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第254話 精霊術士集中鍛錬は順調のようだ

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は書類業務を終わらせた後、特に仕事も無かったので、空動車の研究チームの所に顔を出してみた。やっぱり空動車は便利なので、入手できないか様子を見たかったのだ。皆忙しそうにしていたが、私が顔を出すと、研究チームの長と、アルカドール領から参加している魔技士が挨拶をしてくれたので、現在の状況を確認させて貰った。


「今は軍用に、二人乗り空動車を作ろうとしております。4人乗りの空動車は、車体の材質などを検討しているところです」


「どのような材質になりそうですの?」


「やはり軽くて丈夫なものですね。全て魔法銀を使えるなら一番良いのですが、そうそうございませんので、鉄と木を組み合わせたものになる予定です。今はどの位置に鉄を使い、どの位置に木を使って、その上でどう強度を確保するかを検討しているのです」


なるほど、やはり量産するなら、その辺りがネックになるよね……。


他にも色々話を聞いてみたが、二人乗りの方は、そこまで気を使わなくても、強度を確保しつつ速度もそれなりに出る車体を作れたそうで、そのため、鍛冶師達と連携して、生産体制を作っているそうだ。あと、ワンボックス型については、現状では私専用で使えるかどうか……という所らしい。


実際の所、貴族の利用方法を考えると4人乗りでは手狭で、もっと大きいものを作れと言われていて、結局研究チーム全体の課題と化してしまった案件らしい。


「色々努力はしたのですが、根本的に重量と出力が釣り合わないようです」


うーむ、ワンボックス型は困難か。残念だが、こちらはあきらめるか……。


「もう少し車体の底面積を広くすれば可能なんですがね……それを作ろうとすると、魔法銀より軽くて丈夫な素材が必要になる……そんな無い物ねだりをしても仕方ありませんから……」


ん? それは素材さえあれば何とかなる、ということか?


「あら、それはどういうことかしら?」


「も、申し訳ございません。意味の無い事を呟いてしまいました」


「いえ、そうではなく、魔法銀より軽くて丈夫な素材があれば可能である、というように聞こえたのですが、事実でしょうか?」


「は、はい。車体をもう少し軽く出来て、底面積を広くして安定させることが出来れば、可能です」


「……それが可能となる素材を、私ならば作ることが出来る、と言ったら、どうでしょうか?」


「導師様は、そのようなことがお出来になるのですか?! もし可能なら、お願いします!」


こうして、カーボンナノチューブを利用した素材を使って、車体を作ることになった。ちなみに構造は、研究チームの方で大まかに設計していたのだけれど、前世で言うならば、車体が長めのワンボックスカー(人員用だからワゴン車かな?)に似ていた。最大10人乗りで設計しているらしい。


内装も通常の馬車から流用したものを使えるらしく、丁度良いかもしれない。とりあえず、空き時間を使って車体を作っていこう……。




休日を鍛錬や車体製作に費やし、再び精霊術士集中鍛錬の視察をする日となった。朝から西公府に転移して、精霊課長と合流して様子を見に行った。ルートは先日同様、風組からだ。


風組の鍛錬場所に行き、組長のロドニィに様子を聞いてみた。


「導師様、課長、風組は異状ありません。鍛錬も順調です」


「それは良かった。ロドニィ嬢、魔法強化が出来そうな者はいるだろうか」


「はい、私を含め、5名については可能だと思います」


「まあ。では、一度試して下さるかしら?」


それから申告のあった5名について試してみたが、確かに全員、魔法強化に成功した。魔法強化に成功した5名を賞賛しつつ他の者も激励して、次の水組の所へ移動した。




水組は、やはり組内でローテーションを組んで鍛錬を行っていた。あと、ウェルスカレンからも一人参加している状態だ。今回、組長のミクリナは泉にいたので、話を聞いてみた。


「水組では、今の所6名が可能ですね」


「分かった。ミクリナ嬢、今からその6名を集め、魔法強化を行って貰えるだろうか」


「承知しました」


申告された者達は、確かに全員が魔法強化に成功した。アルカドール領出身のレミファも成功していた。その後、魔法強化に成功した6名を賞賛しつつ他の者も激励して、次の火組の所に移動した。




