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第246話 産業振興関連での依頼業務を行った

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は朝から聖堂にやって来ている。精霊術士候補の判定を行うためだ。


私が聖堂に到着すると、以前と同様に、精霊視を持つという自己申告があった少女以外にも、多くの人達が詰めかけていた。これは既に何かのイベントと化している気もするが……まあ、淡々と進めて行こう。


本当に精霊視を持っているならば、精霊術士となるために王都に住むことになるので、結果を確認するために領行政舎の戸籍担当者もこちらにやって来ている。そういえば去年もいたね、あの人……。


ちなみに、レミファとラステナも見に来ている。確かにあの二人は実家がセイクル市なので、後輩(予定)の子達が気になるのかもしれない。


精霊術士候補を確認した結果、1名の少女が精霊視を持つことが判った。レブネア・グレドーという名前で風属性、セイクル市から少し離れた村に住んでいる10才だ。


どうやら父親とこちらに来ていたようで、父親の方は戸籍担当者と今後の話をすることになった。集まっていた皆には解散して貰い、今後の生活で彼女と少し話をしていると、レミファとラステナが混ざりたそうな顔をしていたので、手招きで呼んでみたところ、二人はすぐにやって来た。


「レミファ、ラステナ、ごきげんよう。調子は如何ですか?」


「ど、導師様、お仕事中のところ……お声掛け頂き有難き幸せです」


「導師様! お疲れ様ですっ!」


レミファはこちらに遠慮するように、ラステナは元気に、こちらに挨拶して来た。


「ご存じでしょうが、この子が、精霊課で精霊術士として勤務する予定の、レブネア・グレドーですわ」


「せ、先輩方、今後お世話になります、レブネア・グレドーと言います、お願いします」


「こ、こちらこそ……宜しくお願いします」


「レブネアちゃん、宜しくね!」


4人で暫く話をしていると、戸籍担当者と父親の話が終ってこちらに挨拶に来たので、休暇が終了した際には、レブネアも連れて王都に戻るよう調整して、解散となった。




この後は暫く予定が入っていないので、品種改良したりんごの苗木を増やしつつ、一部の実を使ってアップルパイを作ってみることにした。苗木を増やすには、養分の関係上庭では難しいので、セイクル市の近くにある森まで、空動車に乗ってやって来た。当然、レイテア、テルフィ、リカルドも護衛として同乗している。3人には周囲を警戒して貰いつつ、昼まで苗木を増やしつつ、家に帰った。


昼食後、赤いりんごを使ってアップルパイを作るため、厨房にお邪魔した。料理長達に


「品種改良した果物を使って、新作の甘味を試作しますわ」


と言ったところ、休憩中の料理人も集まって来たので、少々やり辛かったが、作らせて貰った。試食なので、料理人達の分も含めてかなり多めに作ったのだが、夕食時に出す分を残し、無くなってしまったが、皆には大好評だった。一応、黄色いりんごを使って作ってみたものもあったが、やはり甘すぎるという意見だった。まあ、そのまま食べて貰ったら、非常に好評だったのだけれども。




夕食時に、作ってみたアップルパイと、赤及び黄色のりんごを一切れずつ、食後のデザートとして出してみた。品種改良したりんごであると説明し、皆の意見を頂いたが……。


「成程、これがコルドリップ行政官からお前に依頼された、領の特産にと考えている林檎で、こちらの甘い方が、そのまま食することに適した品種、もう一方は酸味が強いので、甘味の材料に適した品種ということか」


「はい、お父様、その通りですわ。先日お話ししましたが、王都でも甘味に合う食材ということで、様々な果物の品種改良を行っておりますが、アルカドール領の気候に合った植物ということで、この林檎を選定したそうですわ」


「ふむ……では、可能であれば今年の夏、5月頃にも林檎を作って貰いたいのだが、どうだろうか?」


5月頃……? ああ、王太子殿下の視察の際に使ってみようということか。


「可能ですわ。私もその頃には休暇を頂けるよう調整中ですから」


「フィリス、この甘味はとても美味しくて良いのだけれど、これは料理店で出した方が良いわね。茶会で気軽に手を付けられるものはあるかしら?」


茶会の時にナイフとフォークを使うものは、好まれないからね……パウンドケーキやスコーンなどのレシピを料理長達に教えておけば、大丈夫だろう。


「ええ、お母様。林檎に限りませんが、等分台粉などに入れ込み、予め小さく切り分けておけば、茶会の場において、忙しなく手を動かさずとも頂けると思いますわ。他にも幾つかございますので、料理長や甘味研究所に伝えておきますわね。それと、茶と一緒に熱すると、一風変わった味わいの茶になると思いますわ」


