気がするが、こちらでは普通なのかもしれない。




少し移動できるようになったので、鏡で自分の姿を見たところ、大層可愛らしいお子様がいた。


陽の光に煌めく黄金色の瞳、ふわふわキラキラした紫がかった銀色の髪、血色が良くモチモチな肌。


平均的な日本人だった私としては酷い違和感を覚えるのだが、今後はこれでやっていくのだから、慣れるしかない。


また、精霊にこちらの世界の言語を教わった。風精霊であれば、念話だけでなく音を出す事も可能なので、耳元にこっそり伝えて貰っているのだ。精霊だけでなく、私に話しかけて来る人達の言葉を聞いて覚えた。最初はアーウーとしか言えなかったが、次第に単語が言えるようになった。言葉自体も1才になった頃には大分覚えられた。もう少し滑舌が良くなれば、意味のある会話が出来るだろう。


日々修行だ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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