表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

261/414

第256話 4侯爵領の巡回助言を行った

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は2月1日だ。合同洗礼式に併せて精霊術士候補の確認を行うことになっているので、朝から大聖堂に向かった。いつもの様に精霊視を持つ少女を確認したのだが、今回は風と水各1名、2名の精霊術士候補を見つけることが出来た。魔法省に戻って精霊課長にも伝えたので、後は任せよう。




各領巡回助言が始まり、パティ達もそれぞれ担当している領へ向かった。私については王都から遠い7領、既にアルカドール領は終わらせたから残り6領の巡回助言がある。今月中に終わらせるスケジュールになっているので、去年みたいに大変なイメージは無い。


助手については、今回は固定でフィズナ・レダントになった。ウェルスカレン領出身で、人見知りな所はあったが、先日行われていた精霊術士集中鍛錬では、地元情報を提供したりして風組の皆と仲良くなったと聞いているので、基本的には問題無いだろう。


ちなみに今週はビースレクナ領とカウンタール領に行く事になっている。




ビースレクナ領の巡回助言については、問題無く終わった。基本的に仲が良いし、助言の方でも多少魔素溜まりが見つかったくらいで、大きな問題は無かった。昨年の魔物暴走は被害が少なかったため、復旧も早く、今はアルカドール領との間でトンネルが開通したことや、甜菜の栽培、魔石関連でかなり好景気のようだ。


そのため、引退した冒険者の定住がこれまで以上に活発になっているらしい。発展しているなら良い事だ。実際、叔父様達も、かなり上機嫌で話してくれたし。




少々面倒だったのが、カウンタール領だ。基本的に私への態度が様子を見るような態度になっていて、食事の時なども、事務的な話しかしなかった。ただ、ライスベルト様は友好的に接して下さったわけだが、これもスケープゴート的なものかもしれないしね……。


あと、行政官達には、ディクセント領との間にトンネルを作って欲しいと懇願された。やはり領の境界付近に結構な山地があり、大規模な往来が難しい状況らしい。両家は仲が良いし、有事の際に人や物を大量に移動出来るようにするという観点からも是非作って欲しいようだったが……それは建設省を通して欲しいという話になった。


なお、カウンタール領では、精霊術士候補が1名いた。地属性の子だ。




その他、またシーラ村に行って様子を確認した。地精霊にも話を聞いたが、この調子なら来週には田植え……ならぬ、種まきが出来そうだ。種まきの時期について調整して、王都へ戻った。




それと、魔法研究所に行って、光魔法についても確認してみた。なかなか成功していない状態だったので、理論の説明やアドバイスなどを行った。重力魔法の時もそうだったが、やはり新しい考えとともに魔法を伝えると、イメージがつかみづらいから、魔法の発現が難しいようだ。




そんなことをやっているうちに休日となった。レイテアはまだこちらに住んでいるから、テルフィも含めて一緒に鍛錬している。やはりこういう時間は楽しいのだが、半月後にはレイテアはシンスグリム子爵夫人になってしまうのよね……。一応贈り物も準備しているけれど、喜んでくれるかな……。




休日が終わり、今週はディクセント領とイクスルード領の巡回助言がある。その他、田んぼへの種まきがあるから、そちらの様子も見ないといけない。なんだかんだと忙しいなあ……。




ディクセント領の巡回助言は、昨年水源の調整を行ったためか、改革派とは言いつつも、私にかなり友好的だった。実際、水不足は緩和され、領民の生活も徐々に回復しているらしい。あと、行政官達も水不足対策を幾つか考えているそうだ。


「導師様のおかげで水問題は何とかなりそうなのですが、ここ数年の水不足の影響で、荒れてしまった耕作地が少なからずあったのです。そこで、いっそのこと別の作物を作ろうと考え、農業課と交渉し、乾燥に強そうな作物を幾つか選定し、新たに栽培することにしたのです」


詳しく聞いてみると、どうやら、さつまいもやトマト、瓜などを作ってみることにしたらしい。確かに乾燥に強そうだ。降雨が少ないのは続きそうな感じだし、そういう対策も進めておいた方が望ましいだろう。


