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第263話 視察は変化をもたらしていくようだ

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

休日ということで、いつもの様に鍛錬を行っていたのだが……最近、身長の伸びはほぼ止まって、重心もかなり安定して来たのだが、今度は横に……と言っても太ったわけではないのだが……成長しているのだ。なので、激しく動くと、痛みもあってどうしても揺れが気になるのよね……。そういえば、女性騎士達にもそういう悩みはあるだろうから、テルフィに聞いてみようか。


「テルフィ、何か揺れない工夫とか無いかしら? 最近、邪魔になって来たのよ」


「お嬢様……女性を敵にしたくなければ、邪魔だと言ってはいけません……私は必要ありませんが、学校では包帯をきつく巻いていた者などや、堅い当て物をしていた者もおりましたね」


その辺りの対策は前世とあまり変わらない、ということか。なお、大きい女性の方が男性に人気があるのも同様らしいのだが、やはり成熟していると思われるからだろうか? それと、他の女性達の話を聞く限り、男性の興味を引けるという意味で、女性間のマウント取りの材料にもなっているらしい。正直私にとっては邪魔以外の何物でもないので、そういった場には関わりたくないものだ……。


「やはりそういった対策くらいしかありませんか……揺れを抑える魔道具などがあれば良かったのですが」


「お嬢様、残念ながらそのような魔道具は開発されておりません」


「まあ、需要が少ないですし、そもそも魔道具自体が貴重ですからね」


「そうですね……お嬢様なら、動いている間だけでも重力魔法などで何とかなりませんかね?」


「重力魔法で体の一部分というのは……難しいわね……そうだわ! 身体強化してみましょう」


重力魔法で揺れを抑制するのは、少し試したが無理だったので、体組織をイメージしながら身体強化をやってみると、これが意外と上手く行き、動いても揺れが少なくなった感がある。痛みもわずかだ。これなら習熟すれば今後更に大きくなっても大丈夫かもしれない。どんどん練習していこう。




今週は御前会議があるが、魔法省として報告する内容について事前の省会議にて情報共有された。特に、精霊術士集中鍛錬の結果、魔法強化可能な精霊術士が増加した事と、魔法兵団との協同訓練の成果、それと、魔法研究所から光魔法に成功した者が出たそうで、今回正式に陛下に報告することになったらしい。


なお、その他の例年実施されている事業は粛々と進められているが、各領巡回助言については、一昨年より順調に進んでいるそうで、組によっては4月には王都に戻って来るところもあるそうだ。パティは頑張ってるかなあ。




御前会議の日となった。会場にて、事前配布された資料に目を通していると、全員が集まったのち、陛下が臨場され、会議が始まった。魔法省関連の報告では、光魔法に関して、今後の活用の方向性について陛下のご下問があったので、魔法課長が回答していた。特に、現在通常の火魔法を使っている照明の魔道具は、光魔法の魔道具に替わる可能性が高いことから、相当な需要が見込まれると回答していた。


その他、他省からも精霊課や私に関係することが報告されていた。国防省からは、二人乗り空動車の実用化と軍への配備、海底火山の状況、農務省からは多くの作物の品種改良や、さつまいもの普及を進めて行くこと、また、カイコの研究についても進んでいることが報告されていた。


この時陛下は、アブドーム国からの献上品であった絹糸について話をされ、我が国でも絹糸の研究を進めるよう、改めて命じられた。絹糸を相当お気に召したようだ。なお、大量にカイコを飼育するのは、研究所だけでは難しいので、アブドーム国と気候が似ているヘキサディス領と協力することにより、それなりに進んだとのことだ。


王太子夫妻の各領視察については、西部主体のコースが終了したため、王太子殿下自らが視察の成果について概要を話された。基本的に各領政に問題は無く、国王直轄地についても執政官は誠実に務めを果たしていたそうだ。


一部の領は自然災害などが懸念されるものの、各領巡回助言などの施策により大災害になる恐れは少ないだろう、と仰られていた。そして、今後の課題として、道路や輸送手段を始めとした、人や物の流通を整備することを検討されているようだ。


つまり、幾つかの領で見られている産業の活性化を、国全体へと波及させたい、ということかな。私にも何らかの支援が入るかもしれないが、それはその時考えよう。あと、次の東部主体のコースは、予定通り4月3週から始まるそうだ。こちらも準備しないとね……。