今度はきちんと適度に休憩を取りつつ鍛錬をしていたようで、クロティナ達の体調は問題無さそうだった。また、魔法強化が可能な人を尋ねた所、把握していないということだったので、全員に試して貰ったのだが……。


「7名の方々が魔法強化に成功しましたわ。貴女達の努力に敬意を表します。他の方もいずれは可能になると思いますので、引き続き励んで下さいな」


クロティナやイルファ、イレーラなど、10名中7名が魔法強化に成功したので、良い成果が出ているのではないかと思う。この辺りは、何か理由があるなら、資料班の人達には原因を探求して欲しい所だ。精霊課長もそう思ったのか、資料班の人に指示を出していた。


ここで昼食の時間となったが、今回は近くにいる地組も混ざって一緒に取ったので、結構な大所帯になった。今回は皆、屋外で適当にばらけて食事を取っているので、何だか遠足に来ているみたいだった。幾つかの集まりに混ざって話を聞いてみたが、話題は休日の公府観光の事が多かった。


地組には、行政官夫人も参加しているため、その伝手で面白い所などを紹介して貰ったりもしたらしい。そういった交流も進んでいるなら、結構なことだ。


暫く休憩した後、最後の地組の状況を確認した。地組は、4名が魔法強化に成功した。16名中4名なので、割合を考えると、火組と比べた場合かなり差があるので、やはり何らかの理由があるのかもしれない。ちなみにアルカドール領出身のデラーナとラステナは成功していたが、アルカドール領出身かどうかは、多分関係無いだろう。




帰りの馬車の中で、精霊課長と今回の表彰について話し合った。今回は参加者が多いので、3名の表彰を考えているが、選考対象が多いので大変だ。基本は前回同様、魔法強化の成功、鍛錬への貢献度などを考慮して決定するが……その他にも、明日以降、精霊にどれだけ願いを聞いて貰えるか、などを試し、その結果を反映させることにした。


西公邸に到着した。今回については、西公夫人であるエイムランデ様から、茶会に呼ばれている。とは言っても、ほんの内輪で行うもののようで、参加者はエイムランデ様と三姉妹だけと聞いている。暫く部屋で休んでいたところ、メイドに案内されて、庭のガゼボに移動した。


「エイムランデ様、今回は茶会にお招き頂き、有り難く存じますわ」


「フィリストリア様、お忙しい所来て頂いて、感謝致しますわ」


簡単な挨拶を済ませ、用意された席に着く。他の方々はドレスだが、私については制服なので、少々浮いているが、まあそういう条件だからね……。


「精霊術士集中鍛錬は、どのような状況なのでしょうか?」


「今の所順調ですわ。既に22名の者が魔法強化を成功させておりますし、行政官夫人達とも交流を深めさせて頂いておりますわ」


「それは何よりですわ。我が領としても協力させて頂いた甲斐があるというものです」


「今回も急な対応をして頂き、誠に感謝しております。やはり貴重な精霊術士を預けるには、信頼のおける所でないといけませんから」


「フィリストリア様にそう評価して頂けるのは、大変光栄ですわ」


そのような感じで和やかに話が進んだ。今後もこちらで精霊術士集中鍛錬を行うかは分からないが、やり易いところはあるんだよね……。


「最近はアルカドール領とも交流が進んでおりますから、このような甘味も気軽に頂けるようになりましたわ。最近は、甘味の製法をまとめて購入し、家の料理人に読ませておりますのよ」


「ペルスラムナ様、我が領の甘味研究所に代わり、感謝致しますわ。彼らの努力が実を結んでいる様は、私としても誠に光栄に思っておりますのよ」


「アルカドール領は、新しいことを色々進めていると聞いておりますが、最近ですとどのようなことを行っているのでしょうか」


レナ様の質問に、私は先日帰省した時の話などをしてみた。


「まあ、そのようなことが行われておりますの? お母様、是非ともアルカドール領に伺わせて頂かねばいけませんわ!」


「フィリストリア様、大変興味深い話でしたわ。幸い海路を使えば、比較的容易に伺えますので、検討させて頂いて、宜しいかしら?」


「両親に伝えさせて頂きますわ。私としても、両家の益々の関係強化を、お祈りしておりますわ」


その他は、世間話などをして茶会は終わったが……いつもは気軽に色々話すチェルシー様が緊張していたということは、婚約の話を本格的に進める、ということなのかもしれないな……。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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