その他、こちらでもトンネル工事については要望された。ただ、現在の建設大臣が前ディクセント侯爵なので、この様子だと、そのうちトンネル工事の要請が来るかもしれないな……。




イクスルード領の巡回助言だが、今回ダリムハイト様は同行しなかった。まあ、別にいいのだけれど。


巡回助言自体は特に問題は無かったのだが、前回私が勧めたさつまいもが、イクスルードの土地に合っていたらしく、食糧としてだけではなく家畜の餌にもできるため、畜産が盛んなイクスルード領としては、瘦せた土地の活用に最適だとして、積極的に広めて大量に生産していくことになったらしい。


ただし、調理法については現在研究中で、今のところは焼き芋、ふかし芋、後は煮物に入れるくらいだという。それは勿体ない気がするので、さつまいもを使った料理やお菓子のレシピを思い出して、イクスルード家の料理人達に教えておいた。また、行政官達には、アルカドール領ではじゃがいもで酒を造る研究が進められているので、もしかするとさつまいもでも酒も造れるかもしれない、と言っておいた。


あと、イクスルード領では、一人の行政官の娘さんを紹介された。


「導師様、実は私の娘が、精霊を見ることが出来るようなのです」


「まあ。洗礼の際には判明するのでしょうが、確認させて頂きますわ」


いつもの様に確認してみた。この子は火属性だから火精霊と感覚共有して話し掛けると、確かに精霊の声が聞こえているようだし、しっかり精霊を見ている。間違いないだろう。


「確かに精霊の声が聞こえるようですわね。お名前は何と仰るのかしら?」


「はい! ケイルノーバ男爵の娘、アナフィーテと申します」


「ではアナフィーテ様、洗礼が終われば、正式に精霊術士に採用させて頂くことになりますが、宜しいかしら?」


「はい! 宜しくお願いします!」


なかなか元気で積極的な子のようだ。聞くと、今度の5月で10才になるそうなので、それから精霊課で働くことになるが……そういえば火属性は貴族令嬢がこれまでいなかった。魔力量もそれなりにありそうだし、期待出来るかもしれないな。




省定例会議に参加した。各課からの状況報告や、王太子殿下の視察が始まっていたので、現状と今後の予定などが話された。精霊課からは各領巡回助言が始まったことが報告されたくらいだったが、今回は魔法兵課長の話が注目された。というのは、今後二人乗りの空動車が魔法兵団に配備されていくそうで、基本的には地魔法兵のうち、重力魔法を覚えた者が操縦者となり、あと一人が魔法を撃って攻撃するという運用になる予定らしい。


空から魔法で攻撃したり、機動力を生かして敵の背後に回り込んで攻撃したりも可能なため、運用の研究が大変だ、と魔法兵課長が自慢するように報告していた。確かに大量に配備されると、戦場の様相が変わりそうだが……もっと平和的に活用して欲しいとは思うものの、戦争を考えるなら、形振り構ってはいられないのだろうな……。




週末となったが、今日はシーラ村で種まきを始めるため、視察に来ている。先週指示していたのだが、一度畝立てをした後、畝の上部が水面くらいになるように水を張って貰った。後は、畝に種籾を播いていって貰おう。


私と農業課の担当者が現地に到着した後、要領を再度説明し、作業にかかって貰った。作業員は靴を脱ぎ、裸足となって田んぼに入り、畝の間を歩きながら種籾を播く……というより植える動作に近いが、一定の間隔で播いて行く。種籾は一度塩水に浸し、浮いたものを取り除いた後に真水で洗い、1週間ほど水に漬けてある。地精霊に確認した所


『種が結構元気だから、すぐに芽が出るよ』


と言われたので、恐らくは問題無いだろう。


本当は苗を植えた方が確実に育ったかもしれないが、苗を持ち歩いて手で植えるのが非常に大変だ。だから直に種籾を播いて栽培できそうな品種に育って欲しいと願ったのだ。まあ、田植え用の魔道具が実用化されたら、苗を植えてもいいかもね。


今日は試しに田んぼ1枚だけ作業をして貰ったが、今のところは問題無いようだ。来週また様子を見に来るよう調整し、王都に戻った。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