「まあ、それは良い事を聞いたわ。実を入手出来たら、試してみることにしましょう」


「フィリス、とても美味しいよ。手の空いた時でいいから、またこういった甘味を作って欲しいな」


「ええ、お兄様。こちらにいる間は、また何かお作りしますわ」


「ところで、林檎でも砂糖漬けや砂糖煮は作れるのかな?」


「ええ。作り方は甘味研究所に教えておきますので、御入用であれば、収穫後に仰って頂ければ、入手可能だと思いますわ」


「それは良かった。せっかくフィリスが我が領のために作ってくれたのだから、他領にも売り出したくてね。砂糖漬けや砂糖煮なら、日持ちがするから大丈夫だと思ったのだけれど、どうだろうか」


なるほど。確かにジャムとかなら売れそうだな。パンにも合うからね。


「良いお考えだと思いますわ。林檎自体、そのままでも一月ほどは保存可能ですが、砂糖煮であれば、小壺に密封してしまえば、作り方にもよりますが、年単位で保存可能ですわ」


「ふむ……冬季に屋内で行えそうな作業だな……収穫量が増加したならば、一般家庭に対して奨励してみるか」


お父様もジャム作りに関心を持ったようだ。こういったことの積み重ねが、産業振興に繋がるのだな……。




今日と明日は、精霊酒製造工場の貯蔵庫建設を支援する日だ。


私は朝食後、空動車に乗って領行政舎に向かい、担当者を同乗させて、建設予定地の町に向かった。今日はワポータという町で、アルカドール領の南東に位置し、ワンスノーサ領から来る隊商などの宿場町にもなっているそうだ。つまり、酒の需要が大きい町ということかな。それは、今後の為にも作っておいた方が良いだろう。


1時間程でワポータ町の入口に到着すると、代表者らしき人が私に礼をしたので、挨拶をした。どうやら町長だったらしく、私が来たので出迎えてくれたようだ。そこからは町長の準備した馬車に乗り、現場まで移動した。


馬車の中では、町長からワポータ町の状況を聞いたが、最近はワンスノーサ領からセイクル市やプトラム分領に向かう隊商が多く、賑わっているそうだ。また、砂糖製造工場も建設して、人口が増えているそうだ。今後もしっかり行政を行うよう激励したりしているうちに、工場の敷地に到着した。


町の担当者の案内で貯蔵庫建設予定地に行き、現場で工事担当者の説明を受けた。概ね規格は似たような感じだが、細部は異なっていたので、適宜工事担当者に指示を受けつつ工事を行うことになった。


以前は和合して作業を行っていたが、精霊導師としての力が向上したおかげで、この位の作業であれば、同化だけでも可能となっていたので、両手を地精霊と同化させ、光魔法で照らしながら作業を行った。


1時間半程で作業を終え、現地の作業場の簡易的な食堂で休ませて貰った後、セイクル市に帰った。




今日はストリオという町の工事だ。アルカドール領の南西に位置し、トリセント領から来る隊商などの宿場町にもなっているそうだ。選定のコンセプトはワポータ町と同じということかな。


ストリオ町の入口に到着すると、やはり町長が出迎えてくれた。現場への移動中に町長がストリオ町の話をしてくれたが、概ねワポータ町と似たような状況だった。


ただ、ストリオ町はトリセント領にあるガスマーク、つまり歩兵団第1歩兵隊との連絡の中継点でもあり、早馬の確保などもしっかり行っているということだった。そういった点で、有事においては第1歩兵隊の移動経路にもなるため、領道の更なる整備を要望されてしまった。


ストリオ町についても工事は無事終了し、セイクル市に帰って、お父様に工事完了の報告を行い、併せて領道の整備の要望についても話した。領道の整備は逐次進めており、今年から行っている3本の領道の整備が終了すれば可能らしく、防衛力の整備という観点からも重要なので進めて行くそうだ。良かったよ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


※造語

等分台粉:パウンドケーキ


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