第255話 初期メンバーでの茶会を行った
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暫くは通常の勤務が続いたが、来週からは各領巡回助言が始まるのでその準備を行ったりしている。それに、今度の休日には茶会を行う予定だから、準備しておかないとね……。領にも手紙を送っておいたし、シーラ村の田んぼの状況も確認しに行った。とりあえずはこんなものかな。
月末の全体会議前の省定例会議で、先日確認した精霊術士集中鍛錬の状況を話すと、大臣以下、かなりの好感触だった。私が全体会議に参加できないので、大臣が状況を話すそうだが、現段階の成果だけでもいい感じなので、十分報告に値するだろう。なお、先日財務大臣が交代した件が話された。次の財務大臣は、予定通り央公が任命された。まあ、後継ぎであるエルムハイド様がいるから、領政の方は大丈夫だろうし、宰相閣下が近々交代するから、セントラカレン家が権力を持ちすぎることも無い筈だしね……。
今日は精霊術士集中鍛錬の最終日に合わせて西公府に行く日だ。先日と同様、転移門で転移させて貰って移動した。まずは精霊課長と合流し、各組の状況を確認に行った。
あれから更に魔法強化を成功させた者は増え、前回と合わせると、風は10名、水は11名、火は9名、地は8名という結果になった。残りの16名も、王都で引き続き鍛錬を行うことで、魔法強化が可能となるだろう。ただし、地組の成果が他の比べて悪いのには、何か理由があるかもしれないな……。
その後、精霊課長と今回の表彰者3名を誰にするかについて話し合ったところ、風組長のロドニィ、水組長のミクリナ、火組長のクロティナに決まった。正直、今回は該当者が多かったから、長としてまとめ役を頑張った点で差をつけるという話になったのだ。これは仕方ないかな……。なお、前回メグルナリアに渡した記念章は、結構な数を作って精霊課長に渡しており、今回も渡す予定だ。
そして、夕方には西公邸にて慰労会が行われた。今回も前回同様、最初に西公から我々への慰労の言葉があり、その次に精霊課長が登壇し、西公をはじめ、公府の方々への御礼の言葉を述べた。それに続いて3名を表彰したが、皆嬉しそうだった。それから西公が再び登壇して、宴が開始された。
まずは西公府の人達の所に挨拶回りに行った。特に今回は、二人の行政官夫人には大変お世話になったので、お礼を言いに行ったところ
「こちらこそ皆様と交流できて大変楽しゅうございました。それに、私達も魔法強化を成功させることが出来ましたもの」
と、喜んでいたので、改めて交流という点でも成功したと感じた。
後は表彰された3人をはじめ、参加した精霊術士の方にも話を聞きに行った。3名は、早速記念章をつけており、周囲からも祝福されているようだ。ただ、前回と違う所は、今回は魔法強化に成功した人の方が多いため、成功しなかった人達がかなり落ち込んでいるようだ。
そういった人達には、前回の参加者の話をした。結局1か月以内には全員魔法強化を成功させていたから、引き続き頑張ればきっと出来る筈だと励ましたところ、皆やる気になってくれたようだ。あと、先日精霊術士になったばかりのレブネアも、魔法強化に成功していたので、アルカドール領出身者は全員成功したということになるかな。今後も頑張って貰いたいものだ……。
次の日は、こちらを引き払うため、色々忙しい。まずは各鍛錬場所の点検を担当職員と回った。特に水組の所の清掃と地組の壁撤去は確実に、ということで。あと、地組の所で、近くにいた地精霊に、何か変わったことはないか尋ねたところ、地属性のエネルギーが減っているという話だった。もしかするとこれが地組の成果が低調だった原因かもしれないな……。
その後は、それぞれの宿を回って荷物を収納した。今回は一度お土産などを回収しているから来た時と変わらず、特に問題無かった。後は西公一家と昼食を頂き、改めてお礼を言って転移門で転移させて貰った。
その後は魔法省まで戻り、精霊課長と共に、大臣まで終了の報告を行ったり、荷物の片づけを行ったりして終わった。
今日は休日だが、アルカドール領出身者を集めて茶会を行う日だ。呼んでいるのは、2年になったルカとティーナ、入学したセレナ、そしてパティの4人だ。初めて自分で茶会を行った時のメンバーだね。懐かしいなあ……。
