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第229話 海兵団を視察した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は省定例会議だ。久々に落ち着いて参加させて貰ったよ。内容は、明日の御前会議に向けた認識共有が主体だ。


今回については、先日のサザーメリド関係があるので、陛下から私に関するお言葉があると、内々の調整が来ているので、その件を共有させて貰った。まあ、あそこまで大事になってしまったのだから仕方がない。その他、魔法省からは重力魔法の魔道具関係の話をするようだ。


それと、大臣から、先日地龍様から情報提供して貰った、海底火山の件に関して話があった。やはりこれについては、精霊課も関与することになるらしい。そして、海の話なので、当然海兵団と連携することになるわけだ。


幸い、セクハラ対策については試行が始まっているので、来週にでも視察をして問題無さそうなら、精霊術士を配置して、海底火山の調査を進めて行くことになるようだ。当面の間は風・水で2名ずつ、来年は更に2名ずつ増員して、情報を収集するという調整が、国防省から来ているらしい。


通常の火山なら、火精霊や地精霊から情報を収集するが、海中には火精霊と地精霊はいないから、海底火山の場合は、海の変化を確認できる水精霊に聞いた方が状況を把握しやすい。大気の状態も微妙に変化するから、風精霊も多少は判る、という感じだ。当初は場所を特定して、その後は監視しつつ、噴火したら被害の状況に応じた対応をとることになるだろう。


その他、魔法兵団と精霊課の協同訓練の状況についても報告するようだ。来週には協同訓練があるし、10月下旬には、国軍の総合演習があるそうなので、今後は国防大臣の視察も入って来る可能性があり、現状を報告しておくらしい。




そして御前会議となった。基本的には問題なく行われたのだが……サザーメリドの件に関しては、宰相府から状況が説明されたのだが、陛下がいらっしゃるにも関わらず、会議場が騒然としていた。


私が言うのもなんだけど、意図的な協定違反であることはもとより、見方によっては間接侵略に近い事になってしまったからね……周囲が怒っていたおかげで、逆に私自身は冷めた目で見てしまうのだけれど……。


ただ、この件で問題となるのが魔石の流通だ。当面は何とかなるけど、将来的にはやはり増産したいところのようだ。国内の産地はビースレクナ領が主体だが、うちの国の場合は、鉱山のように採掘できるというわけではなく、ファンデスラの森の中の浅い地層で生まれた魔石が、何らかの理由で地表面に現れたところを、冒険者達が拾って来るという形態らしい。魔物が魔石を感知して掘り起こしているという説もあるが、その辺りは研究中だそうだ。


そういったこともあり、魔石の産出量自体を増やすのは難しいのだけれど、採集を行う冒険者の割合を増やしたり、魔石のリサイクル施設を増設したり、王都とビースレクナ領との間の街道を整備して、流通を増やす方向で検討するという報告が上がっていた。




10月となり、魔法強化を使える精霊術士達の多くが魔法兵団との協同訓練に参加する中、私と精霊課長は海兵団の視察に参加した。


視察団は、視察団長である国軍総司令官のサウルトーデ伯爵を始め、総司令部からは監察官など数人、ステア政府のセクハラ対策担当省である総務省からも、担当課ということで総務課長達が来ていたり、法務省からも人が来ていたので結構な人数だ。


今回は馬車で移動しており、海兵団があるプレドックまでは、片道1日かかる距離だったので、プレドックに到着する頃には夕方になっていた。現在の海兵団長に挨拶をした後、来客用宿舎内の会議室において、以前の海兵団の状況や、今回実施している改善策について監察官から説明されるとともに、チェックリストに基づくチェック担当者の割り振りが行われた。


私と精霊課長は、以前指摘した事項の是正状況や、精霊術士に対する理由のない蔑視の兆候はないかという点について確認することとなった。




次の日、海兵団長の先導のもと、主要な場所を巡視した。本部隊舎については、女性用のトイレが造られていた。あの後すぐに予算が下り、先日工事が終わったそうだ。また、精霊術士達が配置されていた団本部の運用班については、精霊術士達の机が一塊となって配置され、パーティションで区切られていた。それと、当直の制度については、精霊術士は当直から外し、宿舎に緊急呼び出し用の音が鳴る魔道具を付けることで対応するそうだ。


精霊術士の宿舎についても確認した。側面の階段からの入口は、内側から施錠できるようになっていた。また、屋上の物干し場についても、柵が付けられていた。柵の入口の鍵を精霊術士が管理するようにするらしい。


当然のことながら、更衣室や浴場の脱衣場には穴など無く、今後は定期的に施設点検が行われるそうだ。


なお、施設巡視の際には一般兵士達も当然いたが、以前のような不躾な視線ではなく、恐怖を感じているようだったので、前回来た時の試合なども、役には立ったのだろう。




巡視の後は、チェックの区分毎に分かれて視察を行った。私と精霊課長は、一室を借りて、運用班や新兵教育班から何人かを呼んで、現状を確認した。運用班の人員については、体制が変わって窮屈になった気はするが、これでやっていくという旨の話をしていた。


やはり、現状は精霊術士がいないので、海の情報が入りづらく、今のところは大事故こそ起こっていないものの、危険な状況は見られたそうだ。それに比べれば、多少窮屈になっても精霊術士がいた方が良い、というのが皆の考えだった。必要性を理解してくれるなら、とりあえずは大丈夫だろう。


新兵教育班については、教育の要領について話を聞いた。精霊術士の仕事などについては、しっかり教育して、不信感を持たれないようにする、ということだった。実際の予定表や、教育成果を記した書類なども見せて貰い、この前入った新兵については、既に教育しているという話を聞いた。


ちなみに、例年は海に接する領の出身者を主体に、それなりに新兵の希望者がいたのだが、あの事件があったことで、今年は希望者が激減していて困っているという話だった。なので、海兵団は新しい体制になったので安心して入って欲しい、という旨を、私からも話して貰いたい、と逆に懇願されてしまった。




来客用宿舎に視察団が集まって結果を話し合った。基本的には改善はなされており、精霊術士が勤務しても問題ないだろう、となった。ただし、新兵が少ないという話や、あの後辞めた者が結構出たという話も出て、この視察とは関係ないが、新兵を増やす方策も考えないといけないという話題になっていたため、総司令官が苦笑いしていた。


こうして視察を終了し、再び精霊術士を配置するという話になったのだが……実際に誰を配置するかは結構問題になった。今後は魔法強化を利用した業務も入っていくそうなので、基本的には魔法強化が出来る者が選定されるが、今のところはあまりいないし、昨年の事件を全員知っているから、皆海兵団には良い印象を持っていない。


協同訓練が終わってから、精霊課長が風・水の精霊術士達を集めて話をしたところ、やはり皆不満を口にした。しかし、総司令部との調整のために王都に来ていた海兵団長が同席していて、皆に頼み込んだので、不満の声は収まった。


それから人員を選定したのだが、風についてはセフィリアとサリエラ、水についてはロナリアとアリネラになった。セフィリアとロナリアは年長者ということで、サリエラとアリネラは海兵団配置が未経験ということで選ばれた。


なお、海兵団に配置される者には、以前ヴェルドレイク様が開発した護身用の魔道具、つまりスタンガン風の魔道具を全員持たせ、使い方を訓練するそうだ。使われる状況が発生しないことを願っているよ……。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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