4月に入った。とりあえずは12才になりました。領に帰ることも可能だったけれど、特別な誕生日でもないのに、自分から祝われに帰るのも何か違うと思うので、王都で過ごしましたよ。やはり今年も色々な所から贈り物が来ていたので、業者を雇って整理させている。


しかし、装飾品の殆どが日の目を見ないのは、勿体ない気もするが……。なお、こういった使わない贈り物は、何年も置いた後、様子を見てこっそり商会に引き取って貰うそうだ。倉庫を圧迫しかねないから、早めに処分したい所だ。




執務室で通常の業務を行っていると、ニストラム秘書官が入って来た。王太子殿下が私を呼んでいるとのことだったので、書類を片付けて王城に向かい、王太子殿下の執務室に案内された。


「王太子殿下、フィリストリア・アルカドール、参りました。何用でしょうか?」


「わざわざ来てくれて有難う。次の視察の準備でね、アルカドール領の現状について、確認したいことが幾つかあったので、君に来て貰った」


「何なりとお尋ね下さいませ。私が知る範囲であれば、お答えできますわ」


それから、王太子殿下からはアルカドール領の資料を元に、私に詳細を確認された。まあ、知っていることは答えたけど、現地で確認して欲しい内容も結構あった。お父様には手紙で連絡しておこう。

王太子殿下と色々話していると、王太子妃殿下が入って来た。


「フィリストリアがこちらに来ていると聞いて参りましたわ。フィリストリアに確認したいことがありますの。宜しいかしら?」


「ああ、こちらの方の確認は終わった。フィリストリア嬢、レイナが君に確認したいことがあるそうだが、付き合って貰えるかな」


「勿論ですわ。一体どのようなことでしょうか?」


「視察の中で、それぞれの領で茶会や宴が開かれたのですが、その際、幾つかの領では見慣れない甘味が出ておりましたの。伺ったところ、全てアルカドール領の甘味研究所から製法を購入して作ったというではありませんか! あれは一体どういうことかしら?」


「当領では砂糖を生産しておりますが、砂糖の使い道が不明であったことから、独自に研究所を立ち上げたのですわ。その際、当初は私が精霊から他国の甘味の情報を伝えていたため、見慣れない甘味が出来たものと思われます」


「それなら私にも教えて欲しかったわ。あんなに美味しい甘味ですもの。勿論、既に研究所には製法を注文しましたわ」


「有難き幸せに存じます。研究所の者も、身に余る光栄に感じていることでしょう。また、次の視察に間に合うよう、新作を準備させて頂く予定ですわ」


「それは良い事を知りましたわ。アルカドール領の視察が楽しみですわね」


それから、王太子妃殿下のお菓子談義を聞いた後、執務室に戻った。




またある日、建設省の交通課長が訪ねて来た。


「導師様、実はご相談がございまして……」


話を聞いてみると、以前カウンタール領やディクセント領で相談を受けた、トンネルの件だった。ただし、その2領の間だけでなく、計4か所の工事の依頼らしい。


2領から陳情があったことを切っ掛けに、他の領でもトンネルの需要は無いか確認したところ、カルテリア~デカントラル間、イクスルード~オクトウェス間、ディクセント~カウンタール間、カウンタール~ヘキサディス間の4か所が、現状、山地でまともな道路が作れず流通が妨げられているそうで、これらの間が開通すれば、経済効果が高いとのことであった。先日王太子殿下が流通の整備に力を入れると仰っていたので、優先順位を上げており、是非協力して貰いたい、ということであった。


「承知致しました。可能な限り、助力致しましょう」


「有難うございます! この規模の隧道工事など現在の技術では不可能ですから、導師様のお力が頼りなのです。ちなみに、どの程度の長さの隧道工事が可能なのでしょうか?」


アルカドール領とビースレクナ領の間のトンネルを作った時より力が増しているから……。


「そうですわね……以前作った時と同じ要領ならば、最大40キート程度でしょうか」


「おお! それならば、どこの領境でも対応可能ですな!」


「ただし、警備や照明など、隧道の維持運営については別途検討して下さいな」


「承知致しました。詳細は、後日調整させて頂きます」


交通課長は帰って行った。また仕事が入ったが、トンネル工事はそこまで時間を使うものではないし、ワンボックス型の空動車が使えるなら、移動にもあまり手間がかからないから、何とかなるだろう。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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