皆が集まったということで、クラリアが呼びに来たので、会場にしているテラスに向かった。4名は席に座っていたが、私の入場とともに立ち上がり、礼の姿勢をとった。私は席の横に立った。
「本日はようこそお越し下さいました。私がクリトファルス・アルカドールの娘のフィリストリアですわ。皆様とはぜひ誼を深めさせて頂きたくて、お招きいたしましたの。どうぞお座りになって」
私がそう言うと、皆反応が遅れたが、最初に私の意図に気付いたらしいルカが気を取り直して
「お招き有難うございます。ドミナス分領太守デルフリード・オペラミナーの娘のティルカニアですわ。フィリストリア様にお会い出来ましたこと、身に余る光栄ですわ」
そう言って微笑みながら返したので、他の3人も、最初の茶会のことを思い出してくれたのか、それぞれ最初の茶会で行った堅苦しい挨拶を返してくれて、その直後、皆で笑った。
「皆様申し訳ありません。つい、懐かしくて」
「フィリス様、私達も皆、懐かしく思っておりますわ。流石にフィリス様の様に、盛装まで合わせることは出来ませんでしたが」
ルカの指摘通り、当時のドレスに合わせて、今日のドレスも明るい空色だ。丁度同じ色のものがあったので、着てみたのだ。その辺りの仕込みで和やかになったところで、それぞれの近況などを話していった。
「セレナ様は1組になりましたのよ? 入学した段階で相当氷魔法に習熟されていましたから、注目されておりますわ」
「それは、氷魔法を習得するための環境がアルカドール領にあったからですわ。特にコルドリップ先生が尽力して下さったおかげで、平民にも普及し始めておりますもの」
「それでも~本人が努力しなければ、成果は出せませんわ~」
「では、セレナ様も何か、通り名の様なもので呼ばれてしまうのでしょうか?」
「い、いえ、流石にそれは……勘弁して下さいませ。上級貴族の方を差し置いて、そのような……」
「ですが、ティーナ様などは『雷姫』と呼ばれている上、昨年は首席でしたわ……」
「もう~その名前はやめて下さい~ルカ様だって、2年になった時に1組に上がって注目されておりますし、光魔法の件で魔法研究所の方が、何度か訪ねられていましたわよね~」
「皆様、ご活躍されているのですね。私やパティ様は魔法学校に通えませんが、その分皆様の活躍を嬉しく思いますわ」
「いえいえ、フィリス様こそ、学校でも毎日何かしらの噂になっておりますわ。私達も、アルカドール領出身であることを、皆から羨ましがられておりますわよ」
「まあ。恥ずかしい噂で無ければ良いのですが」
「とんでもございません。容姿、業績、内容は様々ですが、皆がフィリス様を賞賛しておりますわ。ただ、気になるのは、私達にフィリス様の話を聞きに来られる方が多いこと位でしょうか」
「それは申し訳ございませんでした」
「いえ、私などは、そのおかげで入学早々に級友が出来ましたから、喜ばしい限りですわ」
「そう思って頂けるのであれば、心苦しさも、多少は楽になりますわ」
「そういえば、先日精霊術士集中鍛錬なる事業が皆の噂になっていたのですが、どのようなものなのでしょうか?」
「精霊術士の能力を高めるため、集中的に鍛錬を行うものですわ。特に、魔法強化が行えるようになることが達成目標となっておりますのよ。今回は、54名参加した中で、38名の者が魔法強化を成功させましたわ」
「それは素晴らしいですわね。私が参加した時は、20名中7名しか成功しませんでしたのに」
「今回は、皆アンダラット法を習得した上で参加しておりますし、初回の時を参考に、より効果的な方法を行っておりましたからね。内容を模索する中で行い、しかもいち早く魔法強化を成功させたパティ様の功績は、精霊課の皆が認めているところですわ」
「そ、それは有難うございます……まあ、これで私達の負担が減るのは、喜ばしい限りですわ」
「今回は、5組に分かれて各領巡回助言に行かれるのですわね……」
「フィリス様が遠方の領を担当して下さるおかげで、各組ごとに3から4領を巡回するだけで終わるのは、非常に有り難いことですわ。ただ、暫く王都を離れますので、甘味の食べ納めをしておきませんと」
「制服が着られる程度になさって下さいませ」
そのような感じで、近況を話しつつ、昔を懐かしんでいた。
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